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「子どもの貧困が日本を滅ぼす」相対的貧困が子どもたちを襲う

      2016/11/14

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日本では衣食住に困るような絶対的貧困は少ないが、切り詰めた生活で教育への投資の出来ない家庭の子どもは将来の選択肢が狭くなり、やがて大人になってから得られる所得は減ることに。そうなると回りまわって国の税収は減少し、彼らが職を失うことになれば、生活保護や失業保険といった形で支出は増大することとなる。データを分析すると子どもの貧困は6人に1人まで広がっており、放置すれば43兆円が失われ、政府負担も16兆円増。もう「かわいそう」などという感情的な問題だけではなく、私たち一人ひとりの生活を直撃する重大な〝ジブンゴト〟なのだ。本書では、より一層身近なっことであることを示すためデータ分析、国内外での取り組みの紹介、生活保護世帯や児童擁護施設、ひとり親家庭の当事者たちへインタビューなども収録している。

子供の貧困の定義とは

2012年の日本の貧困ラインは一人当たりの年収122万円である。親1人、子2人のような3人世帯場合122万円に対して3をかけるのではなく√3(約1.7)をかけるため約207万円となる。なぜ√3なのかというと、たとえ1人から3人に家族が増えたとしても生活必需品には共有できるものも多いからだ。子供の貧困率の推移を見ていくと1985年の10.9%から徐々に上がってきていて2012年には16.3%、約6人に1人の割合まで増えている。先ほどの3人世帯の貧困ラインを見てみると月17万程度と暮らせないほどではないが、絶対的な貧困ではないが、子供の教育のための投資やなんかは生活費を切り詰めてもほぼ無理に近い。この「相対的貧困」はOECDの諸国の子供の貧困率(2010年)を見てみることでもわかる。日本はOECD加盟国平均より貧困率が高くなっているのだ。

経済状況別進学率

大学進学率(専修学校・短大含む)

  • 全世帯    73.3%
  • 生活保護世帯 32.9%
  • 児童養護施設 22.6%
  • ひとり親家庭 41.6%

こうやって見ていっても生活保護世帯やひとり親、児童養護施設育ちが全世帯平均に比べ厳しい状況が見て取れる。学歴は受け取る賃金カーブでも顕著にその差が出る。20代から徐々に上がっていくがMAXの賃金が男性では高校卒34.8万円、高専・短大卒40.9万円、大学・大学院卒54.4万円、女性では高校卒22.5万円、高専・短大卒28.7万円、大学・大学院卒42.7万円と差が出てくる。高校中退率が全世帯では1.7%なのに対し、生活保護世帯では5.3%こういった現状も将来の所得格差を生む原因となっている。ちなみに格差をより顕著にみるために、東京大学学生生活実態調査(2014)をみていくと、東京大学に通う学生の家計支持者のうち、54.8%が年収950万円を超えているという。

世間では今、学歴がすべてではないと言われていますが、施設にいる子どもにとっては、学歴は非常に大きな武器になります。過去の連鎖するいろいろな問題を断ち切るためには、武器は多いに越したことはない。(池上彰編『日本の大問題 子どもの貧困ー社会的養護の現場から考える』ちくま新書、二〇一五)

苦境にありながら大学進学を果たすことができた施設の子たちへのインタビューも掲載されており、一般家庭に生まれた子に比べ大学進学がどれだけハードルが高いことか忸怩たる思いで読むこととなった。仕事の需要という点からみていくと、企画や研究開発、サービスといった部門は需要が増しているのに対し、加工組立などの工程はどんどん機械化されロボットが進出してきている。こうしたことからも、就職の際、学歴がモノを言うのは今も昔も変わっていないことがわかる。

高校卒業するまで支援する

前述の通り、生活保護世帯の高校中退率は全世帯の三倍に達しており、高校に進学できたとしても約15%の子どもたちが卒業までに中退してしまっている。(中略)本書の推計結果は、「高校へ進学すること」のみを支援するのではなく、高校を「卒業するまで」を支援することの重要性を示していると言える。

僕自身の最終学歴は大学中退だ。自由になる金が欲しくてバイトを始めたが、仕事もどんどん覚え楽しかったこともありバイトにのめり込むことに。次第に勉強は後回しになり、ついには中退することとなった。その後はバイト先での頑張りが認められ契約社員になり店長を任されるまでになったが退職後、学歴がないことが就活で痛い傷となった。

貧困の現場で

児童養護施設で暮らす子どもの八割が虐待経験がある。この件に関しては『児童相談所が子供を殺す』(文春新書)に詳しく書かれている。そんな大人に不信感を持った子供が貧困から抜け出すためには、周囲のバックアップやあたたかく励ます信頼できる大人の存在が不可欠だ。実際、大学など進学に成功した子供たちの周りには理解してくれる大人や、勉強を親身になって教えてくてる学生ボランティアなどがいて、無償で世話をしてくれる彼らに恩返しをしたいという気持ちがモチベーションになったという。

四章以降は「貧困から抜け出すために」「貧困対策で子どもはどう変わるか」「子どもの貧困問題の解決にむけて」と題し様々な取り組みの事例が紹介されている。

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