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金融機関が教えない 貯まる投資術|稲葉 充|「どの銘柄が上がるんですか?」「そんなことは分かりません!」

投資についてみなさんが知りたいことといえば「どの金融商品がいいんでしょうか?」「どの銘柄が上がるんですか?」といったことになりがちだが、そんなことは分かりませんと正直に回答。その上で15年間で、資産を1.6倍に増やした運用方法をレクチャーしてくれる一冊。

お金の話をタブーにしないで

「お金は欲しいけど、昔から親に『子供がお金のことを話すな!』って怒られてきたんだよね」

この言葉は基本的には、親御さんの体験から来ているんだと思います。

親は子供よりも多くの人生経験を積んでいます。その人生の中でお金がなくてあきらめたことが、いっぱいあると思うんです。親はお金があるから得られるもの、お金がないと得られないものを経験上知っています。

ほとんどの親は、我が子には無限大の可能性があると信じているし、できることなら好きなことをやらせてやりたいと思っているはずです。子供が 20 歳を超えて社会に出れば、これをやりたい、あれが欲しいというものがどんどん出てきますが、その大部分にはお金がかかります。だから、少なくとも子供が自分の手許にいる期間については、やりたいことは自分たちがやらせてあげたいんです。 「子供がお金のことを話すな!」という言葉は「お金が必要じゃない」という意味ではなく、また、「お金はいやしい」というマイナスの意味でもなくて、我が子に、「社会に出ればお金がないという事実が自分の人生を左右するけれど、今は私たちがいるから自分の好きなようにやりなさい」という前向きな想い、すなわち強い親心の表れではないかと思うんです。

小さな子供に対して「お金のことを気にするな」と言うのは、そうした日本人の倫理観や価値観からくるのではないでしょうか。

アメリカ人の親は、子供たちにお金の大切さやお金を稼ぐということを学ばせるために、アルバイトをさせますよね。

でも、日本人の中には「お金を稼ぐ=苦労する」という観念が根付いています。日本人はきっと子供に苦労させたくないんです。だから子供に苦労させないために、できるだけ子供にお金を残すという考え方がありますが、でも、お金って使ったらなくなりますよね。そうなるとその子は「お金の稼ぎ方」を知らないから、結果的に不幸になってしまいます。

お金を残すのではなく、アメリカの親のように、子供にお金の稼ぎ方を教える方が、理屈で言うと正しいと私は考えています。

「お金を稼ぐのには苦労をする、だから今はそんなこと考えるな」なんてやはりちょっと変ですね。お金と無縁で生きられるわけないんですから。小さいころから、お金の稼ぎ方とかお金との付き合い方を徹底的に教える方が正しいし、愛情深いと思うんです。

優しさが仇になるほど悲しいことはありません。

子供を持つ若い世代の皆さんは、ご自身の親御さんにならうのではなく、お子様たちには「正しいお金の倫理観」を伝えてあげてほしいと思います。 子供を持つ若い世代の皆さんは、お子様たちに「正しいお金の倫理観」を伝えてあげてください。

なんとなく子供にお金の話をするのはNGみたいな風潮がありますが、お金持ちは子供と一緒にモノポリーなんかのボードゲームを使ってお金の増やし方を教えたりしています。このお金に関する教育の差が延々に縮まらない格差につながっていると感じています。社会人一年目に会社で教えるようなきちんとした会社もありますが、ごく一部の優良企業だけ。そこでも格差が生まれているのです。最近、投資に関する関心の高まりから関連書籍がたくさん出ています。それらを読んでぜひ自分に合った投資をギャンブルにならないよう注意しながら行ってください。

金融機関は教えませんが、実は投資は「買ってから」が大事!

「私は何をすればいいの? 生活を変えるの? コツってあるの?」

さて、投資信託を買ってからどうすればいいの? というお話ですね。

買った商品が未来永劫、良い運用成績を挙げ続けることができるのか否かをWatchする必要があります。

ただ、多くの人がイメージするような一日中パソコンの画面とにらみ合っている、というのとは全然違います。

短期間で売買を繰り返す投機(デイトレード、FXなど)であれば1日あるいは1週間あるいは1か月の動きの中で、上がり下がりのタイミングをとらえて売買するため四六時中、市場を気にしなければなりません。

ところが時間をかけた投資運用ならば年に1回か2回程度、自分の買った商品や商品の組み合わせをWatchするくらいで十分です。

まずは、1年の間に前章で書いた「ユニバース対比」と「ベンチマーク対比」をしてみて、それ以外の商品に比べて運用実績が劣っていないかをチェックします。

ただ、1回チェックしてみて劣っていたら即ダメという判断をするのではなく、複数年にわたりチェックすることが大切です。というのもたまたまその1年間だけ成績が悪くて、翌年は運用成績が大幅に改善される商品なのかも知れないですから。

しかし、悪い運用成績が2年3年4年も続くようであれば、商品の入れ替えを検討しないといけないかも知れません。

次に、商品を複数組み合わせて買っているので、組み合わせの配分が当初と比べてずれていないかを確認します。

上がったり下がったりする商品を組み合わせているので、たとえばAとBの商品を 50%ずつ組み合わせた場合に、AもBも同じように1割上がれば 50%ずつの配分は崩れません。また、AもBも1割下がった場合でも組み合わせた配分の割合は崩れません。

ところが、Aが 10%上がってBが 10%下下がれば、Aは55%にBは45%になります。

投資信託の組み合わせは、期待するリターンの大きさや許容できるリスクの大きさで決定するために、配分が崩れると、期待するリターンが獲得しにくくなったり、リスクの許容度を逸脱してしまったりすることになるので、元の配分に戻す必要があるわけです。

この場合はAの5%分を売却して、その売却分でBを買い付け、元の配分のA50%、B50%に戻すようにするわけです。  これを投資運用の世界では、「リバランス」と言います。

投資は良い銘柄を買って仕舞えば増えるのを待つだけで済みますが、分散投資で様々な銘柄を持つ場合買った後の保有株式、投資信託のリバランスが鍵となっていきます。いつまでもパフォーマンスが低下したものを持ち続けるのではなく定期的に見直しが必要。究極の分散投資とも言えるインデックスだけを持ち続けるというのも戦略の一つです。その場合この面倒な作業から解放されます。

貯蓄しているだけではなかなか資産は増えないもの。投資を取り入れて年利6%強のパフォーマンスを目指す投資入門書。巻末の方では独自の方法も書かれているが、それを抜きにしても読む価値があるかと思います。

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