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宇宙に命はあるのか?宇宙の謎と人類の起源!

銀河系には約1000億個もの惑星が存在すると言われています。そのうち人類が歩いた惑星は地球のただひとつ。無人探査機が近くを通り過ぎただけのものを含めても、8個しかありません。人類の宇宙への旅は、まだ始まったばかりなのです――。本書は、NASAジェット推進研究所で火星探査の技術開発に従事し、人気コミック『宇宙兄弟』の監修協力も務める著者が、人類の謎に挑む、壮大な宇宙の旅の物語です。私たちはどこからきたのか。どこへ行くのか――。

ヒトラーの目に灯った火

ヒトラーとフォン・ブラウン。二人の男は全く違う夢を持っていた。だが、夢を実現する手段がロケットであることは同じだった。そして夢の実現のためには手段を選ばないのも同じだった。ヒトラーは戦争に勝つためにフォン・ブラウンに技術が必要だった。フォン・ブラウンは宇宙へ行くロケットを作るためにナチスの金が必要だった。利害関係は一致した。歴史には様々な見方がある。フォン・ブラウンはヒトラーに利用された、というのもひとつの見方だろう。だが、ドイツが敗戦しヒトラーの野望が潰えた後も、フォン・ブラウンの夢は生き残り、その技術は人類を月へと送り込んだ。本当に利用されたのは、果たしてどっちだったのだろうか?

ロケット開発の資金が必要だったフォン・ブラウンにとって、ナチスの金は魅力的だったのだろう。ロケット技術を提供する代わりに資金を得て、結果的に見たら敗戦後も技術は継承されて行くので勝者はフォン・ブラウンだったと言えるだろう。現在でも技術者や研究者が自分の研究のために魂を売ることはまだありそうだ。それだけ研究開発にはお金と時間がかかる。人件費だってバカにならない。薄給で研究を行う人たちが多くいるのも現在の世の中。金を横から横へ動かしているだけで儲けを得ようとする輩がいる資本主義の世の中では、彼らが報われることはあまりない。銀行に勤める高給取りたちの頭脳が研究開発の向けられれば世の中はちょっとは良い方向に向くのではとさえ思う。

NASAの誕生、そして月へ

人々のスプートニクへの反応は、アメリカの政治家にとってもソ連の政治家にとっても驚きだった。小さな人工衛星がこれほどまでに世界の人々の注目を集め、熱狂的興奮やショックを与えるものだとは想像していなかったからだ。それ以降、味をしめたソ連も、焦ったアメリカも、莫大な国費を宇宙開発のつぎ込むようになる。フォン・ブラウンの成功から半年後、アメリカは新たな国家機関を発足させた。アメリカ宇宙開発局、NASAだ。そして一九六〇年、フォン・ブラウンの陸軍弾道ミサイル局はNASAに移管され、NASAマーシャル宇宙飛行センターと改称された。

NASAへの移管により、フォン・ブラウンはミサイル開発から解放され宇宙開発に専念できる環境を手に入れた。開発の資金繰りのため金策に走る必要も無くなった。技術とは天才の脳から勝手に湧き出てくるようなものではない。技術開発にはお金がかかるのだ。1960年代に宇宙開発が爆発的に進んでいったのも、そこに莫大な資金が投入されたからだ。そしてスプートニクから4年後世界初の宇宙飛行士ガガーリンがコロリョフのR7ロケットに乗って宇宙に旅立ち有名な「地球は青かった」という言葉を持ち帰ったのだ。

どんな鳥だって想像より高くは飛べない

こんな逸話がある。一九六二年、ケネディー大統領がNASAを視察に訪れた時、廊下でホウキを持った清掃員がいた。ケネディーは視察を中断して話しかけた。「あなたは何の仕事をしているのですか?」彼は胸を張って誇らしげに答えた。「大統領、私は人類を月に送るのを手伝っています!」なぜアポロが月に行けたのか?その鍵は、政治家の名演説よりむしろ、現場の技術者の創造性の中にあるのではなかろうか?月を歩いた十二人の宇宙飛行士の華やかな活躍よりもむしろ、無名の四十万人の泥臭い努力の中にあるのではなかろうか?

一介の清掃員が誇らしげに自分の仕事を語れる状況というのは、素晴らしいと思う。組織においては小さな歯車かもしれないが、そこで働いている以上なくてはならない存在だ。ニューヨークのごみ収集業者がこぞってストライキを行った際は、わずか数日でまちがスラム街のようにゴミで溢れたという。それ以来、彼らの仕事は見直され、給料も上がったということだ。どうしても花形の宇宙飛行士に目が行きがちだが、それは40万人の努力の上に成り立っている。オリンピック選手の活躍の裏にある家族や関係者の涙ぐましいサポートなども同じだ。

アポロ誘導コンピューターはスマホの1000分の1の処理能力

アポロ誘導コンピューター。MITが開発したこのコンピューターは、宇宙を飛んだ最初のデジタル・コンピューターのひとつだ。その計算速度は現在のスマートフォンの1000分の1にも満たない。しかしそこには時代をはるかに先取りしたイノベーションが詰め込まれていた。

考えてみると僕たちが普段からお世話になっているスマホが過去から比べるとどれだけハイスペックなんだ?といった印象を受ける。

「人が想像できることは、すべて実現できる」この言葉を体現するかのような宇宙開発。普通に暮らしていたら交わることのない宇宙開発技術者の想像力には驚かされる。宇宙に命はあるのか?多分あるだろうと僕は思うが、それは人の人生からは気が遠くなるほど遠くの宇宙の果てまで行かないと発見することはできないだろう。

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