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「たのしいプロパガンダ」あなたのすぐそばまで忍び寄るプロパガンダ

      2019/03/01

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戦時下につくられた士気を鼓舞するための勇ましい軍歌や映画は数多くある。しかし、最も効果的なプロパガンダは、官の押しつけではない、大衆がこぞって消費したくなる「エンターテインメント」にこそある。本書ではそれらを「楽しいプロパガンダ」と呼び、大日本帝国、ナチ・ドイツ、ソ連、中国、北朝鮮、イスラム国などの豊富な事例とともに音楽・映画・アニメ・アイドルなどによる「宣伝戦」の実態を検証する。さらに現代日本における「右傾エンタメ」「政策芸術」にも言及する画期的なプロパガンダ研究の書籍。

今なお行われているプロパガンダの事例

北朝鮮では、今なお指導者をたたえる音楽や映画が現役で使われている。また、中東の過激派組織「イスラム国」では、支持者を集めるために動画やオンライン雑誌が次々に作られている。これらもまた典型的なプロパガンダと指摘できるだろう。あるいは、日本の保守論壇の中には、中国や韓国による対日バッシングを「反日プロパガンダ」などと呼ぶ者も見られる。

多くの人にとってこれらは極端な思想として受け入れ難いものとなっているが、過激な思想に感化される若者などが少数だがいるのも事実。日本でも「右傾エンタメ」として多くの書籍・雑誌・映画・アニメ・ゲームなどが生まれそういった思想に知れず知らずのうちに染まっていく若者も多い。〝ネトウヨ〟などもこの部類に入る。こういったエンターテインメントを使ったプロパガンダは歴史も古く過去には、浪花節・琵琶歌・落語・講談・漫談・都々逸・詩吟など様々なジャンルが利用されてきた。

抗日戦争を追体験するテーマパーク

中国には「紅色旅遊」(レッドツーリズム)という言葉がある。共産主義の史跡をめぐって、中国共産党の歴史を学ばせるというある種のスタディー・ツアーだ。「八路軍文化園」もこうした「紅色旅遊」の施設としてアピールされているため、中国全土から人が集まってくる。中国の人口と経済力を考えれば、日本のテーマパークなど霞むぐらい大規模な施設が今後誕生するかもしれない。

このようなレッドツーリズムが人気を博す一方、上海ディズニーランドの開園やアップル製品人気などアメリカナイズされた文化の波も押し寄せ支持されてきている。最近少し下火になりつつある日本での中国人の爆買いも富裕層から中間層にまで浸透している。レッドツーリズムに乗っかる共産主義者はある意味情報弱者なのかもしれない。

信者獲得に力を発揮した印刷物

オウム真理教の麻原の著作は、当時のオカルトブームに沿った内容になっており、まるでマーケティングでもやっていたのではないかと思えるぐらい巧妙だった。麻原の宣伝のやり方は宗教指導者というよりプロパガンダに長けた政治家を彷彿させるが、選挙に出たときはその派手さとは裏腹にたった1783票しか集めたれなかった。確かにあんなダサい「彰晃マーチ」では誰も振り向かないというか、むしろ避けて通るだろう。

右傾エンタメ論争

二〇一三年四月に公開されたブラウザゲーム『艦隊これくしょん』(艦これ)。これは、旧日本海軍を中心とする艦艇ーー例えば、戦艦「大和」や駆逐艦「島風」などーーが「美少女キャラクター」(「艦娘」)となって国籍不明の敵と戦うゲームだ。二〇一五年一月から三月にかけてはテレビアニメ化され、現在では日本を代表するコンテンツのひとつとして認知されている。

アラフォーの僕にはついていけない世界だが、若い頃のことを思い出すと「大戦略」という戦争シミュレーションゲームが流行ったことがあったが、それがアニメキャラとコンバインしたものと考えればいいのだろうか。若い頃なら飛びついたかもしれないこういったゲームが入口となり右傾化するというが、こんなもんで本当に右傾化するのか疑問だ。ただ萌えキャラ集めて育て喜んでるだけに見えるが。

自衛隊の広報戦略

防衛庁は、映画に対する自衛隊協力の条件として「防衛庁の紹介となるもの」「防衛庁の実情または努力を紹介する等防衛思想の普及高揚となるもの」の二つを掲げている。ソフトな広報では「自衛隊の歌姫」こと三宅由佳莉の存在も重要である。2009年自衛隊初の音楽枠で海上自衛隊に採用され、その後、東京音楽隊に配属され、2013年7月には東日本大震災をテーマにした歌「祈り〜aprayer〜」を発表しメディアに多く取り上げられ、CDも発売された。

どこの国でも「楽しいプロパガンダ」が利用されてきたこと、現代日本でも同じような「楽しいプロパガンダ」が発生するかもしれないこと。エンタメを利用し知らず知らずのうちに我々の日常に忍び寄ってくるこれらの例は最も効果的で巧妙な例だ。「政治」と「文化・芸術・娯楽」の結びつきを考えるときに、こうしたプロパガンダの歴史を参照することは無駄ではない。世間に流布するこういったものを敏感に察知し自分の視点で問題について考える能力が求められているとも言えよう。

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