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「誰かのため」が、「自分のため」につながる|中村 由美|一流の秘書が持つ気配り力

一流の秘書が持つ気配り力。相手を思い、喜ばれる行動を突き詰めたらそれが気配りとなる。秘書でなくともお客さま、取引先、上司など相手の役に立つことは社会で生きていく上でアドバンテージとなりそうなスキルです。

「つまらない仕事」なんて一つもない

苦手に思う仕事をしていれば、「つまらないな」という気持ちが湧いてくるのも仕方がないのです。でも、仕事からは逃げられません。それをやらなくては、お給料はもらえません。つまらない仕事を「つまらないな」と思いながらやり続けるか、「慣れてしまったほうがラクだな」と思えるか。やはり前向きに考えて、 つまらなく思える仕事の中にも、楽しみを見つける工夫をしてみたほうが、自分にとってプラスになる と思います。周りも、つまらなそうに仕事をしている人より、集中して仕事に打ち込んでいる人と一緒に仕事をしたいと思うはずです。 そもそも「つまらない」と思うから、余計につまらなくなるのです。 仕事にムダなものは一つもありません。私がパート社員として壱番屋に入社した当初、仕事はもっぱら伝票整理で、「つまらない仕事でしょ」と同僚からもよく言われました。店舗名順に伝票を揃え、日にち順に並べ直すという単純作業です。確かに最初は私も「パートさんの仕事ってこういうものだよなー」程度にしか思っていませんでした。けれどあの「電話応対を注意された」とき以来、 伝票の束は私にとって〝宝の山〟であることに気づいた のです。いわゆる壱番屋の店舗名がわかる、オーナーさんの名前がわかる、さらに店舗の場所がわかる素晴らしいデータ源だったのです。 伝票は情報の宝庫。そういう見方ができるようになってから、伝票整理は一転して楽しい仕事になりました。 「○○店は東京にある」 「『中区』が付く店舗は名古屋、大阪、福岡にある」ということがわかってきて、次々に知識が増えていくからです。伝票以外にも、整理を頼まれた業界紙や新聞の切り抜き資料を見れば、全国の飲食店にまつわるデータが載っていたり、ライバル会社の情報があったり、それらも自分の頭にどんどんインプットしていきました。

仕事にやりがいを感じるか否かは心がけ次第と言ったところか。アルバイトなら気軽にやめて他のバイトに変えるなんてこともできるが、サラリーマンともなると転職は一大イベントだ。それに要するパワーは結構いるし消耗する。しかし向いていない仕事をやり続けて疲弊することを考えれば辞めた方がいい場合も。その辺を天秤にかけて会社に残る決断をしたのなら、やはり職務を楽しいものにした方が良い。

「出世を求めない」を逃げ道にしない

悲しいことですが、働いている人の中には、給料がもらえるから九時から五時まで会社でデスクの前に座っている、という人がいるそうです。理想も目的もなく、出世も望まず、ただ最低限の賃金を得るために、毎日会社に通っているのです。 「そんなふうに生きていて楽しいのかしら」と、私は思ってしまいます。彼らには、時間を忘れるほど何かに没頭する幸せなときがあるのでしょうか。仕事も最低限しかしませんから、出世もできず、お給料も上がらないでしょう。生活の向上もなく、遊びに行こうにもお金がないのですから、できることは限られます。結局、負の回転を繰り返すばかりです。やはり人間は、「何事かを一生懸命にやる」というプラスの考え方で生活をしていかなければ、負のスパイラルに入って、何も成さないまま人生が終わってしまう のです。それほどつまらない人生はないと思います。だからといって、仕事で出世をすることだけが意味のある生き方であるというわけではありません。たとえ出世を求めなくとも、目標を持って生き、やりたい仕事を続けることで日々が充実しているのなら、出世など問題にはならないはずです。たとえば、芸術家や音楽家の方や、俳優を志す方など、貧しい中でも夢に向かって努力し続ける人たちは、みな輝いて見えます。もっとも、家庭を持っている人が、子どもや配偶者を養えないような生き方をしているなら、さすがにいかがなものかと思ってしまいますが……。必要なだけの収入があって、なんとか生活でき、その上で出世を求めない生き方をするのであれば、それもいいと思うのです。ただ、それを逃げ道にはしないでください。出世をするということは、組織の中で認められ、成果を上げて、信頼を勝ち得たということです。

出世を求めない代わりに仕事を適当にこなして就業時間をやり過ごし賃金を得る。こうした人たちはどこの会社にも一定数いるが、これからはそれではリストラされてしまいますよ。特に単純作業を担っている人なんかはあれよあれよという間に業務効率化で仕事がなくなります。そうしたら会社のお荷物に一気に格下げ。リストラが待っています。会社に必要とされ続けるにはやはり仕事に意欲を持って取り組むこと。士気が下がるような仕事っぷりではダメと言うことです。

仕事に取り組む上で大事なことを教えてくれる書籍。著者は秘書という職種だが、他の職種でも役立つ考え方だと思います。

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