アゴを引くと、重い頭が胴体の真上に位置して、脊柱が最も安定した形(ニュートラルポジション)になり、上半身の重さを「骨」で支えられるようになる。だから、頸や腰への負担が大幅に軽減され、肩こりや腰痛症の予防・改善になるのだ。また、頭が正しい位置にあるときは、全身の運動効率が高まるため、最小の力で最大の力を発揮できるように。
人は予防医学的なアドバイスに耳を傾けない
すでに何らかの病を患っている人たちに、予防医学的なアドバイスをしても、関心を示さないことが多い。たとえば、椎間板ヘルニアと診断された人に、それを悪化させない座り方を紹介しても、「自分は椎間板ヘルニアになっているから、今さらやっても遅い」「知りたいのは予防ではなく、改善させる方法だ」とそっぽを向かれてしまうのだ。こういう人たちは、症状の改善を目的とした「治療」と「予防」を別個に考えているのだが、その根っこは同じなのである。腕のいい視界に診てもらっても、歯を磨かなければ虫歯が改善しないように、予防は、病状に関係なく効果があり、自覚症状があってもなくても継続する必要があるのだ。
確かに特定の病気にかかっていない状態では、「予防」と言われてもピンとこないし、病気にかかった後は「治療」をのぞむのが一般的かもしれない。これは皆保険制度により病気の人が保護されている日本では普通の感覚かもしれない。しかし、世界一の長寿の国日本でこれからは単に長生きするだけでなく、もっとQOL(Quality Of Life:生活の質)を高めることに傾注してもらいたいと著者は言う。それには腰痛など痛みのない体を保つ必要があるだろう。
アゴで身体の歪みがわかる
読者諸氏は鏡の前に立って、次の3カ所をチェックしてほしい。
①鎖骨の中心にある窪み
②アゴの突端
③頸の中心軸
もし、アゴと頸の中心と鎖骨の中心の窪みとが垂直線上になければ、それは頭の重さを正しく支えられないということである。そのような歪みがある状態が続けば、頸から肩見かけて凝りが生じるだけでなく、頸椎の椎間板や関節の変形を早めることになり、問題が深刻になっていく。
鏡でチェックしながら3点を一直線にした時に違和感があれば、身体か脳のどちらかが歪んでいる可能性が高く、それが常態化してしまっている。
アゴはやる気のスイッチ
マラソンの中継で「〇〇選手、アゴが上がってきて苦しそうですねぇ」という解説を耳にすることがある。アゴが上がると骨盤が後傾して、脊柱のS字を保てなくなり、推進力が大きく低下するのである。体力にある程度の余裕がないと、激しいパフォーマンス中に顎を引き続けられなくなる。アゴを引く大切さをわかっていながらも、息が続かなくなると、アゴが上がって頭が前に出てしまう。こうなると、重心が後方に移るので推進力が落ちてしまう。試しにアゴを上げて歩いてみると、歩行速度が著しく遅くなるのがわかるはずだ。
特に運動が不得意な人たちの動作フォームを見てみると、アゴが上がりやすく、ニュートラルポジションとかけ離れた姿勢になっていることが多い。状況や体調に合わせ、意識的にアゴを引いたり出したりして、スイッチのON、OFFを切り替えると良いだろう。アゴを引くメリットは①相手に与える印象が変わる②骨盤が前傾して姿勢を正すことができる③ふらつき、頭痛、頸の痛みが改善される④舌を上アゴにつけると頸や腰への負担が減る⑤舌を上アゴにつけると鼻から息が吸いやすくなるなど。
お尻の威力
お尻の割れ目を締めるように力を入れるだけで、骨盤が固定されて、前のめりや猫背の姿勢を防止・改善できるのである。(中略)試しに、お尻を意識せずにお辞儀をした場合と、お尻に力を入れたままお辞儀をした場合とを比較してもらいたい。お尻を締めないと、簡単に上体をかがめられるが、お尻に力を入れたままだと、ほとんどかがめなくなることが実感できるだろう。お尻に力を入れて立つ習慣をつければ、特にスクワットをやらなくても、生涯、猫背にはならないと約束してもいい。
実際にやってみるとお尻に力を入れた時は、お辞儀をした時、筋肉がプルプルいう感じがして姿勢も良くなった。日常的にお尻を意識して締めるようにすれば無理な筋トレを行うよりずっと楽に良い姿勢を手に入れることができそうだ。座りっぱなしの仕事の人などには、お尻を締めて骨盤を固定してから、上体を反らして腰の筋肉を休ませるストレッチを20分に1回のペースで行うと腰痛発症のリスクを軽減できる。①定期的に腰を反らす習慣を身につければ、腰痛の予防になる②お尻を締めると、猫背や前のめり姿勢を抑制できる③お尻を締めると、下腹がへこんでヒップアップする④しゃがむ動作とかがむ動作を使い分ければ、腰痛予防・改善につながる⑤かかしストレッチで身体に中心軸を整えれば、ギックリ腰にならない。
このほか「呼吸」「頸の痛みの解消法」「足にかかる負担」「正しい靴の選び方」「椅子に座りっぱなしのリスク」「腰、足、膝、肩などの慢性痛との付き合い方」などが載っています。「年を取ってくると身体のいたるところに欠陥が‥‥」なんてことにならないようにしっかり予防しよう。
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