中国が先制攻撃で中距離ミサイルを大量に発射した場合、日本の在日米軍は全滅する可能性があるという。そこに来て大統領選でのトランプ氏の発言「日本は在日米軍駐留費を出せ。出さなければ、撤退だ」。金の切れ目が縁の切れ目、日本から米軍がいなくなった場合、もしくはとどまってもらうためにどのくらいの費用がかかるのか?両大統領候補が当選した時、それぞれどのような政策をとるのかシミュレーションし対談する書籍。
新しいアメリカの「内戦」
ートランプにヒラリーと、なぜ日本にとって受難としか言えない候補が残ったのですか?
今のアメリカは、国の富の90%を握る人口1%の超高額所得者が全てを持ってコントロールしてます。民主党左派のサンダース候補が、大統領予備選挙で、あそこまで善戦したのも、民主党支持層が、この現実にNoと言ったからです。また、共和党も主流派候補が次々といなくなった中で、自己資金だけで、戦った泡沫候補トランプが、大統領候補になったのは、既存の支配体制にアメリカ市民は嫌気がさしているからです。
超高額所得者にモラルがあればこういったアメリカ市民の不満も爆発しないで済んだだろう。実際冷戦時代は「富むものには責任がある」という自覚がそれぞれにあった。しかし、冷戦が終了して、上位1%のものたちは、収奪を開始し、富の90%までを蓄積した。これではいずれ内戦が起こるのではという考えすら起こる。今現に起こっていることといえば、白人警官が黒人を射殺し、元米陸軍、元米軍海兵隊で実戦経験をした元兵士の黒人が次々に警官を射殺している。外を向いてみるとキリスト教徒対イスラム教徒は、全世界で戦争状態になっている。ローマ教皇も「第三次世界大戦だ」と仰るぐらいだ。
撤退されれも困るし駐留費の負担増も看過できない
- 「金を出さないと、全て撤退」→初年度26兆円
- 「日米同盟解消」→60兆〜85兆の負担
トランプ氏が大統領になったら在日米軍駐留費ようが毎年1兆円。しかもいつ値上げを迫ってくるかわからない。一方、日本にも輸出すれば儲かる兵器幾つかある。90式戦車はモンゴルやスタンズ諸国に売ればいいし、最新式の10式戦車はNATOに売れる。潜水艦は台湾、フィリピン、インドネシア、ベトナム、タイ、マレーシアへ。そして大きいのがP-3C対潜哨戒機これを台湾、フィリピン、インドネシア、ベトナム、ブルネイ、マレーシアに売れば、南シナ海での中国の潜水艦には脅威となる。すでに快調なビジネスとして成り立っているのが艦船だ。
日本が直面するミサイルギャップ
ー日本には、MD、ミサイルディフェンス能力があります。
残念ですが、中国にのミサイル総数に対して、圧倒的に少なすぎます。それにみなさん勘違いされていますが、飛来するミサイルを迎撃するのは保険と考えておいてください。ミサイルディフェンスの基本は発射前の段階(Phase Zero)で発射せずに潰すことです。
日本や米国の兵器や装備に詳しくない僕は、ミサイル大量発射されたら迎撃できるものと着弾するもの両方あり何れにせよ被害は出るものと思っていた。発射前の段階(Phase Zero)で発射せずに潰すことができるなんて初めて知った。本書では保有するミサイル量のバランスを保つには、1000発単位のミサイルを保有し、陸上自衛隊を戦略ミサイル部隊に全て移行すること、「陸自の合理化」を唱えている。
新自衛隊の目指す道
理想的な攻撃自衛隊を考える
- 空軍F-35 100機 2兆円
- 衛星通信システム X兆円
- 海軍3個空母艦隊と搭載用4個飛行隊 10兆円
- 核搭載原潜部隊 3兆円
- トマホークミサイル 0.1兆円
- Jマリーン 1兆円
合計 16.1兆円
衛星通信システム X兆円
現実的な攻撃自衛隊を考える
- 空軍F-35 100機 2兆円
- 衛星通信システム X兆円
- 海軍三個空母艦隊
- 搭載用四個飛行隊 2兆4600億円
- 核未搭載AIP潜部隊 2000億円
- トマホークミサイル 0.1兆円
- Jマリーン 1兆円
合計 5兆7600億円
衛星通信システム X兆円
米軍が撤退すると考えると初期投資に加えこれだけの負担が毎年、国民にのしかかる。そう考えると米軍駐留費を払ってでもアメリカの庇護下に入っている方がお得感がある。不穏な動きをする中国、経済の停滞する日本、現在の状況を勘案するとアメリカとの同盟はやはり重要だと思う。
全く新しい抑止力を求めて
- ステップ1 憲法9条改正 国を防衛するための軍備の整った交戦権を持つ。
- ステップ2 日米同盟条約改正でイーブンな関係。同時にNATO加盟。6〜10年かけて、在日米軍徹底と同時に攻撃自衛隊配備。
- ステップ3 核武装しないで、新しい規範を示す。
- ステップ4 アメリカ、または、NATOと実戦に参加して戦闘経験を積む。
- ステップ5 年間1兆円の利益を生む兵器輸出産業を育成して、日本兵器の性能を向上させる。
- ステップ6 米海軍空母機動艦隊に、海自軽空母艦隊が随伴、中東からのシーレーンを海上パトロール。米海軍が行けない時は、海自軽空母部隊が出動。
新しい抑止力を備えた日本の姿が上記のようなステップを踏み出来上がる。もし米軍が撤退するようなことが起これば、自国の防衛のため有無を言わさずこのようなステップを踏まされることになるだろう。
ちょっと右傾かなとも思うが、実際問題米軍が撤退したら一気に現実味を帯びるちょっと怖い内容だった。米大統領選とともに今後の動きを注視していきたい。
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