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「グーグルを驚愕させた日本人の知らないニッポン企業」ビィ・フォアードって、一体何者なんだ!?

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ビィ・フォアードは東京都調布市にあるECサイト運営会社です。サイトで売っているのは中古車、そして自動車部品。売り手は日本を除く全世界です。日本の中古車輸出台数は年間120万台ぐらい。この聞きなれない会社は年間14万台程度出荷しているが、この統計には20万円以下の車はカウントされていないので正確ではないが大体1割強のシェアを握っていると考えられる。そんなGoogleに「このビィ・フォアードって、いったい何者なんだ?誰か調べたのか?どうしてこんな膨大なトラフィックをアフリカから日本に運んでいるんだ!」と驚かせた会社の設立から起動に乗るまで、それからこれからの展開に至るまでを記した書籍。

中古車オークション会場の様子

オークション会場は業者しかはいれない場所なので、どんな感じで売買されているのか、少し説明しておきましょう。大学の講義室のように階段状に椅子が並んだ大部屋があります。前に巨大なモニターがあって、ここに出品車が映し出される。実物の車は表に止めてありますから、オークションが始まる前に下見して目星をつけておく。車を買いに来た人は、この椅子に座ってモニターを見、手元のボタンを押していくわけです。ボタンを1回押せば3000円とか、値段が上がる仕組みになっている。平均8秒ぐらいで落札されていく。

人気の車種が高値をつけることはもちろんだが、この車が!?というような車がどんどん値が上がっていくことがある。そういった相場観は長年オークションに参加していないと養われないんだそう。だから今でもビィ・フォアードではネット中継ではなくオークション会場に足を運んで参加するのだという。それにしても8秒で落札なんて思っていたよりずっと早い。

中古車輸出って儲かるの?

ミャンマーで苦戦していた2004年3月、ワイズ山川の輸出部門を独立させて、新会社ビィ・フォアードを設立します。「輸出なんてちっとも儲からないじゃん」という感想はあったものの、簡単には諦めたくなかった。(中略)新会社を作ったといっても、スタッフは私だけ。半年後にITに強い社員を雇って、数年間はこの二人でやっていました。なぜITに強い人間を雇ったかというと、当時はヤフーオークションで中古のカーオーディオを売っていたからです。単にそれだけ。この時点では将来、ECサイトを運営するなんて想像もしていません。

ミャンマーやニュージーランドでは代金を振り込まなかったりするいわゆる詐欺のようなものに度々会うことに。それでも車についていた純正以外のカーオーディオをヤフオクで売ることでしのいでいたのが初期のビィ・フォアード。その後はドリフトカーに目をつけ海外に向け販売。ドリフトは日本発祥の文化だが2006年に映画『ワイルド・スピードX3 T0KYO DRIFT』が公開されて、外国での人気に火がつくこととなる。会社のウェブサイトのトップページはスポーツカーがものすごいスピードで疾走する写真に変え専門化を図った。同時に実験を兼ね、廃車寸前のボロ車とか、外車とかも売ってみることにする。専門店ではない百貨店のような中古車屋のAmazonを目指したわけです。

オークションに出しても値の付かないような解体車(解体待ちの車)が売れる

こうした解体車も、ダメモトでサイトに載せていたんです。まさに枯れ木も山の賑い。ところが、アフリカにポツン、ポツンと売れるようになった。2006年の夏だと、タンザニアへトヨタ・カローラが出たり、ザンビアにトヨタ・スターレットやトヨタ・マークⅡが出たりした。どれも新車ディーラーから1万円以下で引き取って来た解体車ですが、船代・保険代込みの17万〜18万円で売れた。ここで「あれっ?」と思うわけです。(中略)「日本では商品価値がなくても、アフリカでは商品価値があるんじゃないのか?」

海外向けにもウェブサイトの門戸を開いていたおかげで気づいた盲点。ここから快進撃が始まる。リーマンショックで中古車価格が下がるなか車を仕入れまくる。そして東日本大震災によってライバルだったパキスタン人の中古車輸出業者がどんどん廃業。一気に業界での立ち位置が上がってくる。この後、アフリカへの直行便のRORO船(巨大な自動車専用船)が使えるようになり数も稼げるようになる。全世界に門戸を開いていたおかげで、分散型投資さながらリーマンショックなどの影響を受けない国との取引が加速する。出荷する車にはビィ・フォアードのロゴ入りステッカーを貼ることで認知度も上がっていく。アフリカではちょうどスマホが普及し始めた時期であり口コミの効果は絶大だった。

「このビィ・フォアードってなんだよ?」

「えー、知らないの?今日本から直接買えるんだよ」

「そんなのあるんだ。でも、高いんでしょ」

「いやいや、今までより全然安いんだよ。調べてみ」

みたいな感じでどんどんアフリカをはじめ各国で認知度が高まっていく。その後も個人客を中心に売り上げを伸ばし、港にストックヤードを構えたり、内陸部に輸送するためシティ・デリバリーを公式パートナーと連携して行ったりと数々の施策を打つ。

こうして小さな中古車販売店から暖簾分けしてもらいそこから輸出向けの会社として独立してからECサイトとして世界中でトップテンに入る国もあるぐらいのページビューを誇るサイトへと成長した。20万円以下の統計には反映されないような車の輸出で成功したビィ・フォアードはGoogleからも「このビィ・フォアードって、いったい何者なんだ?誰か調べたのか?どうしてこんな膨大なトラフィックを、アフリカから日本へ運んでるんだ!」と言わしめることとなる。

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