仕事も、勉強も、スポーツも、選挙も、健康も!?前向き(オプティミスト)=成功を科学的に証明したポジティブ心理学の原点。 日本にも「笑う門には福来る」といったことわざがあるように、楽観主義が現世における成功の大きな鍵になることは、洋の東西を問わないようだ。われわれは、日常生活においても自信をもって事に臨むことがいかに大切か、大なり小なり経験的に知っている。本書は、それを心理学という科学的見地から実証的に説明している。
オプティミズムとは何か?
大規模小売店で経理部の半数が解雇された。そのうち二人、ノーラとケビンはうつ状態になった。どちらも何ヵ月も別の職を見つける気になれず、また所得税の申告など経理の仕事を思い出すようなことは避けていた。ノーラはしかし、優しく活動的な妻であり続けた。これまでのような人付き合いは絶やさなかったし、健康状態も良く、週三回は体操を続けていた。反対にケビンは打ちのめされたままだった。妻や赤ん坊にも関心を払わず、毎晩くよくよ考え込んで口をきかなかった。人に会うのが耐えられないと言ってパーティーにも行こうとはしなかった。ジョークを聞いても笑わなかった。風邪を引いて一冬中治らず、ジョギングもやめてしまった。悩みごとがあっても、それを箱にしっかりしまい込むことによって、人生の大事な一面ーー仕事、恋愛関係ーーがうまくいっていなくても、普段どおり生きていける人がいる。一方で、すべてに傷つき、破錠する人もいる。人生の一本の糸が切れると布地全体がほどけてしまうのだ。つまりこういうことだ。自分の失敗に対して普遍的な説明をつける人は、ある一つの分野で挫折すると、すべてをあきらめてしまう。特定の説明をする人は、人生のその分野では無力になるかもしれないが、ほかの分野ではしっかりと歩み続ける。
僕も仕事で挫折して一時はすべてを失ったような感覚にまでなり、すべての人間関係を絶った。10年以上経った今でもそれは継続しており、家族以外との交流はほぼ無い。最近はSNSやネットのサービスなども多数あり、そこでゆるく繋がれる人ぐらいはいるのだが、自分からコメントをしたりするような積極性は無い。たまにコメントが来ると返信に何を書こうか困ってしまうことも多々ある。同じショックを受けてもオプティミストは回復が早くペシミストはうつ状態なってしまう人が多い。学生なんかだと中間試験で落第点をとった生徒のうち30%がうつ状態になったが、ペシミストと判定を受けた生徒の70%が重度のうつ状態に。もともと悲観的な人は期末テストに向け気分も新たにすることはなく落ち込んだままだったという。
オプティミストは長生きする
人生でより多くの悪い出来事に出会うのは誰か?ペシミストである。彼らは積極的に悪い出来事を避ける方策を取ろうとせず、悪い出来事が始まってしまうと止めるための手を打とうとすることも少ない。つまり、ペシミストがより多くの不幸な出来事に遭い、それがより多くの病を引き起こすとしたら、ペシミストは病気にかかりやすいことになる。最後に、オプティミストのほうが良い健康状態でいられるのは、社会的なバックアップを得られるからだ。親密な友情と愛情関係を保つことは、健康維持に重要であると思われる。たとえ夜中でも電話して悩みを聞いてもらえる人が少なくとも一人はいる中年の人は、友達のいない人よりも良い健康状態でいられる。結婚していない者は既婚者よりもうつ病にかかりやすい。病気のとき引きこもりがちの人は、さらに病状が悪化する傾向がある。
友情や愛情を多く享受している人は病気にかかりにくいというのは当たっていると思う。もし病気にかかったとしても、オプティミストの場合、積極的に外の世界と繋がろうとするので回復も早い。僕の場合は、ほぼ引きこもりで外との接触が少ない(家族とは接しているが)のでたまに気分を変えて外に出ることを自分に課しています。そうして少しずつ外界と接点を持つことで回復していったように思います。最初は抵抗があったSNSも付き合い方を自分なりの模索することで良いツールとなっています。
柔軟な楽観主義の勧め
人生は失敗だらけだ。欲しいものがすべて手に入ることはまずなく、日々挫折の連続である。私たちのような個人主義の文化では、社会が個人の喪失感をなぐさめてくれることはほとんどない。もっと〝原始的な〟社会では、個人が何かを失ったときはもっと親身な対応がなされるので無力感が絶望感に発展することはないのだという。心理人類学のバック・シーフェリンは、ニューギニアで石器時代の生活をしているカルリ族にはうつ病にあたるものは発見できなかったと言っている。
カルリ族のように個人と部族全体の相互関係がうつ病を防いでいるのだろう。部族の一人が家畜の豚を失って嘆いていたら、他の部族の人間が豚を与えてくれる。喪失は部族によって補填されるため、無力感とは無縁なのだ。
今現在自分がペシミスト(悲観論者)だったとしても、オプティミスト(楽観主義者)になることは可能だという。悲観的な考えが浮かんだら、一歩下がってその思い込みを一時保留し、自分の考えが正しいかどうか検証する間だけでも、悲観的な説明から遠ざかることが大切だ。
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