元添加物トップセールスマンが語る加工現場の裏側。廃棄寸前の肉を30種類の添加物でミートボールにしたり、水と油と添加物でコーヒーフレッシュを作り出したり…。今だから読みたい食の安全の啓蒙書。
職人の魂を売らせる「悪魔の囁き」
そのうち、私の売り方はさらに巧妙になっていきました。加工食品業者に対して、添加物を使わせるための「陽動作戦」に持ち込むのです。
たとえば、あるうどん屋。
そのお店は手打ち麵が好評で客の入りもよく、ご主人は多店舗展開を目指していました。
ところが、手打ちのうどんを打つ職人がなかなか育たない。厨房に長くいる若い人に打ち方を伝授しても、自分の打つものにはとても及ばないというのです。
やはり、うどんも長年修業をしてはじめて培える技というものがあり、見よう見まね程度では身につかないのです。 そんなとき、私はここぞとばかりに登場して「入れ知恵」をつけるわけです。 「こねるときに『グルテン』を入れれば、コシが出てつるつるした麵が簡単にできますよ。あと、これとこれも入れると、さらに楽にできますよ」 そう言って、ほかに「乳化剤」「リン酸塩」などを数種類使って麵をつくることを提案。
実際、こうした添加物を使えば職人技など無用。パートのおばちゃんでも、簡単に「しこしこ麵」がつくれるのです。
ただし、その「しこしこ感」は、本物の手打ちと食べ比べたら、違いは明らかです。でもそれだけを食べたらわからない。言葉は悪いですが、「その場はごまかせる」のです。
スープも簡略化を提案。 「わざわざ店でつくっていたら間に合いませんよ。工場で大量生産して缶で納入します。そのほうが楽だし安くあがりますよ」 そうして、そのうどん屋の味に似せたスープを開発。もちろん「化学調味料」や「酸味料」などの添加物を駆使して、原価を安く抑えてつくったもの。それをガロン缶に入れて運び込みます。 「このスープを 10 倍に薄めればバッチリですよ」
ご主人は大喜び。いままで足で踏んでこねたり、寝かせたり、大変な手間暇をかけてつくっていたうどんが、添加物のおかげで簡単にできるようになり、スープも缶から注いで薄めるだけでいいのですから。
さらには、麵をゆでる釜にも添加物(酸味料)を使うことも勧めました。それを使うと、切り口がドロドロにならず、ゆであがりがきれいになるのです。
これで麵もうどんも手間暇がかからず、量産体制が可能に。
主人は2店舗、3店舗と店舗を増やし、私もホクホクでした。
カップ麺なんかのスープや麺もどこぞの名店の味を再現とか書いてあるがこれも添加物のおかげなのだろう。手軽にお店の味が楽しめるとあって、そこそこ売れるようだが微妙な価格設定なので僕は買わない。職人も簡単に自分の味が再現される工程を見たらさぞ驚くことだろう。これは添加物のプロのなせる技。
特売醤油はなぜ安い
「ああ、よかった、まだ売り切れてなかったわ」
夕方、少々慌ててスーパーに駆け込んできたM子さん( 37 歳)は、残り少なくなった特売しょうゆを手にとって安堵の表情。今日はしょうゆの特売日です。 「いつも1リットル258円のしょうゆが、月に一度の特売で138円になるの。ウチはいつもこの値段で買っているのよ」
ちょっと得意そうに微笑むM子さん。なかなか節約上手の奥さんのようです。
しかし、M子さんが購入したこの特売しょうゆ──実は、ずばり「しょうゆ風調味料」にほかなりません。 「しょうゆ風調味料」とは何でしょう。
それは、本物のしょうゆとは違う製造法でつくられた「しょうゆの代替品」のことです。「ニセモノ」と言っては少し語弊があるかもしれませんが、それでも本物のしょうゆとはまったく別物です。
こうした添加物を駆使してつくられた「ニセモノ」が、現在、調味料の世界にはびこっています。私たちの食卓の調味料は、知らないうちに「本物」から「ニセモノ」にすり替わりつつあるのです。
調味料は、料理の味を決定づける基本です。和食はいまや世界に誇るすばらしい食文化。
その和食が調味料から崩れようとしている。
これは大変なことではないでしょうか。
昔ながらのしょうゆの原料は、大豆と小麦、塩とこうじです。こうじからつくられた酵素が、大豆や小麦のたんぱく質をアミノ酸に、でんぷんを糖分に変えます。これがしょうゆのうまみの素です。
この「うまみ」は実に多様で、甘みもあれば酸味もある。こうばしい香りも出る。化学では解析できないぐらいの複雑な味が醸し出されるのです。
また、しょうゆの色はアミノ酸が糖の一部と結びついてできます。すべてがこうじの力だけでしょうゆをつくり出すのです。
手間もかかれば時間もかかる。出来上がるまでは1年以上かかります。これが昔ながらの本物のしょうゆです。
うまみ調味料は僕もよく使うが、醤油まで醤油風味の偽物があるなんて。醸造工程を無視した製法でできるため価格は破格。それがダメとは言わないが、なんか残念な気がしますよね、醤油風味調味料。
食品添加物の実情を赤裸々に語った本書。これを読めば加工食品やなんかの見方がだいぶ変わってくるだろう。天然や本物がより価値のあるものに見えてくるに違いない。安さで大量生産された添加物まみれのものを選ぶか本物を選ぶか臨機応変に!!
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