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空気を読む脳|中野 信子

空気を読む文化、それが忖度だったりして色々と問題が起きたりもする。優れた協調性など良い面もあるがそれが足かせとなる場合も。皆で徒党を組んで人を引きずり落とす快感のようなものが跋扈しているように思います。日本人の特徴を知ることで、世界との違いを認識し、それがひいては未来に役立つなんてこともあろうかと思います。

日本人はなぜ「醜くても勝つ」より「美しく負ける」ことを選ぶのか?

これは「自分は利他行動を優先しているのに、あなたはなぜそれを正当に評価せず、利己的に振る舞うのか」「なぜ自分を不当に扱うのか」という心情が働くからなのではないかと考えられます。このとき、人は「社会性というルールにあなたも従うべきだ、そうでないならペナルティを負うべきだ」とその相手に罰を与えようとしますが、これには社会的制裁としての意味合いがあるのです。最後通牒ゲームでは、その心理が拒否権の行使というかたちで表され、自分の利益もゼロにしてしまうという点が興味深いところでした。では、実社会ではどうでしょうか?独裁者ゲームに似て、現実的には相手に対して拒否権を持つことのできる状況はあまり多くはありません。しかしながら、コストをかけてでも、不公正な相手にペナルティを与えたい、という心情そのものは消えることにはなりません。前項では、協調性の高い人たちでセロトニントランスポーターというたんぱく質の密度が有意に低く、社会性のルールに従わないものはペナルティを負うべきだ、自分を不当に扱うものは許せない、利益を失ってでも制裁を与えたい、という気持ちが強く働くことを説明しました。日本で、ルールを少しでも逸脱した人がバッシングを受けてしまう現象が相次いでいますが、根底には、セロトニントランスポーターが少ない、という脳の生理的なしくみが関与している可能性があります。

よく柔道で一本勝ちが美しいとされ、それにこだわるあまり醜い勝ち方を敬遠した結果、試合に負けてしまうなんてことが起こります。勝負事に関しても日本人は独特な美的感覚を持ち合わせていて、僕はそんなところが好きだったりします。ゲームなんかでも、そのゲームの特性を理解し、最良の勝ち方を考えるとどうしても美しくない勝ち方になってしまったりする。どうせだったら圧倒的な力の差で美しく勝つだけの余裕が欲しいものですね。

ブランドを身につけると、なぜ「人生で得をしがち」なのか

街を歩いているとき、にこやかに近づいてきた見知らぬ人から「アンケート調査にご協力をお願いできませんか?」などと話しかけられた経験を、誰でも一度や二度は持っているのではないかと思います。こうしたアンケートに応じる人は実際、どのくらいいるのでしょうか?オランダ、ティルブルグ大学のマイヤーズらの研究によれば、近づいてきた調査員の服装によって、アンケートに答えてくれる人の割合が変わったといいます。まったく知られていないブランドのロゴがついたセーターを着ていた場合には、アンケートに答えるのを承諾した人は約 14%でした。だいたい7人に1人くらいです。しかし、ラコステのワニのロゴがはっきりわかるセーターを着ていた場合には、なんとアンケートに答えてくれた人の割合が約 52%になったのです。実に半分以上の人が、調査員が見知ったブランドのセーターを着ていただけで、協力的な態度をとった、ということになります。寄付金の額についても同じような結果が報告されています。ここでもなんと、見知ったロゴつきのセーターを着て依頼した場合には、そうでない場合に比べて、寄付金の額が倍になったのです。

ブランドを身につけることは経済力と信用の証みたいなところがある。僕はお金はないがその中でも自分の気に入ったものがブランド品ならば躊躇なく買います。中には欲しくても手に入らないものもありますが。あまり誰にでもわかるロゴがデカデカと入ったものは好みではありませんが、いいものはいい。

女性の容姿への「残酷な心理実験」が映し出す現実社会

性的魅力を持っていることと仕事上の評価や成功との関係は、そうクリアカットには決まりません。複数の研究が、「女性では容姿の良さがマイナスに働き、美人は平均的な女性よりも損をしてしまうことがある」としています。外見が良いことで性的類型化が起こりやすくなります。このことは男性では有利に働きます。外見の良い男性では性的類型化が起これば「男性的」に見られるのです。すなわち、力強く、職務遂行能力が高く、決断力がある、などとみなされるので、仕事上の評価には外見の良さが有利に働きます。一方、女性はそうではありません。「女性的」であることは少なからず消極的であり、堂々としておらず、意欲や決断力に欠け、セクシーすぎる、と偏見を持たれてしまいます。あるいは、そうであるべきだという暗黙の圧力が、異性からばかりでなく同性からも加えられます。そのステレオタイプに当てはまらない、容姿に優れた女性がいたとすると、周りから「性格が悪い」だの「結婚しない」だの「子どもをつくらない」だのと攻撃され、いつの間にかステレオタイプ的に振る舞うように社会が彼女を「洗脳」していくのです。 「美人はほかの人よりも、人間ではなく記号やモノとして扱われる傾向が強くなってしまう。すると、人間ならば保持しているはずの能力に劣ると思われてしまうために、部下や一兵卒としては良くても、管理職やビジネスパートナーとしては適任であるとみなされにくくなってしまう」とする調査結果があります。

ある会社では美人の女性ばかりを採用し、男性社員のアシスタントにつけることで、恋愛を誘発し、あわよくば社内結婚に持ち込み会社への忠誠心を植え付けるという施策を行うことがあると言います。女性蔑視というかいまだにそんな会社があるのが不思議です。

人間は空気を読む生物。周りの空気を読む人ほど生き辛い世の中。相手の気持ちに寄り添いすぎるのも困ったものです。そんな人たちに送る脳科学の本。

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