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ウォーキングの科学 10歳若返る、本当に効果的な歩き方|能勢博|ランニングはキツイがウォーキングならすぐにでも

ランニングはキツイがウォーキングならすぐにでも始められます。しかし、ただなんとなく歩くだけでは体力アップはむずかしいことも事実。この書籍では科学的に「どれくらいの速度で」「どれくらいの頻度で」「どれくらいの時間行えば」「どんな効果が得られるのか」を徹底的に研究し明確にしました。

1日1万歩は体力アップになるか?

読者のほとんどが、1日1万歩歩けば、体力(筋力・持久力)も向上するだろうと考えられていると思うが、それは本当だろうか。私たちは、それを自分たち自身で確かめようとした。事業の詳細は【巻末付録1】を参考にしてほしいが、大変な実験だったので、簡単にその経緯を述べる。

今から 20 年以上前の1997年、当時の松本市で、中高年者を対象としたウォーキングの会「松本市熟年体育大学」事業が発足した。きっかけは、1998年長野冬季オリンピックである。当時の市長、故・有賀正氏が、市民がスポーツに関心を深めていることに気づいて発した「オレはウォーキングで市民を健康にする」の鶴の一声ではじまった。ちょうどオリンピックを契機に、信州大学にスポーツ医学の講座が開設され、そこに私が赴任したが、それを知った市長からの依頼で事業を手伝うことになった。

そこで、「1日1万歩、毎日歩けばどのような効果があるか」を検証するため、年間100人の参加者に歩数計を配り、毎日の歩行数を日誌に記録してもらった。月に一度、市の体育館でイベントを実施し、その日誌を回収し歩行記録を市の職員にコンピュータに打ち込んでもらった。これはなかなか大変な仕事で当時の松本市の職員はよくやってくれたと思う。はたして、なんと、参加者の1/3が1日1万歩をほぼ毎日、1年間歩き続けたのだ。さすが、生真面目がモットーの信州人だ、と思った。そして、3年経って合計100人について、1日1万歩の効果の検証を行った。

その結果、血圧が少し下がる、血液が少しサラサラになる、ことが確認できたが、体力の顕著な向上は確認できなかった。そして、今から思えば、体力が向上しない分、血圧や血液成分の改善効果も満足なものでなく、努力する割には報われない、という結論に至った。

そこで、運動処方について、改めて米国スポーツ医学会のガイドラインを調べたところ、一般人が1日1万歩、歩く際の通常の「運動強度」が低すぎる、という記載があった。

一日一万歩というのはウォーキングする上での目安として広く知られていることだが、それを実際に一般人を使って検証した成果がこれ。一日一万歩ただ漠然と歩いただけでは運動強度が低いのだそう。ではどのように歩けばそれなりの効果が得られるのか?そんな疑問を後半で解説。

がん患者の生活の質の改善効果

運動ががん予防に効果的であると述べたが、すでにがんを患った方の生活の質を改善することも報告されている。私たちは、がんを患って、手術・化学療法の治療が一応終了した 20 名(女性 18 名、男性2名:年齢 30 ~ 70 歳)を対象に、6ヵ月間のインターバル速歩トレーニングを実施し、その前後で体力測定、QOL(生活の質)に関するアンケート調査を行った。

がんの種類は、乳がん7名、肺がん3名、そのほか後腹膜肉腫、前立腺がん、後腹部肉腫、十二指腸腫瘍、腎がん、脳腫瘍、舌がん、子宮体がん、胆管がん、甲状腺がんが各1名ずつであった。

その結果、トレーニングの実施率は 50%で2日に1回と非常に高く、6ヵ月後には最高酸素消費量が 18%、膝の伸展筋力が 14%向上し、血中総コレステロール値が5%低下した。

さらに、アンケート調査によれば、がん発症前の生活習慣について、まったく運動をしなかった方、あるいは少し運動をしていた程度と答えた方が全体の 90%以上で、また、仕事が多忙で生活にストレスを感じて睡眠不足だったと答えた方が全体の 80%もいたが、インターバル速歩によって 70%以上の方が、睡眠が深くなった、体調がよくなった、思考が前向きになったと答えている。

さらに、研究を担当した大学院生が論文の中で、現在のがん医療の問題点について、次のように指摘しているのが印象的だった。

彼は、現在のがん医療は、がんの診断・治療に重点が置かれ、社会復帰後の心理的ケア、健康維持ケアがないがしろにされている、ということを指摘している。

たとえば、ある患者さんが病院で手術・化学療法など一連の治療が終わったときに医師から言われるのは、これで医師としてやるべき治療は一応終わったこと、今後5年間のがんの再発率は○%であること、などである。

患者さんが、がんの再発を予防するために何か自らできることはないかと医師に尋ねると、大抵の医師は、とりあえず何もない、定期健診にきて、後は自分に任せてくださいと答えるそうだ。その結果、自分の人生を医師に握られてしまった、という印象を持ち、いつもがんの再発を気にして、積極的に自分の人生を切り開く意欲をなくしてしまう、ということだ。

一方、運動によってがんの再発リスクを下げることができるという研究結果は、患者さんが、がんと戦える大きな武器を手に入れたと感じるようだ。そして、がん患者同士、お互い励まし合いながら運動をするという行為は連帯感を生み、社会からの孤立感を和らげることになり、生活の質が大いに改善する、というのだ。

この論文から、私自身、インターバル速歩の新たな可能性に気づかされ、さまざまな難病に苦しんでおられる方々へのインターバル速歩の導入の可能性を考えるきっかけになった。

著者考案のインターバル速歩の効果でQOLが上がると実証されたことで、皆さんにも勧められる運動であることがわかった。その方法が仔細に記載されているので興味のある方は読んでみてほしい。運動強度を少し上げることで十分な効果が得られるよう進化したウォーキングなので是非。

驚くほど身体が変わるウォーキングのすすめ。スポーツ生理学と7000人に及ぶデータからわかったジムの筋トレと同じ効果が得られるウォーキングの方法とは?

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