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脳と創造性 「この私」というクオリアへ|茂木 健一郎

      2019/08/23

クオリアは、あくまでも私秘的な(プライベートな)体験である。その私秘的な体験が、逆説的ではあるが、個別を超えた普遍性を支える。確かに、自分の見ている赤と、他人の見ている赤が同じであるということを確認する術はない。しかし、意識の中で感じるクオリアこそが、私たちの生み出す様々な科学、文学、芸術上の作品の普遍性を担保するのである。その普遍性への根拠のない信仰を抜きにして、創造の苦しみに耐えることなどできない。

情報発信が当たり前となった世界で

一昔前は、情報を社会に向かって発信する人は、一握りの人々に限られていた。今や誰でも、自分の創り出した文章、絵、音楽を、インターネットを通して不特定多数の人々に向けて発信することができる。実際、多くの人々がホームページをつくり、ブログを記録し、作品を公開している。水道管をひねれば水が出てくるように、人々の創造性の果実がインターネットを通してあふれ出す時代になったのである。人々の欲望が社会、経済を動かすとすれば、このような変化はいわば必然である。自らを表現したいという欲望は、普遍的で根強いものだからである。

誰でも簡単に情報発信できる時代、ブログやSNS、さらにはYouTubeなど、様々な形で発信する人が増えたせいで、どのメディアもレッドオーシャン化してきている。今から情報発信しようとするのはいいが、勝ち組になるのはかなりの高いハードルがそこにある。厳しさを知った上で、コツコツ信用を積み重ねることをお勧めします。

身体性の意義

ルールに基づく人工知能が、現実の問題に直面した時に破綻することは明らかである。素晴らしい「直観」を与えられている人間が、ルールを杓子定規に遵守する出来損ないの人工知能のように振る舞うことは愚かなことである。せっかく天から与えられた素晴らしい判断能力を使うことなく、ルールがこうだからと融通が利かないのは、自分の脳の潜在的可能性を発揮しない愚かな行為だと言えるだろう。だからこそ、官僚機構というシステム自体に対しては批判という「北風」を吹かせたとしても、官僚一人一人に対しては、むしろその自然な脳の潜在力を引き出すべく、エールという「太陽」の光を送るべきなのである。

直感とかひらめきというのはAIにはない人間独自の身体性。せっかく生まれ持った能力を使わない手はない。ある一定のルールの中で物事をうまく進めるという点ではもはや人間はAIに勝てない。ならば創造性や直感といったものを重視することで違った価値を産むことができる。

脳の歩留まり率の高さ

コンピュータと比べた時、人間の脳が新しいものを生み出す仕組みに潜む最大の驚異は、その「歩留まり率」が異常に高いことである。ある特定の状況で、新しいアイデアが必要とされる時、私たちはうんうんとうなりながらそれをひねり出そうとする。なかなか出なくて苦労することもあるが、いったん「これだ!」とひらめいた時には、そのひらめきの結果生み出されてきたものは、大抵の場合は意味のあるものとなる。アルキメデスが「わかったぞ!(ユリイカ!)」と叫んでお風呂を飛び出した時に、もうすでにそのアイデアが正しいものであることを確信していたように、私たちはひらめくと同時に、そのアイデアが正しいものであることをかなり高い確率で期待している。もちろん、ひらめいたと思っても、時にはそれが勘違いであることもある。もう一度考え直さなくてはならないこともある。しかし、全体として見れば、人間が「ひらめき」体験において意味のあるものを生み出す確率は高い。不思議なほど歩留まり率が高いのである。

僕は折角のひらめきを大事にするためノートをいつも持ち歩いている。何かひらめくのはデスクに向かっているとき以外のこともある。そしてひらめいたらすぐに行動に移すためToDoリストの最重要項目に記載する。そうすることで常に今ある状況を変えていくのである。

ファーストペンギン

ペンギンは、氷雪の上に 棲んでいる。地上には餌になるようなものはない。海に飛び込んで魚などの餌を捕らなければ、飢え死にしてしまう。しかし、海の中にはオットセイ、トド、シャチなど、ペンギンを捕らえて食べてしまう恐ろしい敵も潜んでいる。海に飛び込んで餌を捕りたいのはやまやまだが、食われてしまうことも恐ろしい。できれば、他のペンギンが海に飛び込んで、安全だということが確認できてから、自分は飛び込みたい。まるで先に飛び込む順番を譲り合っているようなペンギンの可愛らしい仕草の背後には、このようなかわいらしさにはほど遠い理屈があるのである。しかし、何時までも飛び込まずにためらっているわけにもいかない。いつかは危険を冒してでも海の中に飛び込まなければ、餌をとれずに死んでしまう。餌がとれるか、それとも食われてしまうのか、避けることのできない不確実性の下で、いつかは決断を下し、飛び込む――海の中に真っ先に飛び込む「最初のペンギン」がいるからこそ、群れ全体にとっての事態が切り開かれるのである。英語圏では「最初のペンギン(first penguin)」と言えば、勇気を持って新しいことにチャレンジする人のことを指す。そのような概念、それを表現する言葉があるということは、それだけ、不確実な状況下で勇気をもって決断する人が賞賛される文化があることを示している。

どの世界でもファーストペンギンが成功をおさめているのは周知の事実。何か新しいことができそうな予感がしたら迷わずやってみると良いだろう。

僕たちの脳は、創造性豊かになるよう設計されている。直感やひらめきを逃さずキャッチして果実の実の部分を味わいたいものです。大抵のチャレンジは失敗してもペナルティのないものばかりなので、どんどん挑戦していこう。

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