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両利きの組織をつくる──大企業病を打破する「攻めと守りの経営」|加藤雅則 他

5年という短期で劇的な変化を遂げた企業AGC(旧旭硝子)を例にとり「両利きの経営」を。世界的な経営学者と日本の組織力学を熟知した男が語るその組織進化、変革の理論と実践とは?

両利きの経営

「両利きの経営」の実践例としては、オンライン書店から事業領域を広げてクラウド・コンピューティング事業を伸ばしてきたアマゾン、ハードウェア企業からサービスプロバイダへの転換を果たしたIBM、衰退期にある新聞事業を維持しつつオンラインニュース事業を育てたUSAトゥデイなどが挙げられており、日本企業では写真事業から医薬品や化粧品などへの多角化を成功させた富士フイルムが好例として語られている。

業態転換を成し遂げた富士フイルムとよく対比して語られるのが、米コダック社だ。富士フイルムのライバル企業であったコダックは二〇一二年に倒産した。デジタル化への対応が遅れたためと言われている。企業活動が「深掘り」に偏り「探索」を怠ったために、時代の変化に適応できなかったのだ。「両利きの経営」を実践できるかどうかは、企業の命運を分ける大問題なのである。 「両利きの経営」の背景には、「成熟企業は自ら変われないと新興企業に一気にディスラプト(創造的破壊) されてしまう」という強い危機意識があるのだ。

異なる組織能力を併存させる

もしかすると読者の中には、「両利きの経営」について、「これは当たり前のことではないか」という感想を持つ方もいるかもしれない。実際、既存の事業を回しながら新しい事業に投資していくというだけなら、言い古されてきた事業ポートフォリオ論に見えるだろう。

しかし、既存事業と新規事業の両立は、現実には口で言うほど簡単ではない。というのも、既存事業を深掘りする活動と、新規事業を探索する活動とでは、求められる組織能力が異なるからだ。 「両利きの経営」を論じる上でしばしば参照される「イノベーション・ストリーム」というフレームワークを見てほしい。これはイノベーションの生まれ得る領域(方向性) を整理した図である。コア事業を「深掘り」しながら、どの方向に「探索」するかを考えるための枠組みと言える。

両利きの経営というといくつかの企業が思い浮かぶ。身近なところだとAmazonだろうか。オンライン書店からの事業領域展開はまさに両利き。誰も成功するとは思わなかったネット書店。本は紙で読むものという常識を覆し、Kindleのサービスは今では一般的に。そして紙の本も最短翌日に届くという便利さ、欲しい本の検索性などを武器に読書家の味方に。そして出版の常識を覆し出版社を介さずに書籍の販売販路を確立させた。そこから、今までは日の目を見ることがなかった作家たちの本たちが多くの人の手元に届くように。

異なる二つのアラインメントを追求する

リーダーシップ……トップダウンとミドルアップのハイブリッド型のスタイル。新しい領域に進出するためには、トップ自らが変化を推奨し、新しい組織カルチャーの形成に前向きである必要がある。また時間軸の異なる既存事業と新規事業を両立させるためには、臨機応変なリーダーシップが求められる。たとえば、足元の収益を稼ぎ出さなければならない既存事業に対しては正確・確実な業務遂行を求める一方、一〇年先を見据えた新規事業には「失敗を恐れるな」と激励しチャレンジを促す、という矛盾を抱えなければならない。

戦略……顧客との親密さをベースに、顧客と共にイノベーションを起こすのが基本方針(Your Dreams, Our Challenge)。そのためには、顧客から最初に声をかけられる存在でなければならない。ニッチマーケットにおける少量生産・高コスト構造を可能とする高収益を目指す戦略である。

KSF(成功の鍵)……長期の時間軸で、競合に真似されにくい、技術的なイノベーションを起こす力。それは顧客との親密な関係を構築できる力に支えられる。

人材……技術的な専門性を有しつつ、果敢に粘り強く新しいことに取り組む人材。言われたことを確実にこなすのではなく、上司による課題設定さえ疑い、目的のためにはフレキシブルなアプローチがとれる人材。

公式の組織(構造・制度・手順)……できる限りフラットな組織で、迅速な意思決定ができる組織。また年次よりも実績を評価し、新しい取り組みを評価する。キャリア採用も積極的に行う。個人の評価だけでなく事業の評価にも、従来型のPDCAとは異なる評価尺度が必要。

組織カルチャー……イノベーションとスピードを重視し、フレキシブルに、新しい試みを歓迎する。失敗を回避するのではなく、やってみることを良しとする。また自社の視点だけではなく、市場・顧客の視点に対する洞察を大切にする。たとえば、自社の技術に執着せず、顧客の用途機能開発のためには他社との協働も厭わないなど、自前主義にとらわれない姿勢をとる。

これからの企業の組織論を語る上で欠かすことのできない二つのアラインメントを両立させる戦略。バランスをとりつつ両刀を使うにはしっかりとしたリーダーによるビジョンが必要。取捨選択を迫られる場面でこの鉈を振るえるかがキモ。

破壊的イノベーションが起こり組織のかたちが地殻変動を起こす現代においてリーダーが目指すべき組織論を展開。組織が大きくなればなるほどその効果を発揮するのが難しくなるが、そんな大企業を変革の渦に引き摺り込んでしまうパワーの全貌を垣間見た。

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