「判断するのが怖い」あなたへ発達障害かもしれない人が働きやすくなる方法｜佐藤恵美

2022年12月17日

発達障害とグレーゾーンの人たちが「判断するのが怖い」と感じ、どのように不安を解消しているかを解説。この書籍で展開される心理に添ったアドバイスはどんな場面でも、また長期的に効果があるはず。

不安と焦りと恐れ

人は誰でも失敗が重なると、「また失敗するのではないか」と不安が起こります。そして「もう失敗を繰り返したくない」と考えます。それは当たり前の気持ちです。しかし、いつもその気持ちが優先するようになると、たとえば同僚に何かを尋ねられたり、上司に新しい業務を指示されたりしても、その中身について考えるよりも先に不安が押し寄せてしまいます。

不安が不安を呼んで膨らみ、さらに焦りや恐れも呼び込みます。そして、不安と焦りと恐れがそろうと、思考は停止してしまいます。思考停止すると、本来ならできることさえもできなくなってしまうのです。

「あわててしまってうまく思考できなくなる」「頭がごちゃごちゃして混乱してしまう」「不安が不安を呼んでどうしてよいかわからなくなる」という状態です。こうした、いわば「プチパニック」状態になると、できることもできなくなるわけです。けれども、次第に自分に自信がなくなって、「自分は何もできない」「何をやってもダメ」と自己を否定する気持ちが大きくなっていってしまうのです。

ですから、実はうまくいかないことやうまく判断できないことは、全部が全部、障害特性から来るのではなくて、プチパニック状態によってできることもできなくなってしまうということもあることを知ってほしいのです。

前章までにお話ししてきたことを踏まえると、自分のどういう特性が、どういう現象を生み出しているのかわかると思います。そしてそれとは別に不安や焦りや恐れという心が生じているのも理解できるでしょう。そこを分けて考えると、心がプチパニックに陥らず落ち着いていられれば、本来ならできることもあるということに気がついてもらえると思います。

失敗に対する不安とそれに付随する感情。不安が不安を呼んで最悪思考停止に。パニックになるとできることもできなくなる。これは障害のあるなしに限らずに起こる現象。プチパニックは誰にでも起こりうる。

人間関係を避ける

対人コミュニケーションが苦手であることや、そもそもあまり他者に関心がないことから、人と関わりたいという気持ちを積極的に持っていないこともあります。しかし、そうした特性からだけでなく、仕事に対して不安が大きければ、それは確実に対人関係にも影響します。なぜなら、職場では業務を媒介にした人間関係が不可避だからです。

なんとなく気が合う仲間とか、共通の趣味の友人というわけではなく、業務を間に挟んだ関係である以上、業務がうまくいかない不安があれば、職場の人とうまくいかない不安が醸成されるのは当然のことです。

自分が積極的に仕事に取り組めなかったり、自分が評価されていないと思っていたり、被害感が募っていたりすれば、職場の人間関係を避けるようになります。実際に対人トラブルになったり、ぎすぎすした関係になったりすることもあるでしょう。

もちろん、無理して親しい関係を目指す必要はありません。しかし問題となるのは、職場での対人関係に回避的になることで、「ちょっと声をかければ済むこと」や、「早めに確認すべきこと」ができなくなることです。些細なひとことがかけられないことによって、後から大きな業務上の齟齬が生じてしまうこともあります。ですから人間関係に回避的になってしまうことは、業務上の判断をすることにもとても影響のあることなのです。

職場の人間関係を避ける、他者に関心がない。職場では仕事を媒介にした人間関係があるが仕事を離れると一気に人も離れるのが社会人にありがちな人間関係かと。

判断するのが怖いそんなあなたのための「困った」を解決する書籍。仕事の優先順位がつけられないなどの細かな問題を解決。

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