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勝つための状況判断学 軍隊に学ぶ戦略ノート|松村 劭

      2019/11/26

異なる国の軍隊が共同して戦う連合作戦は、いかに遂行されるのか。指揮系統の上下間や部隊間で、スムースな調整を行なうためには、「見方、考え方」の順序を厳密に定めることが不可欠だ(「軍隊の思考過程」)。一方で、組織の上に立つリーダーの思考法は正反対。体験的知識をもとに「直覚」を活用し、電光石火、手を叩く間もなく決断し行動する(「プロの思考過程」)。本書では古今の軍隊の豊富な事例と名将の言葉をもとに、状況判断における二つの思考過程を徹底的に解剖する。

部下の操縦法

どんな思考過程であっても、スタートは命題(目的)から始まる。企業でも同じで、社員は、命題を任務として上司から付与される。一般に、任務は自分から発案するものではないから、ただ気楽に従えばいいかというと、それでは主体性に欠ける。そこで、「なぜこんな任務が与えられたのか?」をさかのぼって考えてみることになる。任務の目的を分析するのである。気のきく上司なら目的をはっきりいうだろう。目的をいわない上司だったら、上司の心の奥底を覗いてみないとわからない。もし、上司が建前の目的とは別に本音の目的をもっていたら、いくら良い目標(いつ、どこで、何を、どうすれば良いか)案を考えても、それは的外れということになる。武田信玄は、部下に任務を与えたとき、それは信玄の発想から生まれた命令であり部下自身の発想から生まれたものではないため、部下が積極的に達成しようとしないことが多いことを経験的に知っていた。「いやな仕事だ。できればほかの者が引き受けてほしい」と思う部下がいれば作戦は成功しない。そこで信玄は、軍師だけではなく、城持ちの直近の部下(直臣)を集めて作戦会議を開いた。そして一同に対して状況と作戦目的を話した。「どんな策案があるか、忌揮なく進言せよ」いかにも自分に案がないふりをして部下たちに聞くのである。軍師にはしゃべらせない。積極的に案を述べるものもいるが、沈黙を守るものもいる。信玄は、議論が白熱し、全員が所論を述べるまでじつと待つ。そして、信玄が心中深く決断していた作戦計画に合致する意見が出つくしたのを見て、「みんなの意見や良し」と挙め、自分の作戦計画に合致した意見を述べたものに対し、その任務を与えた。

いかにも信玄らしい部下の操縦術である。自分の心のうちでは決まっている懸案事項でも、部下の意見を聞きそれを自分の下した決断に寄せていく。部下の意見を採用したかのように装うのは、なかなか面白い部下操縦術だ。これなら部下の信頼を得つつ、作戦を自分の思い通りに立案できる。

国防の剣と盾

国防力は「剣と盾」である。しかし自衛隊は「盾」で、しかもその想定戦場は日本の領域である。「剣」の役目を果たすという米軍も、日本の施政権が及んでいる範囲が攻撃されたとき(安保条約第五条)に限定されている。すなわち、自衛隊は「檻に入れられた番犬」である。外に出て噛みつくことはしないと国防白書で公言している。だから、イタズラ小僧は檻の外から何でも好きなことができる。日本人泣致、麻薬密輸などしたい放題である。「日本海の軍事的空白(剣の不在)」が泣致問題をひき起こした基本的原因なのだ。それなのに防衛庁は「剣」をもとうとはしない。脅威の大きさは、日本の防衛力の大きさを考慮して発生するものではない。相手の必要性に応じて発生するから、わが国の防衛努力とは関係のない独立した思考の要素であることをごまかしている。脅威をごまかしている平時だけの自衛隊は「戦わない自衛隊」だから防衛戦争計画をもたない。もちろん、防衛庁は戦わないのだから戦闘ドクトリンを開発していない。要するに「怖いことは考えない」防衛庁になっている。

最近では中国は外洋に力を発してきたためアジアの緊張は高まってきている。日本において言えば、北朝鮮問題と韓国との歴史認識と貿易をめぐる摩擦も日本の経済に影響を与えている。日本がしっかりした対応を取らないと、アメリカに頼ってばかりでは今後、これらの国にいいようにされてしまい、日本の国防や経済はどんどん隅に追いやられてしまいかねない。

権威に弱い人間

人間は権威に弱い。戦場からの報告もあまりにも上級司令部の見積もりとかけ離れていると疑われる。中間司令部も現場からの報告よりも上司の見解を尊重する。ましてモスクワからの報告が上司の見積もりを裏付けている。第一線の若い将校の報告など「針の穴から天覗く」ようなものだとして退けられる。こうして日本軍は戦争の転機を見失った。なぜこんなことになるのか?それは官僚が悪いのではない。官僚に対して仕事を要求する側が、「論理の無謬性」と「計画の連続性」を要求するからである。現実にわれわれが直面している国際情勢は、かつて名将たちが直面した戦場の情勢と同じである。数多くの軍事史を尋ねていると、「情勢や戦局は天気図と同じだ。高気圧と低気圧だけではない。不連続線がある」といえる。官僚が作成する計画は、不連続線に対応できない。まして、突然の竜巻には。

権威に弱いのは人間の常。僕は本を読むのが趣味なのだが、よく本の帯にその本を推薦する有名人や知識人の名前が載ってたりするとつい手に取ってしまう。結局は内容が自分好みかどうかによって買うかどうか決めるのだが、Amazonでの購入だと中身が自分で確認できない(内容や著者略歴などはサイトで確認できるが)ので一か八かになりがち。

数々の戦史に残る名将たちの英断を現代に生きる僕たちの判断に役立つ状況判断の物差しとして紡ぎ直した書籍。歴史好きの人はもちろん、ビジネスや投資にも役立ちそうな状況判断の数々を引っ張り出して解説してくれています。

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