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安倍政権で大きく変わった権力とメディアの関係

2012年末に第二次安倍政権が誕生してから早や4年。その間、大きく変わったことが権力とメディアの関係だ。朝日新聞に代表される政権に批判的な大手メディアはなぜ軒並み〝大人しく〟なったのか。その背景には安倍政権の巧みなメディアコントロールと、ネットによる大転換期に対応できず組織防衛に走る既存メディアの腰砕けぶりがあった。前ニューヨーク・タイムズ東京支局長の著者が明らかにする「世界から見たアベ・ジャパン」の真実。

権力者側からの管理を受ける記者たち

アドリブで追加の質問項目を盛り込んだブラントロム記者は、官邸から「事前に質問項目を出してください」と言われて「バカバカしい」と思ったのだろう。一国のリーダーが想定問答のような記者会見を開くなど、民主主義国家では考えられない。アメリカの大統領が記者会見を開くときには、質問項目など誰も事前には提出しない。記者はあらゆる角度から実にさまざまな質問を投げかけ、なかには大統領にとって相当にタフなやりとりもある。政権に批判的な質問もあるのは当然だ。日本では官邸が記者クラブメディアをがっちりコントロールしており、記者会見では「想定外の質問が飛んでくる」という緊張感は生まれない。「不規則発言」が民主主義国家の記者会見では当たり前なのだが、日本ではそんなことをすれば、「オマエは何を勝手なことをやっているのだ」と怒られてしまうのだ。官邸の記者たちは権力側からの管理によってあまりにも縛られ、またそのことに慣れすぎている。

国会中継などを見ていても想定外な質疑があると慌ててお茶を濁しつつ席に戻り、意見を仰ぐなんてシーンも幾度となく見る。特に総理大臣ともなれば迂闊なことを言えないなんて事情もあるのだろうが、そこは一国のリーダーとして淀みなく意見を述べ、堂々としていてほしいものだ。政府から得る情報でなければ、報道する価値は薄れる。外務省が発表しないニュースはノータッチで済ます。メディアが政府から完全にコントロールされている現在の日本のジャーナリズムは、健全とはいえないだろう。特に健全な民主主義が機能する上で重要な権力のチェック役のはずのメディアが、第二次安倍政権誕生以来、腰砕け状態に。自分たちの組織が立ち行かなくなっては困るとジャーナリズムを放棄しているようにも見える。

<貴社の11月24日放送の「報道ステーション」において、アベノミクスの効果が、大企業や富裕層のみに及び、それ以外の国民には及んでいないかのごとく断定する内容の報道がなされました。><できるだけ多くの角度から論点を明らかにしなければならないとされている放送法4条4号の規定に照らし、同番組の編集及びスタジオの解説は十分な意を尽くしているとは言えません。><貴社におかれましては、公平中立な番組制作に取り組んでいただきますよう、特段の配慮をお願い申し上げます。>要は放送法を盾にして「報道ステーション」を脅しているわけだ。テレビ放送は免許事業であり、電波は電波法に基づいて総務省から放送事業者に与えられている。現実にはその可能性は低いにせよ、総務省が強権を発動し、テレビ局から電波を取り上げてしまうこともできる。「いざとなったら放送免許を取り上げることだってできるのだからな」と暗に脅されれば、テレビ局は当然萎縮してしまう。

政府に批判的なメディアには、官邸からツッコミが入る。記者クラブ制度や、放送免許というアキレス腱を握る官邸。元経産官僚の古賀茂明氏の降板は記憶に新しい。コメンテーターを選ぶのはなかなか難しいもんだ。政府に批判的なコメントをするであろうコメンテーターを起用する場合、意見が偏らないよう反対の立場をとる人間をゲストに呼ぶなど配慮が必要で放送局の責任がないとは言えないが、降板させたれた上、テレビ朝日のすべての番組で出禁になるのはちょっとかわいそうな気も。

メディアをコントロールしようとするのは官邸としては当然のこと。問題はそれをやすやすとコントロールされるがままになっているメディアの方だ。「報道ステーション」や〝吉田調書〟でバッシングを受けた「朝日新聞」ジャーナリズムはこういう時こそ、右左、会社の枠を超えてメディアスクラムを組み対抗するというアメリカ的な行動に出るべきだと著者は言う。敵のピンチ!今が絶好の攻め時!!とばかりに攻撃に走った新聞各社にはジャーナリズムの精神が欠けているようにさえ思える。

誤報があった場合の新聞報道の正しい対応とは?

朝日新聞が唯一謝るべき点があるとすれば、吉田清治氏の証言に明らかなウソがわかった時点で、それを記事にしなかった=アップデートしなかったことだ。

パソコンのOSですらセキリティ・その他に問題が生じた場合、アップデートを無償で行い問題を解決する。間違った記事は消えないが記事なんて時間とともに埋もれていくものだから、アップデートすれば問題ない。もちろん誤報はできるだけ避けるべきだが。

このほかの事象について、ノイジーマイノリティのネット右翼を効果的に使っている節がある安倍政権のことなども語られている。ソーシャルメディアなどでも彼らの声は大きく素人が見たらこんなに大勢の人が右翼なんだと勘違いさせられることだろう。彼らはノイジーマイノリティであると覚えておくとそのぶん割り引いて世の中が見える。

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