「意識が高い人」日本の未来について考えている、社会問題に対する関心が高い、自分のキャリアについてよく考えている、勉強熱心、積極的に人と交流する、リーダーになりたいと思っている……こんな人が想像できる。しかし、自分のプロフィールを誇張し、盛ったプロフィール写真を撮り、名言(著名人の受け売り)を吐きまくり、やたらと人脈を自慢する、勉強会、異業種交流会をやたらと開き、将来のビジョンについて無駄に熱く語り、ビジネス書を読み漁り、その真似をしまくる奴!そんな輩「意識高い系(笑)」になってはいないか。全部が当てはまるわけではないが、身近にこういう輩がいるので、自戒の念も込めて新ためて自分がそうならないよう目を覚ますべく本書を手に取った。
意識の高い学生(笑)たち
人脈をやたらと自慢し、利用する。「◯◯さんと会った」「◯◯さんからTwitterでフォローされた」この薄っぺらい「人脈」をあたかも自分がすごいかのようにアピールするための材料として使うからタチが悪い。首都圏にいれば講演会などのイベントも多いので著名人と会う機会も多いだろう。しかし、そういったイベントで半ば強引に撮った著名人との自撮り写真をFacebookなどのSNSにあげる。意識高い系の誕生である。周りに認められたいあまり、こういった繋がりを自慢できるネタとして使う下心が見え見えなのも痛々しい。「僕もその人(著名人)に会いたいから今度連れてきてよ、一緒に食事でも」など意地悪したくなる(どうせ連れてくることができるほど深い関係にない)。
セルフブランディングのバカヤロー
肩書きを自分で作ってしまう人が痛い。有名なところで言うと「ハイパーメディアクリエイター」など。著名人でもちょっと違和感を感じるのに素人がそれをやるとただただ痛いだけである。「コミュニケーションスペシャリスト」という肩書きの人が、ただのコールセンターのスーパーバイザーだったなんて言う例も挙げている。スーパーバイザーでは物足りないのだろうかと疑問が残る。プロフィールなどでも見栄えを良くするテクニックがある。全国的に知名度の低い企業の場合でも一部上場していれば、「東証一部上場企業」「上場企業出身」などとあえてぼかす。これを一般の人がSNSなどのプロフィールに書くのだからタチが悪い。
瞬間風速的にトップを取った営業マンが「トップ営業マン」と語ったり、ベンチャー企業が「数億規模の出資案件が続々」などとインターン生を募集するページに書いていたり、有名企業、有名大学出身だということをぼかして、「こんな私でも◯◯できた」とアピールするのだが、そもそもお前はふつうのひとと前提条件が違うだろう。コネや人脈で成功しているのだから。
証明写真はプロに撮ってもらい加工もするなど、後になって化けの皮が剥がれることも厭わず盛ってしまう人がいるが、SNS上でいくら盛ったところで現実世界では通用しないことに気付かないのか不思議だ。自分の価値を上げることと盛ることは違うことを肝に命じたい。
セルフブランディングで他にも興味深かったのは本の著者になるというもの。著者になるためのスクールも存在し3ヶ月、6回で20〜30万程度で出版社の橋渡しまでしてくれるそうだ。一冊でも本を出せばそれが名刺代わりとなるので、これもセルフブランディングとしては有効だ。そして本を売るために一部の書店で手分けして自分の本を買いまくり「◯◯書店で一位」「Amazonの◯◯カテゴリーで一位」等の実績を作る。それが最大瞬間風速的なものでも広告やなんかで箔がつく。
意識が高すぎるソーシャルメディア
Twitterは野蛮な荒海のような状態だし、Facebookは「リア充相互監視社会」。Twitterでは見知らぬ人から根拠のない批判コメントが届いたり、嫌な思いをすることがある。Facebookでは知らない人や薄い関係の人からから「友達申請」。こういった煩わしさから逃れるため僕はTwitterは情報収集のみに使い、Facebookは退会した。それでも十分暮らせるしSNSの呪縛から解き放たれ、むしろ充実した生活を送れると考えている。
ネットで展開される滑稽な意識高い言動や限りなく捏造、誇張に近いセルフブランディング、著名人も含めた「本当に見えるウソ」の流布など、なかなか残念な結果になっていることに注目したい。
なぜ意識は高くなるのか
意識が高くなる理由だが、変身願望、彼らなりの自己主張であり抵抗なのではないか、そう考えると「意識高い系(笑)」と揶揄する気持ちを抑えようかとも思う。村上春樹が言う「小さくても確かな幸せ」、あるいは明石家さんまのように「生きてるだけで丸儲け」など、普通の幸せを重視したいところだ。
意識の高いみなさん目を覚ましてください!!
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