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21世紀の分岐点。深まる混沌と対立、世界はどこへ向かうのか?

21世紀の分岐点。深まる混沌と対立、世界はどこへ向かうのか?2015年、世界は第二次世界大戦終結から70年を迎える。戦後世界の中心にいたアメリカとソ連。ソ連は崩壊し、アメリカもかつての覇権に陰りが見える。そんななか、自称「イスラム国」の台頭をはじめとする宗教の衝突や、トマ・ピケティ教授が言う経済格差の拡大などから、様々な対立や問題が顕在化。ここらで21世紀のあるべき世界の姿を考えてみよう。

サウジアラビアとアメリカが我慢比べ

大陸の地下2000〜3000mのシェール(頁岩)層には、大量の天然ガスやオイルが眠っています。2000年以降、技術革新によって、このシェール層から天然ガスや原油を採掘できるようになりました。これがシェール革命と呼ばれます。とくに2007年あたりから生産量が増加。今やアメリカはサウジアラビアを抜いて世界最大の産油国になろうとしています。そのけっか2つの国が原油価格をめぐって駆け引きをしているのです。サウジアラビアは世界最大の産油国です。一方、アメリカは世界最大の原油の輸入国。サウジアラビアの原油をアメリカが大量に買っていたのです。しかし、自国でシェールオイルが生産できるようになり、もうサウジアラビアの原油を買う必要がなくなりました。となると、サウジアラビアは困ります。そこで、サウジアラビアは「どんどん値段を下げてやろう」と考えたのです。原油生産コストでいえば、サウジアラビアの方が強いからです。

中東諸国の原油生産コストは10〜25ドル。シェールオイルは40〜80ドル。生産コストが低い中東諸国は25ドル程度までなら価格が下がっても損しません。一方、アメリカのシェールオイルは25ドルでは赤字となってしまいます。こうして値下げと言うチキンレースが始まりました。こうした流れからか、シェールオイル事業から撤退する決定を下す日本の商社も。経済的側面ばかりに目が行きがちだが、国際情勢的にも対立が起こっています。サウジアラビアとイランの対立問題です。サウジアラビアとしてはなんとかイランに打撃を与えたい。そこで1バレル100ドルを切ると赤字になってしまう石油採掘コストの高いイランに対し値下げで打撃をというわけです。

アメリカの「軍産複合体」

戦争をすれば、当然、兵器が必要ですね。戦場では、戦車や装甲車が破壊される、消耗される。そうすれば軍需産業会は新しく需要が生まれるので、利益が上がる。逆に戦争がなくなってずっと平和だと「商売あがったり」です。軍需産業界は戦争をしてくれれば商品が売れるので、軍事物資を大量に消費する事態が起きてほしいのです。その一方で、戦争が終わったらどうやってお金を稼ぐか。維持管理だけで儲けようと考えます。装甲車や戦車は、整備に大変コストがかかります。自動車とは訳が違う。維持管理費で、メーカーは利益が上がる構造になっているのです。

装甲車などを軍がスクラップにしてしまうと、その後のメンテナンス費用が得られない。そこで警察などに配る訳です。メーカーにしてみれば、その後の管理維持費をコンスタントに得られる打ち出の小槌となるのです。戦争で消費するものといえばミサイルが挙げられます。トマホークやパトリオットミサイルなどがそれです。戦争が起こるとアメリカの軍需産業の「レイセオン社」への発注が大量に発生します。このレイセオン社への発注が減り在庫が過剰になってくるとどこかで紛争が起きると言う事実。内実はわからないが、そういったことが繰り返されてきたのも現実です。

分厚い中間層が消滅した?

アメリカは多くの問題を抱えています。最大の問題は格差の拡大です。アメリカに分厚い中間層が存在したのは第2次世界大戦後の1960年代ぐらいまでで、それ以降は格差が拡大するばかりです。一握りのエリートや、芸能界やスポーツ界のスターが巨万の富を築き、アメリカンドリームを実現する。その一方で、庶民の生活は苦しくなるばかりです。拡大する格差は、中間層の所得を押し下げてきました。中間層の消滅が、黒人や移民差別問題にもつながっています。

日本でも経済が好調だったのは、中間層が分厚かった時期。低所得者層をどこまで中間層に底上げできるかが喫緊の課題となります。それには税の応能負担(累進課税)や庶民の暮らしむきばかり悪くなる、逆進性のある税(消費税)の減税などを検討すべきだと思います。

人質となった日本人ジャーナリスト

シリアで人質になっていたジャーナリストの後藤健二さんが殺害されたと言うニュースに、私たちは立ち直れないほど衝撃を受けました。(中略)しかし、では、危険な場所に行くのはやめよう、という話にはならないのです。いまの時代、報道されない戦争は、「存在しない戦争」になってしまうからです。

誰かが危険を冒してでも戦争の惨劇を伝えていかないことには、世界から戦争は無くならないと言うわけです。

世界で起こっている様々な問題にスポットを当て、池上彰氏の噛み砕いた解説で切り込みます。国際情勢に詳しくなくても理解できるような書籍となっています。ニュースに興味を持ってもらうため若い人たちにも読んでほしい一冊です。

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