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「日本人の9割が知らない遺伝の真実」行動遺伝学という耳慣れない学問とは!?

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現代社会の格差や不平等の根幹には知能をはじめとした「才能」が遺伝の影響を受けていることが挙げられる。これはショッキングな事実ではあるが、だとしたら「才能は遺伝がすべて」「勉強してもムダ」「遺伝の影響は一生変わらない」という極論に。しかし、それは誤解である。科学的根拠を行動遺伝子学という学問で〝遺伝の本当〟読み解く書籍。

遺伝の影響を実証的に調べる行動遺伝学

「知能は遺伝の影響を受けている」のは、かけっこの能力が遺伝の影響を受けているのと同じように、当たり前のことなのです。それは本来センセーショナルな言い方でもなんでもないはずです。しかし、この知見は誤解を招くため、取り扱いに注意を要します。「知能は遺伝」というと、「親がバカなら、勉強してもムダ」、「遺伝の影響は一生変わらない」、「才能は遺伝ですべて決まってしまう」ーーそう思い込んでしまう人がいますが、これは全て誤解です。

例えば体重で見ていくと遺伝率は 88%で環境による影響が12%。一方IQでは遺伝が54%、環境が46%ですから、若干遺伝の要素が大きいもののほぼ半々という結果に。ダイエットしてもなかなか痩せないのは遺伝によるものかもしれません。それを知った上で「親のように太りたくない」とダイエットに取り組むと(12%の環境要因で痩せてやる!と意気込む)成功に一歩近づくのかもしれません。一方IQは遺伝がおよそ半分ということは勉強できない理由を親に求めるのは筋違いと言えそうです。昔と比べIQは上がってきていると言われています。 それに加え、最近では「コミュニケーション能力(コミュ力)」や「女子力」「恋愛力」「老人力」「転職力」「癒す力」「聞く力」「断る力」など「○○力」が花盛り、IQだけで人を判断するのではなくこういった様々な力に着目するのは個人的に大賛成です。勉強ができるだけが偉い時代はもう終わっていて様々な能力が評価される時代となっているのを感じます。

人間の性格を表す5要素

現在主流となっているのは、「ビッグ5」と呼ばれる5つの要素によって性格をとらえる考え方で、1980年代にルイス・ゴールドバーグはじめ多くの研究者によって提唱されました。5つの要素とは、次の通りです。

  • Openness to experience(経験への開放性、または好奇心の強さ)
  • Conscientiousness(勤勉さ)
  • Extroversion(外向性)
  • Agreeableness(協調性)
  • Neuroticism(情緒不安定性)

このうち「経験の開放性」を除きIQとの相関はほとんどないことがわかっています。ビッグ5を元に数多くの研究が行われており、その結果、情緒不安定性が高い人はうつ病になりやすかったり、勤勉さと好奇心が高い人は、社会的な業績を上げやすいといったことがわかっています。学業成績においては外向性が低い(内向的な)人の方が少し高い傾向にあります。他にも協調性が高い人は、寿命が長いといった傾向もあります。

ビッグ5以外にもGFP(General Factor of Personality:一般性格因子)という考え方が注目を集めている。いうならば、IQのようにいちじげんの値によって性格を表そうとするもので、簡単に言えば、情緒不安定性をマイナス値、それ以外をプラスとし足し合わせたものがGFPとなる。つまり、外交的で心が安定していて勤勉で、人とうまく協調できて知的好奇心も強いというオールマイティな人がGFP値の高い人と言える。職業満足度や離婚率をGFPの違いで読み解いていくと、GFP値が高い人ほど、現在ついている職に満足していて、離婚率も低いという結果に。IQが低かったとしてもGFPが高ければ社会でうまくやっていけるというわけです。

人間の行動のほとんどは、遺伝+非共有環境で説明できる

統合失調症や自閉症、ADHDについては80%程度が遺伝によって説明されます。共有環境の影響が大きく見られたのは、物質依存に関する調査です。アルコールや喫煙、マリファナに関しては、特に共有環境が強くなっていますが、これは実際にものが家に置いている状況が共有環境として働いていると考えられるでしょう。

統合失調症が80%遺伝というのは頷ける僕の母親も精神科通院歴があり今でも通っているからだ。当時は統合失調症という言葉は浸透していなかったが症状を見れば同じである。喫煙についても共有環境が大きく作用する。僕の喫煙歴は中学校から30歳ぐらいまでだが、初めて吸ったのは友達が皆、吸っていたからだ。病気になっってから一度禁煙したが入院先で喫煙所での談笑の輪に入りたくてまた吸い始めることに。その後、再度禁煙に挑戦し今では嫌煙家に。家の中に他に喫煙者がいなかったことが成功した理由だろう。

進化の過程で淘汰されなかった統合失調症

例えば統合失調症には非相加的遺伝効果が見られます。もしこの疾患がただ不適応なだけならば、進化の過程で淘汰されてしまったでしょう。しかし今だに100人に1人といわれるくらい多いのは、この遺伝子が別の遺伝しと組み合わさるとなにか有利な働きをするのかもしれない。天才といわれる人の中に、この疾患を持っていると思われる人がいます。

有名なところでは「叫び」で有名なエドワルド・ムンクやアメリカの数学者で、ゲーム理論に関して大きな貢献をしたとして1994年にノーベル経済学賞を受賞したジョン・ナッシュなど。他にも検索すると統合失調症だと思われる有名人はたくさん出てきます。

第4章では遺伝の影響をどう考えるかと題し、英才教育の効果の有無。第5章では遺伝と家庭環境で70%〜90%学力が決まってくるのに不当な頑張りを強いられる現状。第6章では遺伝を受け入れた社会とはどういうものが考えられるかを論じています。

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