ニュースは今や、紙でもテレビでもなく、ネットで読む時代になった。一方、キュレーションメディアの盗用問題や、アメリカ大統領選時に顕在化した偽ニュース問題などで、ネットニュースの信頼性は大きく揺らいでいる。こうした「ポスト真実」の時代にネットのニュースを正しく読むためには、固有のリテラシーが必要になる。それぞれのメディアの特徴を理解し、使い分け、ネット情報を正確に読み解くためのノウハウ、リテラシーを、日経新聞の記者を15年務めた著者が、その経験知を基に解説する。
フェイクニュース対策
2016年末以降、フェイスブックがフェイク(偽)ニュースを警告する仕組みを導入したり、グーグルが質の低い「まとめ記事」の表示順位を下げたりといった対策が進んでいます。今後も従来の社会問題と同じように、ネットジャーナリズムの業界団体が結成されて自主規制の指針が示されたり、サイトや記事の信頼性を一般の人が判別しやすい仕組みが導入されたりするのではないでしょうか。2017年は、そうした動きが本格化し、ネットジャーナリズムが健全な成長軌道に乗れるかどうかがかかった年だといっても過言ではないでしょう。
僕はフェイスブックを完全退会しているので、知人経由で、フェイクニュースが入ってくることはない。ツイッターは発信を主にして使っているのでここも大丈夫。あとはネットだが、時事問題やなんかを検索することはほとんどない。変なバイアスのかかった人たちの意見をまともに受けるのは意外と消耗するからだ。テレビはどうだろう、安倍政権になってから国家権力による統制は巧妙になっているようにも思える。マスコミは権力の鎖を巻かれ雁字搦めになっている。信じがたいニュースが飛び込んできたら(中には巧妙に読者心理をついたものもあるが)疑う目を持つことが大事になってくる。
クリック率やSNSの反応の影響力が増大
ネット上で公開されている新聞記事などを一つにまとめて見せるキュレーションメディアでは、芸能ネタが多いなどテレビのニュース番組やワイドショーに近いラインナップを目にします。これはネットの収益モデルがテレビと同じく広告料を中心としているからでしょう。視聴率が高い番組が評価されるテレビの世界と同様、ネットのニュースサイトでもクリック率が重視され記事の選択に影響を与えているのです。
クリック率やPVが重視されるネット上の記事には、真実を面白おかしく捻じ曲げたクリック数稼ぎの記事も散見する。ブログを運営していると、つい広告収入欲しさにタイトルで釣ったりしたくなるのも分からないでもない。実際、魅力的なタイトルをつけようと僕のように書籍を参考にする人も多いのではないだろうか。(「100倍クリックされる超Webライティング実践テク60」など)。
多様な意見の紹介・議論の場の提供
メディアは純粋に「中立公正」であることはできません。ある人にとっては「中立公正」であっても、異なる意見を持つ人から見れば必ず「偏向報道」になるからです。それは程度の差はあれ、報道が避けては通れない宿命です。ただし、なるべく多様な意見、とりわけその報道機関とは意見が異なる人々、団体の主張を幅広く紹介すべきだとは言えるでしょう。それは「公平であるため」というより、「敵の考えを知る」ことが、説得の論理を前提とする民主主義では決定的に重要だからです。
こうした図らずも偏ってしまう報道をなるべくフラットな目線で見るため、新聞を何紙も購読する人もいるぐらいだ。最近ではグノシーやスマートニュースなどニュースキュレーションアプリが人気だが、これはある意味危険だと僕は思う。使っているうちにAIで学習し、好みの記事を選択してきて並べてくれるのだが、ともすると偏りがちなトピックスばかりになってしまうし、キーワードを設定すると関連のある情報ばかり拾うこととなる。雑談のタネとしては優秀だが、どこからとってきたかも分からないような記事が並ぶそれは(出典の記載は一応あるが)、まるっきり信じ込むとそれこそフェイクニュースを掴みかねない。
近頃こういった状況を踏まえ、ネットの新聞記事に鍵マークがついていて読みたい人は課金するというシステムを取る新聞社も増えてきた。出所のしっかりとした自分たちの記事に他のネットニュースよりも優位性があると判断してのことだろう。ちなみに日経新聞の電子版は登録すると読みたい記事を10回まで無料で読める。僕はあまり新聞記事を読まない(見出しだけ見て興味のあるところしか読まない)ので課金していません。
弱まるマスメディアの「世論を動かす力」
SNSやブログにように「自前のメディア」を簡単に持てるようになると、この流れは加速しました。一般市民でもメッセージを何万人という人々に一瞬で届けることができるのです。こうした変化もあり、新聞の部数は落ち、テレビの視聴率はじわじわと減っています。マスメディアが世論を動かす力を持つのは、情報を文字どうり「マス」に伝えることができるからです。利用者が減っていけば、その影響力が弱まることは避けようがありません。
しかしいくらSNSやブログが「自前のメディア」として機能しようとも、一般の人がそこまで影響力を持ち続けることはあまりない。YouTubeなど動画サイトでオモシロ動画を配信する人たちも飽きられずに視聴者の心を鷲掴みにするような人はごく一部の人だけ。大抵チャンネル登録する価値もない動画ばかりで僕はすぐに飽きてしまいました。
ネット情報を利用する前の注意事項と利用術、高度な読み方や活用法などネット時代を生きるためのリテラシーが学べます。第5章ではメディアのこれからも語られています。自分はなんだか情弱気味だなと感じている人や初めてスマホを契約したという年配の方にもオススメです。
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