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国内外の多言語状況を肯定し、尊重する社会を目指して

      2017/12/11

外に向けては英語、内に向けては日本語ばかりが話題になりがちな日本社会でも、英語、日本語以外の言語を用いたさまざまな営みや教育が行われています。言語の多様性への気付きを促すそのような動きは、異なる言語や文化の背景を持つ人たちとの交流や相互理解に対して開かれた社会、すなわち相互に密接に関連し合っている世界の現状と未来によりよく対応できる社会の形成や人間(単なる「人材」ではなく)の育成に貢献する可能性を持っているのです。一方でその実態はまだ十分に知られているとは言えませんし、その意義が必ずしも広く共有されているわけでもありません。そこで、そのような実践や状況に光をあてて、日本社会にとって「多言語」とは何か、「多言語」がいかに日本社会を変えていく可能性を秘めているか、また、より広く多言語使用や多言語主義にはどのような意味があるのかを探るのが、本書の目的です。

外国語活動の一候補としての多言語活動

たとえば、2014年時点で日本の公立学校に在籍する「日本語指導が必要な児童生徒」の数は29,198人(過去最高)にのぼり、その背景となる言語は、ポルトガル語(28.6%)、中国語(22.9%)、フォリピノ語(17.6%)、スペイン語(12.2%)であり、これら4言語で全体の8割以上を占めています(文部科学省2015)。地域差があるとはいえ、児童の身の回りにはすでに多様な言語話者がいると言えます。問題は、日本ではその事実がほとんど意識されない、あるいは単に「言語能力に問題がある児童がいる」程度の認識でしかない場合が多いことです。

僕が通っていた中学校でも外国人はいた。しかしごくわずかで、日本語の習熟レベルも高く普通に日本人の生徒と打ち解けていた。時代が変わって現在はと言うと、日本語が喋れない、書けないことで授業についていけない生徒も昔よりかなり多くなっているようだ。そうした、生徒を教える側の先生も大変。多言語を扱い授業ができる先生なんていうのはほとんどいないのが現状で問題となっている。特別にクラスを設け日本語学習を補講的に行うぐらいしか方法がない。明るく積極的な生徒の場合は、友達との会話の中で一所懸命日本語を習得する場合もあるだろうが、孤立するケースも少なくない。

かつては、英語の他に外国語と言えばドイツ語、フランス語あたりが学習されていた。僕の学生時代の第二外国語もフランス語だった(フランス語だと女の子が多そうという不純な理由で選択ww)。しかしここ最近では中国語、韓国語などの近隣語の学習が徐々に盛んになっているのだそう。「冬ソナ」の第一次韓流ブームに加え、「K-POP」による第二次韓流ブームでより身近なものとなったのが理由の一つだろう。

「多言語教育」と大学が果たすべきこと

「多言語教育」という観点からは、少なくとも次の二つの役割を果たすことができるでしょう。

一つ目は制度面での貢献です。中等教育での多言語教育の普及を妨げる要因の一つが「受験科目」です。入試における外国語が一言語である限り、どれほど多言語に興味を持っていても、高校生は一言語(圧倒的多数は英語)を選択せざるをえません。この現状を変えるために大学ができることの一つは、入試科目を多言語化することです。たとえばセンター入試では、英語の代わりにドイツ語・フランス語・中国語・韓国語での受験が可能です。また現状ではきわめて少ないのですが、東京大学、大阪市立大学、慶應義塾大学総合政策学部・環境情報学部では、「多言語入試」を実施しています。これは英語の入試問題の一部をそのまま英語の問題か、それ以外の外国語の問題かを自分で選択して解答ができる方式です。それによって、英語だけ勉強してきた学生は英語だけを解答し、英語以外の言語も勉強した学生は「英語+英語以外の言語」で解答することができます。

二つ目は教育面での貢献です。学生に対して、文字通り「多く」の言語が学べる環境を整備することです。大学は多言語に接することのできる最初で、おそらく最後の場所です。

多言語を学ぶ意味の一つにその言語をネイティブスピーカー並みに話せるようになるというものがあるが、それだけでは不十分。その言語が話される社会やその言語を話す人々の多様性なども学ぶ必要がある。自分が暮らしている日本の常識が、世界では非常識であったりすることも同時に学んでいくことが必要だ。

繋がるための言葉の学び

これから社会は、国内であっても海外であっても、ますます多言語・多文化状況になるに違いありません。このような時代を生きていく子どもたちが自分たちの未来を切り開いていくためには、他者と対話する力、共感できる力、異なる言葉、異なる文化の人々と協働し、新しいものを創造する力が求められます。

最近では、AIのディープラーニングにより多言語を翻訳してくれるアプリなどが多く出回っている。旅行などでは重宝するし、SNSを使えば他国の文化に気軽に触れることだってできる。それによって、生身でのやりとりが減っていくのは少し残念な気もするが、今はそういった「コト消費」も重要視されてきているので心配する必要はなさそうだ。

大学の副教材としても使えそうな書籍。各章ごとにディスカッション・ポイントが記されており皆で考える手助けをしてくれます。

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