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「超少子化 異次元の処方箋」を読んで未婚の僕も他人事ではいられない現状を知る

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NHK総合テレビで、2016年2月20日に放送されたNHKスペシャル『私たちのこれから #超少子化 〜安心子育てへの処方せん〜』で取材した内容を元に、追加取材を加え、一冊にまとめたものです。

急速に広がるアンバランスな人口構成

2015年10月1日時点の日本の人口は1億2711万人、前回の調査から約94万7000人減少し、減少率は0.7%国勢調査で人口が減ったのは調査開始以来初めてだ。少子化がこのままのペースで進めば2060年には3割減の8600万人まで落ち込む。問題は人口減よりも若い世代の比率が低く高齢者が多いいびつな形の人口ピラミッドだ。今後30年で高齢者が増える一方、働く世代は4割も減るという試算もある。そんな中、安倍政権は「希望出生率1.8」という目標値を立てたが、実現するだろうか。

優先された高齢者対策

少子化対策が後手に回っている原因は何か。急速に増加する高齢者への対策が急務で、予算はそちらに割かれた。

90年以降、高齢者向けの医療、介護、年金などの社会保障給付金は急増し、75兆円まで膨んだ。一方、児童家庭向け(医療は含まない)は、年々増加はしているものの、高齢者向けとの差は現在14倍となっている。

高齢者に向けての選挙対策用のバラマキだと非難されてもしょうがないような気がする。比較的お金を持っているシニアに向けての広告などが多いように感じる現在。消費を嫌う若者より、シニアにお金を出させるキャンペーンを打つ企業が潤ったりしている。

少子化を打破したフランス

日本では幼稚園から大学まですべて公立に通っても1000万円近くかかる。私立に通わせたなら2000万円を超える。

しかし、フランスでは乳児期の保育費用が補助されるうえ、3歳以上になると、ほとんどの子どもが公立の幼稚園に入り、費用が無料になる。また大学の学費は年間2万円程度で済む。そのうえ、家庭教師を雇ったり学習塾に通わせたりする文化は日本ほど一般的ではない。

そのうえフランスでは、離婚しても、失職した場合でも子育て支援を受けられる。こういった「子供達はすべて平等に育つ権利」と人口減は国力の低下をまねくという考え方がある。国民全体で子どもを育て教育するという国民の合意があるから、日本の3倍の社会保障費負担を受け入れているのだろう。

財源の確保と合意形成

財源の確保をこの本では消費税のアップや高資産の高齢世代から若い世代へシフト。公的年金や恩給の受給者が二人以上いる世帯のうち貯蓄額が3000万以上の世帯に絞り、老齢年金給付を月額1万円削減する。加えて現住居以外・現居住地以外の資産額が3000万円以上の世帯も月額1万円削減する。そうすると年間0.7兆円集めることができる試算になる。さらに、資産税(固定資産税など)の累進か強化や企業による拠出金なども提案している。どれも有効そうだが、1%の金持ちが優遇される資本主義社会では反発が大きくなりそうだ。

例えば宝くじで6億円当たったとしても、一週間であるのが当たり前になるのが人間だ。持つ者から持たざる者へ累進課税を強化するのが一番効果的だと思う。(タックスヘイブンなどへの規制を強化することも含め)

日本社会を子育てシフトへ

男性の育休取得についてまだまだ日本では障壁がある。上司の理解が得られない、昇進に左右する、育休明けの雇用の心配。男女で比べると男性の方が所得が高いケースがまだまだ多く、男性が育休を取るよりも女性がとった方が世帯収入の減りが少ないという事情もある。本当の意味での「イクメン」は少ないのではなかろうか。言葉だけ一人歩きをして現状にそぐわないといった印象を受ける。

子育てと聞いて、「未婚の僕には関係ない」と他人事ではいられない。そんな気分にさせられる本でした。

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