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「ストレスチェック時代のメンタルヘルス」精神疾患患者の復職の難しさ

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最近、メンタル不調の要因として、仕事場での「いじめ・嫌がらせ(ハラスメント)」が注目されている。新たなストレスとして蔓延し関連した労働災害が急増。それに伴い、昨年末に多くの企業に過重労働など職場での労働者の心理的負担を検査するストレスチェック制度が義務づけられた。パワハラ、成果主義、最近でも過剰な労働時間による過労自殺がテレビでも報じられたばかりだ。あなたの心と職場は大丈夫ですか?

増える労働災害による精神疾患

患者さんを診ていると、「長時間・過重労働」「ハラスメント(嫌がらせ)」「努力の報われない仕事」が広く蔓延していることが分かります。これらが職場のメンタル不全の原因のほぼ9割をカバーするのではないでしょうか。とくに、最近になって、ハラスメントが原因と思われる、20代を中心とした若者の受診が目立つように思います。

昔のように長時間の残業は会社絵の忠誠心の表れと言わんばかりの風潮は、今では通用しない。会社にしがみつくことで得られる終身雇用と年功序列はとうに崩れ去り、変わって成果主義が入ってきた。そこで成果を上げていない下から数%の人々は会社から圧がかかり(パワハラ)精神に異常をきたす人も増えてきた。

●パワハラが原因

労働精神科外来に来院された50代のAさんは王手企業のSE(システムエンジニア)。診断はうつ病でした。会社で2回目の「業務改善プログラム(PIP※)」を受ける直前に、出勤できなくなったとのこと。1回目のPIPの内容を思い出すにつけ夜眠れなくなり、うつ病を発症したようでした。過度なノルマを課して達成度評価の面談を繰り返し、未達成を確認し指摘することがPIPの目的です。労働者自ら退職をしない限り延々と続きます。実態は、上司からのいじめ・嫌がらせ、そのものです。

※PIPはPerformance Improving Programの略

このようなPIPによるハラスメントはソフトなハラスメントとして退職要求や暴言などのわかりやすいもの(ハードなハラスメント)と比べ柔らかい印象だが、中身はなんら変わらない。とくに若さが重要視させる(年をとっても最新のスキルを勉強しなければ淘汰される)職場では退職に追い込むためテストを繰り返し受けさせるような悪質なケースが常態化している会社もある。

普段と比べるーなやみのみちへ

これは、過労自殺された多数の被災者についてまとめた研究から得られました。文字通り、血と汗と涙の教訓です。亡くなるまでの経過を振り返り、こんなサインが見られていたとことで、もし手が打たれていたら結果が違っていたかも知れないと思われたサインを整理したものです。ぜひ、チェックしてみてください。

【な】=(突然)泣き言をいう、愚痴をいう

【や】=(突然)辞めたい、退職したいという

【み】=ミス・トラブルが増える(単純なものが多い)

【の】=能率・能力低下

【み】=乱れた勤務(遅刻・早退・欠勤)が目立つ

【ち】=長時間労働化

【へ】=いつもの本人とくらべ変化を感じられる

「なやみにみち」が重なれば重なるほど、それらが「へ」の変化となってあらわれます。こういった症状が見られた場合、メンタル不全の可能性が高いので上司は部下に対するヒアリングを行ったり精神科や心療内科の受診を促したりと適切な処置が必要です。そうした部下の変化を見抜けず、部下がメンタル不全で辞めるようなことがあればその上司の評価を下げるべきだと思います。しかし、現実にはメンタル不全の社員を抱えることを嫌がる会社がほとんどでこういった部下を離職させた上司は評価が上がっているものと思われます。

5つの段階で職場復帰支援

厚生労働省は2004年、「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」を策定し、2009年に改訂版を出しました。そこでは5つのステップが示されています。

①休業開始・休業中のケア=上司や産業保健スタッフなどによる早い段階でのケア

②主治医の復帰可能性判断=支援の本格スタート

③職場復帰支援プラン=一人ひとりの休職者にあった計画を作成

④職場復帰の決定=最終的に職場復帰可能かは職場側が判断、もちろん復帰困難とする場合は合理的な理由が必要

⑤復帰後の追跡調査

僕の場合も、離職ではなく、休職を選んでいたらうまく職場復帰出来ただろうか?答えは否。人が信じられなくなって辞めているので再び職場の人間と関係を修復することは難しくそれがまたストレスとなり病状が悪化するからだ。病院で3ヶ月間2度の入院をしている時も、職場の人間が面会に来ているのを見たことはほとんどなく面会に来るのは家族ばかり(僕が入院してたのが閉鎖病棟だったからかも)。同僚と一緒に通院している姿は何度か見たことがあるが入院するほどの人とは関わりたくないという偏見の目がまだあるのだろう。

「いじめ・嫌がらせ」に関する相談件数は引き続き増加しており、ハラスメントは今日、我が国の職場では常態化し蔓延している。精神疾患者が働きやすい職場なんて果たしてあるのかという疑問を抱きつつ読了。

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