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「多数決を疑う」を読んでそのあり方を知る

      2016/11/14

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世の中多数決で決まることが多いが、それで本当に良いのか?異なる多数の意見を集約する多数決のあり方について考えたくて、この本を手に取った。

多数決からの脱却

多数決の代替案の一つとしてとしてボルダルール(1位に3点、2位に2点、3位に1点を加点し合計で争うもの)を挙げている。その他にも、是認投票(◯か×による投票で丸が多いものを採用する)やコンドルセ・ヤング最尤法などがある。それに加え、決選投票付き多数決、繰り返し最下位消去ルールなどがあり、この五つでそれぞれ違う結果が出てしまう状況などが書かれている。選挙はどの集約ルールを使うかで大きく変わるということ。いままで選挙で勝てばそれが民意だと思っていた人には衝撃の事実だろう。

裁判の場合、多数決が正しい確率は陪審員の人数を増やすと、急速に大きくなるという研究結果がある。これを陪審定理という。しかし、一つ一つの案件に多くの陪審員を使うことはコスト的にも現実的でない。法案の成立をいちいち国民投票で決めるわけにもいかないのと同じだと思う。多数決による侵害を抑制する万全の策があるわけではないが、3つの策を著者は挙げている。

一つ目は、多数決より上位の審級を、防波堤として事前に立てておくことだ。例えば、多数決が少数派を抑圧する法律ができないよう、上位の憲法がそれを禁止するというのが、立憲主義のやり方である。

二つ目は、複数の機関での多数決にかけることだ。例えば、立法府を衆議院と参議院の二院に分け、両院の多数決をパスしないと法律を制定できないようにする。

三つ目は、多数決で物事を込めるハードルを過半数より高くすることだ。一番高いハードルは100%、満場一致である。

これを見ると日本では一定程度の公平が保たれていることが分かる。このほかにもちょっと分かりづらいがメカニズムデザインやクラークメカニズムといった公共財供給メカニズムの設計について語られている。

全体を通して数字が出てくると理解が難解なところもあったが、比較的素人にもわかりやすく多数決のメカニズムが語られており、興味を持って読み進めることができた。

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