ケトン体が血液中に多くなる「高ケトン状態」は、これまで(そして今現在も)、胎児や赤ちゃん、妊婦、それ以外の人にとっても、非常に危険な状態だとされてきた。高ケトン状態は胎児に知的障害などが出るなど脅かされてきました。著者は、これまでに新生児や胎児のケトン体(体内の脂肪の分解によって生まれる物質)の濃度を多数測定、基準値の20~30倍にもなることを世界で初めて明らかにした。そして、赤ちゃんがブドウ糖ではなくケトン体をエネルギー源としていることを発見。ケトン体をコントロールする「ケトジェニック」な生活で妊娠糖尿病の妊婦の管理などケトン体の安全性とその管理方法を指南した書籍。
妊婦の糖尿病に、初めての糖質制限
食事の内容を変え糖質制限をする。糖をとらない人間の身体の中では、「ケトンエンジン」が働いていることが推測された。しかしこのことを学会で報告すると、「それはダイエット効果であって、糖質制限の効果ではない」「こんなにケトン体が上昇したのでは、奇形や障害の原因になる、知的発達の遅れた子が生まれる」などの叱責が飛び交う。高ケトン体が胎児に異常をきたすという考え方がはびこり、妊婦の糖質制限が学会ではタブーだったのだ。
こんなにすごい「ケトン体エンジン」
「ケトン体値が高いことは、何の危険も起こさない」「ケトン体は人の基本エネルギー源である」。冬のシベリアに飛んでいく渡り鳥は蓄えた脂肪を燃やして飛んでいる。糖質エンジンは実は効率が悪く、長く飛ぶには適していない。動物の身体に蓄えられるエネルギー源は、実は脂肪であることが多く糖質は一時しのぎのエネルギーであるに過ぎない。補給をこまめにしないとすぐに枯渇してしまうのだ。人の身体にはブドウ糖を使うエンジンと、脂肪を燃やしてケトン体にしてエネルギーにするケトン体エンジンの2つが存在する。今までは「脳はブドウ糖しか使えない。だから毎日ブドウ糖が必要」というのが通説だった。
実際は、脳はケトン体が大好きで、むしろケトン体の方がエネルギー源としてふさわしいということがわかってきた。小児の重症てんかんにケトン食が効果的であることは証明されており、最近では認知症やアルツハイマー病など脳の萎縮や退化にケトン食が注目を浴びているのもそのためである。
栄養学の常識は、実は間違っている
①脂肪は身体に悪い。=糖質、炭水化物は体に良い。
②カロリーをたくさんとると太る。=カロリーを減らすとやせる。
③コレステロールは体に悪い。=コレステロールが多い食品は食べるな。
④和食は健康に良い。=洋食は健康に悪い。
⑤和食が長寿のもとである。=洋食がメタボ、糖尿病のもとである。
そしてこれらの説から導かれることとして、「炭水化物を60%、脂肪を20%、タンパク質を20%」の食事がバランスのいい食事と決めてしまい、全てをこの枠で決めるのです。しかし、これは「糖質制限を推奨する」という食事法から見れば、「強制糖質過剰摂取食」となってしまいます。
3大栄養素の最適な摂取比率を決めるエビデンスは乏しいが「炭水化物:タンパク質:脂肪」が「1:1:1」とでもした方が先の例よりよっぽどマシだという著者。糖尿病の患者ではその重症度によって糖質量を減らすべきで、下記のような目安があるという。
重症度・高 糖質:タンパク質:脂肪=10:45:45
重症度・中 糖質:タンパク質:脂肪=20:40:40
重症度・低 糖質:タンパク質:脂肪=30:35:35
本当は糖質は減らせば減らすほど良いと思いますが、これぐらいが目安でも大丈夫だと思います。
僕自身は糖尿病ではない(家系は糖尿病の家系)ので特に制限する必要はないのだが、ダイエット(現状維持)のため糖質は控えるようにしている。「主食を食べないで副食を中心に据える」というシンプルな方法。
MEC食はさらにシンプルなケトン生活
肉(MEAT)、卵(EGG)、チーズ(CHEESE)を積極的に摂ることを勧めたMEC食。この3つの食材には、タンンパク質に脂質、ミネラルやビタミンも豊富に含まれていて、この3つの頭文字をとってMEC食と呼ばれています。同時に食事をよくかむことも推奨していて、食事を口に入れたら30回よくかむことが大切としています。主な1日の摂取量は以下の通り。
◯肉200g(豚でも鶏でも牛でも、魚でもよい)
◯卵3個(6個でもよい)
◯チーズ120g(6ピースのチーズ6個分)
これを食べてよく噛むこと。一度に30回噛みましょう。主食や糖質は控えた方が良いとされていますが、とわいえ、これら以外の食品を追加することは自由です。
ダイエットに効果的なスーパー糖質制限:3食とも糖質を制限し主食をとらない、スタンダード糖質制限:3食のうち2食を糖質制限し、一色だけ(夕食以外)主食を取る。プチ糖質制限:3食のうち1食(基本的に夕食)だけ糖質制限し、主食をとらない。なども加え健康的に痩せるのにも一役買います。
ケトン体なんて聞いたこともなかったが、その存在から有効性、日々の生活でのケトン食の取り入れ方まで優しく指南。SNSなどを通じ同じ悩みを持った仲間と一緒に頑張るなんていうのは現代ならではだと思う。
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