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インターネットは永遠にリアル社会を超えられない|古谷経衡

インターネットでの世論は少し偏っているとみた方が良い。ネットの世論が正しいと思うのにはちょっと危険が潜んでいる。氷山の一角に過ぎないネットの声を分析、ネットの声に踊らされる人たちに警鐘を鳴らす書籍。

エウロパの氷とその下にあるもの

インターネット空間も、表面だけを見ると、ときとして攻撃的で、あるいは差別的で醜悪で品性の欠片もない言動の数々が否応なく視界に入ってくる。 つまり、そういった声のみ、つまりエウロパでいうところの表面の氷の外皮だけを見て、それが「全体を代表している」と見做すのは、適切な評価ではない、ということだ。 インターネット空間にあふれる差別的な言説を見て、「日本人の知性が低下した」とか、「日本社会が右傾化している」とよくいわれる。 しかしそれはあくまで「表層」に過ぎず、それのみを見て全体を断定するのは、エウロパの表面の氷を見て、その下の水の存在を黙殺していることに等しい。 現在、エウロパの氷をドリルで割って、その下の水の領域を探査する計画がある。 生命が存在するかしないかは賭けだが、氷の下には、多種多様な海洋生物が暮らしているかもしれない。豊富な生命の源が渦巻いているかもしれない。 それと同じく、インターネットの表面的な声だけをすくいあげて、それを日本人とか、日本社会全体の声を代弁しているととらえることは、事実や物事を歪ませることだと思う。 本来の、豊かで常識的で、かつ自由で謙虚な日本人の、「大多数のもの言わぬ沈黙の民」を見ることなしに、表面の氷のみを見て、日本や日本社会が劣化していると決めつけるのは、実におかしい話ではないだろうか。

ネットでは声の大きい人の影響を受けやすい性質から、偏った意見が蔓延する傾向にある。有名ブロガーやYouTuber、フォロワー数の多いSNSの人たちなど。こうした人の発信だけを受け取ってそうではない氷山の下層、海面の下にある意見について全く無視するのはかなり危険。最近ではテレビを見ない、新聞を読まないという人たちも増え、その傾向はさらに顕著に。できるだけいろんな声を拾って自分の意見に反映したいですよね。

日本人に特有な時間の使い方

欧米などの主要国と日本の比較だが、日本人は睡眠時間が短く、平均で8時間を下まわっている。英・仏・伊・豪など、主要先進国とくらべても短い。 まさしく「眠らない国・日本」なのだが、その理由はなぜだろうか。 それは第一に、長引く不況の中、「サービス残業」などに代表される長時間労働の悪弊があらゆる業態で横行していることだ。 実際、こういった「時間外労働」を加味した日本人労働者の平均労働時間は、年間2000時間をゆうに超え、アメリカの1800時間、イギリスの1600時間、ドイツの1400時間などとくらべて、突出して長い状態が是正されぬまま、続いている。 日本の国民所得はドイツやイギリスと大差ないが、労働時間はそういった欧米の主要国とは大きく異なり、むしろ開発途上国に近い。こういった非効率で生産性の低い日本人の働き方は、明らかに前述した睡眠時間の短さに影響している。 またさらに、日本が戦後、国策として推進してきた「持ち家政策」により、土地価格の安い郊外に分譲住宅が求められるようになり、「遠・高・狭」(遠い、高い、狭い)という言葉に示されるように、大都市圏では住宅と職場が不自然に離れ、通勤時間が長大となっていること、なども原因の一つだろう。 毎日の通勤時間によって時間が圧迫されることにより、「ネットをのぞく時間」はあるものの、「発信を行う時間」をつくることが難しくなっているのだ。 よく考えなくてもわかることだが、ネットを閲覧するという行為は、スマートフォンなど移動体通信の加速度的な普及により、誰しもが容易に行えるようになった。

日本人は労働時間が長い割に生産性が低いという問題。先輩や同僚の残業に付き合って仕事があるわけでもないのに何となく残業したりする日本人。こうしたコストに見合わない働き方はこれからは是正される方向にいくだろう。働き盛りの世代がシフトしていく過程で考え方も欧米風に進化していくだろう。

黒船にはならなかった電子書籍

書籍にかんしていえば、「電子書籍」が出版界に革命をもたらす、と騒がれてひさしい。 書店の流通を通さず、出版社がダイレクトにユーザーに売ることのできる電子書籍は、印刷、流通のコストが事実上、存在しないばかりか、出版社や小売店を悩ませていた「返本」という概念も存在しない「夢の形態」として、ゼロ年代初めから電子書籍の登場を好意的にとらえる文脈の中で、関連書籍が次々と(しかしそれは紙の本として)刊行された。 当然電子書籍は製作コストが安くなるから、販売価格は安く抑えられ、また著者への印税はその分、高額にすることができる。 出版社、読者、著者の三者が一様に得をする「Win-Win」の状況が本当に叶うのであれば、それはまさしく「大きな可能性を秘めた夢」と形容されるにふさわしい。 また、2012年に電子書籍のリーダーであるキンドルの日本語対応版が発売され、日本版キンドルストアが開設されると、いよいよ日本でもアメリカにならぶ電子書籍の時代が本格的に到来する、として、キンドルがやはり好意的な文脈の中で「黒船」と称され、持てはやされた。 電子書籍が勃興してはや 10 数年以上が経過し、「黒船」キンドルの日本語版発売からもはや2年が経過した。 では、実際の電子書籍の売上はどのようになっているのか。 インプレス総合研究所の資料によると、電子書籍の売上は、2007年ごろから急加速している。また、2012年のキンドル日本版の発売以降、2013年においても大きく上昇し、2013年度では936億円、予測では2014年度は1050億円程度の可能性がある、と指摘されている。

未だ伸び続けている電子書籍の売上。一方、紙の本はというと苦戦は強いられているもののなくなる兆しはない。読書家の多くが読んだ本を本棚に並べる行為を好む傾向にあるからではないのかと思ったりもする。電子書籍は物理的に端末だけなので所有欲を満たすものとしてはちょっと物足りない。

インターネットは便利ではあるが永遠にリアルを超えられないというのは最近の舞台やライブの人気からみてもわかること。その一方で動画配信なども人気を博しています。リアルとインターネットは共存の道を辿ることでしょう。

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