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冤罪 田中角栄とロッキード事件の真相で逮捕から40年を振り返る

      2016/11/14

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冤罪事件には、共通する構造がある。著者が巻き込まれた郵便不正事件、それがロッキード事件の捜査と裁判に酷似しているということに着目し、事件の根底にある政治的意図を指摘。一貫して無実を主張した田中角栄と、やはり無実の訴えを貫いた村上厚子。裁判の結果は全く逆だが二つの事件はダブって見える。郵便不正事件により特捜部による「冤罪」を目の当たりにした著者があの事件の司法、マスコミに改めて問う角栄の無実。逮捕から40年側近中の側近が明かす当時の記録。「キッシンジャーにやられた」とオヤジは言った。その真意とは。

「頑張って上がってこい」と封筒を渡された

著者が1967年1月の総選挙で初めて兵庫1区から立候補することになり、角栄に挨拶に行く際、兄貴分だった竹下登(のちに総理大臣)からこんなことを言われた。

「目白に行ったら、はっきりモノをしゃべれよ。あの迫力に負けたら何も言えなくなるからな」。さらに「たぶん金をくれるから、もらったらすぐに僕に報告しなさい」と。

封筒には30万円(現在の価値で言えば300万円ほど)が入っていた。このエピソードを読みやはり田中角栄は「金権政治家」という解釈ができるが、角栄のすごいところは、他人から取り上げた金ではなく、自分の商才で築いた蓄財を使ったということ。身近に接する人の冠婚葬祭には可能な限り出席した。見込みのある職員には、奥さんが病気と知れば、必ずお見舞いを、子供が大学に入ったと聞けばお祝いをした。

「陰謀」の構図

  • 米国において、キッシンジャーという人物が力を蓄え、大統領補佐官から国務長官まで昇格し、ニクソンやフォードにしても、外交はこの人物に託する体制が確立した。
  • キッシンジャーは日中国交回復や資源外交を通じて日本の田中角栄に対して苛立ちや警戒感を抱いていた。
  • 当時ロッキード社が全世界に向けて民間機や軍用機を販売するため相当な賄賂を各国首脳や政府高官に送っているという動きが表面化。これが日本だけでなく、西ドイツ、イタリア、イギリス、フランス、トルコ、オランダ、スペインにも飛び火した。
  • 米国の政治資金規制の関係から、これらの資金が大統領選挙のために米国へ一部が還流したという噂も伝えられた。

ロッキード社は民間機(トライスター)だけでなく軍用機(P3Cオライオン)も製造しており、特にP3Cの日本への売り込みが最重要課題と言われていた。しかしP3Cを取り上げるとなると、日米間の防衛汚職として、両国の安全保障体制を揺るがす大スキャンダルに発展する恐れがあったため、これらには触れなかった。

商売としては一機五十億円、二十機売り込んで一千億円のトライスターと、一機百十五億円、九十機で一兆円と言われるP3Cでは「ケタ」が違うというのが、関係者の一致した見方であった。

ロッキード事件を「冤罪」とし、角栄のサイドから見た書籍で「P3Cのことは墓場まで持って行く」と言った真意は今ではわからないが、一兆円規模の汚職を隠すためのスケープゴートであったのかもしれない。

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