近藤真彦に提供した『愚か者』で、1987年に第29回日本レコード大賞を受賞したのち、『ギンギラギンにさりげなく』などのヒット曲を飛ばす。1992年7月15日、『受け月』で直木賞を受賞した作家、伊集院静の累計140万部突破のベストセラーシリーズ大人の流儀の第六弾。読みやすいエッセイとなっております。
不運な人生などない
憤ってはいけない。
不運だと思ってはいけない。
不運な人生などどこにもないんだ。
不運と思うな。誰しもがつらい時間と遭遇しているのが人生だ。それでも懸命に生きていけば必ず、君に光を与えてくれる。その時、君は、あの時間が不運だとは思わないはずだ。どんなに短い生涯であれ、この世に生を受けたことには喜びがあったはず。そのことでただ不運だ、と考えては、彼らの生きた時間と姿勢に対して失礼だ。ヤンキースの松井秀喜コーチは守備で左手首が滅茶苦茶になった時も一度も不運とは口にしなかった。大きな落馬事故で復帰まで時間がかかった武豊騎手の口からも、不運という言葉は一度も聞かなかった。世の中には自分よりもっと辛い人生の人がゴマンといる。その苦しい時間が必ず自分を成長させる。世間、社会、他人を見る目が広く深くなるのだ。
戦争やテロは体のいいニュースソース
中東の戦争やテロは、所詮、他人事なのだ。体の良いニュースソースなのだ。
キャスターやコメンテーターなどテレビの報道関係者は身が危険な間は決して現場に行かない。戦争を始めた政治家が決して戦場に行かないのと同じだ。イギリスの格言に「塹壕で見たものを人に語るな」というのがある。この格言には災害の報道を考える上での核がある気がする。
飯の美味い、不味いを星で表すバカなタイヤ屋
メールの最後にハートマークがひとつ、ふたつあるのを目にするが、そのハートがどういう種類の、どの程度の愛情かをきちんと文章で表すべきだというのが著者の弁。確かにその方がグッと心を掴まれるだろう。ぐるなびの星の数やミシュランの星を参考に食事する店を選んだことがある人もいるだろうが、コメントが秀逸なもの程、惹かれるものだ。
日本人の大半はゲーム好き
老若男女、何百万人という日本人が暇さえあればゲームをしている。スマホゲームの宣伝がゴールデンタイムのCMで幅を利かせていることからもその傾向は読み取れる。僕自身、最近でこそ読書に時間を割くことが多くなったので、ゲームのプレイ時間は以前より減ったが、かつては(ゲーム関係の会社に勤めていたことも起因するだろうが)ゲーム三昧だった。その時間と集中力を他のことに使えば、あとあと面白い人生になる。個人的には「読書推し」です。
右派だろうが、左派だろうが、大人は若い人の政治参加気運を支えるべき
「SEALDs」の創設者の一人である若者を脅迫した不届きものがいた。社会の中の許せない行為として、右派だろうが、左派だろうが、私たち大人は彼らを守らなくてはならない。それが大人としての責任だし、大人の男(女)である。18歳選挙権が始まって最初の参院選が終わったが、安倍政権支持層をより盤石にさせる結果となった。野党がどれだけ連帯しても、なぜ現政権ではダメなのか、きちんと論理で展開できる力量がないと言って著者はこの結果を予想していた。
本文中のあちらこちらに「ノボ」というバカ犬(著者はそう呼んでる)が出てきてほっこりさせられる。野球賭博やベッキーのゲス不倫、ショーン・Kの経歴詐称問題などにも鋭いツッコミを入れていて共感した。
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