読者から寄せられた色々な悩みを〝闘う経済学者〟の著者が様々な本から得られる教訓により解決するブックガイド型お悩み相談本。古今東西の小説や童話や落語を通して、どんな悩みも、実は「みんなの悩み」だったことが見えてくる。
私は「消耗品」ですか?
あなたは過酷な作業現場で働き続け、「現在の仕事を手放せば自分はどうなるのでしょう」と不安になる一方で、疲れて「これから何をどう頑張ればいいのか、立ちすくんでいます」と書きます。この一〇年余りで派遣や契約労働が激増し、あなたと同じように、短期の雇用契約で職場を転々として行かざるを得ない若い世代は二人に一人の割合でいます。不況で、彼ら/彼女らがいとも簡単に首を切られていく現実が背景となって、九〇年近く前に書かれた小林多喜二の『蟹工船』がベストセラーになりました。
繋がりを作るのは大変だが、自分と同じ境遇の人はいっぱいいる。なんとかお互いに共感し助け合う繋がりを見つけられれば人生も少しは変わるはずと著者は言います。自分を囲む理不尽は、自分のせいではなく、決して「甘え過ぎた人間の末路」ではないと言い聞かせる。僕も統合失調症を患い、今でも調子の悪い時は幻聴や思考停止に悩まされていますが、100人に1人そういった同じ境遇の人がいると思うことで頑張れます。同じような病気やなんかに悩まされている人に、それでも結構楽しく生きていけるよというメッセージが贈れればとブログに病歴なども包み隠さず載っけています。ぱっと見病気とはわからないので誤解を受けることも多いですが、それもしょうがないと諦め、他のところで頑張る。粗大ゴミだって人によってはまだ利用価値がある。価値を認めてくれる場所を探せばまだ大丈夫。
お金をストレスなく使えません
あなたの悩みは、個人的な問題のようでも、今の女性全般の生きづらさを代表しています。一般的に女性が一人で生きていくには給与は低すぎ、傷心の機会も限られています。社会保障の不安もあります。将来を考えて節約に努めれば、自由にお金を使えないストレスで、つい自分をケチだと感じてしまうのです。
よくいうシンデレラストーリーは魔法でも使えないとあり得ない話だからシンデレラストーリーなのだと著者は言います。気づかないけれど人生の選択肢が限られている世の中で、自分の人生をどう選ぶか考え目標を設定する。目標も持てないまま、自由にお金が使えるようになることばかり考えても、お金を楽しんで使えない。僕は楽天的なので達成不可能とも思える目標を設定してもなんとか上手くやれそうと勝手にバラ色の未来を想像してお金を使います。あまりキツすぎる倹約は精神衛生上良くない。それが目的となっていれば話は別ですが。
実家に足が向かず、親不孝かも
実家は自営業の資金繰りが苦しくなると、あなたにお金をせびり、そればかりか、子供のための貯金まで借りて返さないと居直っています。そのため、あなたは近所の実家に足が向きません。それは「親不孝」なのかもしれない、と自問しています。
これに対し、親の子供に対する甘えを断ち切って、「子離れ」を促す必要があると説きます。相談者が親の仕事(自営業)を引き継ぐなら自分で経営者となり、代わりに「親」の役割を果たすことも方法の一つと回答。思い切って親とは離れた場所に引っ越すという選択肢も。基本的に愛情は親から子へ一方通行だと考えているので親の面倒を見るというのは考えづらい。うちでは両親とも健在だがそろそろ考えなくてはならない年齢に差し掛かっています。2017年1月6日の朝日新聞に「高齢者は75歳以上」65〜74歳は准高齢者と学会が提言という記事が載っていた。これからますます寿命がのび僕らの世代は大病しなければ100歳まで生きるのではないかなんていう話もちらほら。この相談者は親不孝ではないかと自問しているが、僕のように親孝行なんて考えたこともない人間が大半を占めるのではないかと思ったりもする。
夫に自立知って欲しいのですが
子どもが小さいときは、夫と子どもと家族中心の余暇を過ごし、子どもが大きくなったら、自分の趣味を楽しむ時間が欲しいので「亭主、元気で留守がいい」‥‥。すみません。読んでいて、思わず夫に同情してしまう男の私です。とはいえ、夫婦のライフステージに合わせて夫に代わってもらいたいと思う、あなたのお気持ちも分かります。
夫の立場になって考えると娘も高校生になり、妻も趣味に付き合ってくれない家にいても次第に自分の役割が減っていく。自分の居場所がないと感じるのは寂しいものだ。著者は家庭の中で夫に新しい役割を与えることを提案。週に二、三回「男の料理」をしてもらうとか。料理は意外とやればできるもんで僕もたまにキッチンに立ちます。幸い僕が作る料理は好評で(気分を害さないよう気を使っているのかもしれませんがww)作り甲斐があります。最近は調味料とか便利なものも増えてるし、揚げ物とかをするのにも温度設定をコンロに任せておけば綺麗に揚がるので料理をしてこなかった男性でも十分たべれる料理が作れます。
色々な悩みに答える「悩みのるつぼ」の連載は朝日新聞でまだ続いています。「悩みのるつぼ」は、岡田斗司夫、上野千鶴子、美輪明宏、金子勝の4氏が、みなさんのご相談にお答えするコーナーです。共感をおぼえたりそうでなかったり、悩みが重なれば良い解決策が提示されたり。悩むプロセスこそ人生とはよく言ったものです。
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