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10代から知っておきたい あなたを閉じ込める「ずるい言葉」|森山 至貴|一生自分らしく生きていく強さを身につける!

「カクレ悪意」や「カンチガイ善意」「ずるい言葉」に言いくるめられないための手がかりを教えてくれる書籍。差別を考える社会学者による自分らしく生きるための強化書!

他人には言われたくないこと、当然あります

「自分で言うのはよくて、人に言われるのはダメ」は、別に変ではありません。むしろよくあることです。わかりやすいほうから順番に、3つの場合に分けて考えることができます。

まず、だれでもあてはまる可能性のある悪口から考えてみましょう。「バカ」とか「アホ」とか、そういった表現です。だれかが自分のことを「バカ」と言ったからといって、その 瞬間 に他の人もその人に向かって「バカ」と言ってよいことになった、と考える人はほぼいないでしょう。当たり前のことですが、自分のことを悪く言うことと、他人に対して悪口を言うことは同じではありません。前者は本人の自由ですが、後者は他人を傷つける可能性のある 行為 で、原則としてよくない行為と考えるべきです。

もちろん、そうは言っても私たちは他人に対して「バカ」や「アホ」と言うことがあります。本当にひどいことをした人に対して、強い非難の気持ちをこめて「バカ」や「アホ」と言うことに意味がある場合もあります。ただし、その場合でも、「自分のことをそう言っていたから他人もそう言ってよくなった」わけではありません。非難はあくまで、それを言う側の責任においてなされるべきで、「相手が自分のことをそう言っているから」はただの責任 逃れです。くり返しますが、 自分のことを悪く言うことと、他人に対して悪口を言うことは同じではない のです。

続いて、ある 特徴 を持った人たちについて、否定的な意味をこめて使われてきた言葉があります(p.41にある通り、これらの言葉を【差別語・侮蔑 語】と呼びます)。女性、セクシュアルマイノリティ、障害者、外国人などがそれぞれに差別語・侮蔑語を投げつけられて傷ついてきた歴史がありますし、いまでも傷つく人はもちろんたくさんいます。ですので、これらの否定的な言葉は、基本的に使うべきではありません。

でも、そのような言葉であっても、実際に女性、セクシュアルマイノリティ、障害者、外国人などが、自らを指すものとして積極的に使用している、という事実もまた存在します。当たり前ですが、女性であれセクシュアルマイノリティであれ障害者であれ外国人であれ、いつでも世の中に傷つけられる「被害者」としてまつりあげられることは居心地が悪いものですし、(だれもがそれぞれにダメなところ、よくないところを持っていますので)「私、そんなにたいした人間じゃないんで」と言いたいときもあります。そのとき、侮蔑的な言葉は、むしろ自分を軽く卑下するものとして便利だったりするわけです。

でも、これもまた、あくまで自分のことを指して使っているだけであり、だからといって他人もその人に対して同じ言葉を使ってよいわけではありません(実際には、差別語・侮蔑語によって自分「だけ」を指すことはできないので、同じ語が当てはまる他の人を傷つけてしまうこともあります。これはやっかいな問題です)。

自分のことを自虐的に悪く言うことあっても、同じことを他人に言われるとなんかムカつく。そんな経験ないだろうか。差別・区別・分類する言葉が蔓延る中それらの言葉に傷つく人々がいることを理解し細心の注意を払って言葉を発するモラルが必要。

時代のせいにしている

「いまはそういう時代じゃない」ならこの男性教師も料理ができるべきで、なんで妻にまかせっきりなんだよ、あなただってこのいまを生きているだろう、と思わずつっこみたくなります。

もちろん、夫婦にかぎらず、同居している人とどのように家事を分担するかは、それぞれの生活のスタイルや得意不得意に応じて話し合って決めればよいことです。きちんと話し合って決めたのであれば、夫が料理をすべて妻にまかせてもかまわないでしょう(とはいえ、妻がいそがしかったり 風邪 を引いたりしたときは手伝ったり代わったりすべきだと思います)。でもこの教師は、「料理は女性がするもの」という古い考えにもとづいて、なんとなく妻に料理を押しつけているようにも思えます。「おれの世代の話」と言っていることからも、彼が時代のあり方を「料理は妻の担当」という 選択 の理由としていることがわかります。いや、 時代のせいにしている、と言ったほうが正確でしょうか。

男女の役割分担、弥生時代でもあるまいし男は狩猟、女は木の実など採集して家で家事みたいな変な風習はもう現代には通用しません。今はレシピ検索や使う材料(調理を助けてくれる数々の商品)によって男性で料理のスキルが全くなくても美味しいご飯が作れます。なのに料理は全て妻がやるなんて決めつけはおかしい。僕の家では僕が週二回ペースで作るようにしています。料理は慣れてしまえばそんなに苦になるものではなく、最初はレシピを見ながら作っていたものも回数をこなせば何も見ずに料理ができるように。作ってみて美味しかったレシピと母が作っていた自分の好物のレシピは今も取ってあっていつでも作れるようにしています。

あなたを施錠された部屋に閉じ込めてしまうずるい言葉に縛られないよう解放してくれる書籍。決めつけから生まれる数々の呪縛から解き放たれるとそこには思った以上に自由な世界が!

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