リクルート創業者である江副浩正。社員のモチベーションを巧みに操り鼓舞する彼の作りたかったのはGoogleのような会社。ただ彼の印象といえば起業の天才ではなく戦後最大の企業犯罪「リクルート事件の主犯」。苦境に立たされている現在の日本人に贈る起業の天才の真の姿。
ふたりの天才
新型コロナウイルスの感染拡大で消費や雇用が 1930 年代の大恐慌並みに落ち込んだ 2020 年の夏、知識産業を代表する GAFAM(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン、マイクロソフト)の株式時価総額の合計が 600 兆円を突破し、東証一部上場企業 2170 社の合計を上回った。
日本の最強企業、トヨタ自動車を含む日本の自動車メーカー 9 社は時価総額の合計で米国の電気自動車( EV)ベンチャー、テスラに抜かれた。年間の販売台数で見れば 900 万台を超えるトヨタに対し、テスラはわずか 37 万台。だが株式市場は、 EV と自動運転によって古い自動車産業を破壊しようとするテスラに軍配を上げた。
日本はいつから、これほどまでに新しい企業を生まない国になってしまったのか。答えは「リクルート事件」の後からである。
リクルート事件が戦後最大の疑獄になったことで、江副が成し遂げた「イノベーション」、つまり、知識産業会社リクルートによる既存の産業構造への創造的破壊は、江副浩正の名前とともに日本経済の歴史から抹消された。
だが日本のメディアが、いやわれわれ日本人が「大罪人」のレッテルを貼った江副浩正こそ、まだインターネットというインフラがない 30 年以上も前に、アマゾンのベゾスやグーグルの創業者であるラリー・ペイジ、セルゲイ・ブリンと同じことをやろうとした大天才だった。その江副を、彼の「負の側面」ごと全否定したがために、日本経済は「失われた 30 年」の泥沼にはまり込んでしまったのである。
ブログをやっていると今活躍しているブロガーの中にはリクルート出身者が意外と多いと感じる。内情はよくわかりませんが、早くから社内で起業を促しているからなんでしょうか。独立して成功している人も多い印象。
先日テレビで日本におけるあらたな企業が生まれる割合を報道していましたが、先進国の中では圧倒的に少ない数値でした。保守的なお国柄なのか、起業精神がどっかに行ってしまったのか。僕はそれが世間の目によるところが大きいかと思います。独立するというとすごい勢いで反対する人が周りにいたり、そうした活動を頑張っている人に対して向けられる目は決して前向きなものではないような。
組織から離れて活動するリスクを負いながら頑張るのは思いのほか難しかったりしますが、最近ではフリーランスの地位も少しは認められてきたのかなと思ったりもします。しかしこれは一部の成功した人に限られたもので全体的に見るとやはり厳しい状況かと。
紙のグーグル
いまだからわかることだが、江副の情報誌は、一言で言えばインターネットのない時代の「紙のグーグル」だったのである。つまり、情報がほしいユーザーと、情報を届けたい企業を「広告モデル」(ユーザーには無料)によってダイレクトに結びつけたのだ。
新聞、雑誌、テレビ、ラジオなど商業媒体の読者や視聴者にとって、広告は一般的に「ノイズ」と思われている。読者、視聴者が見たいのはニュースやドラマ、野球、サッカーなどのスポーツ中継であり広告ではない。
一方、広告を出す企業の側からすれば、求人広告なら「仕事を探している人」、不動産の広告なら「家を買いたい人、借りたい人」がターゲットである。しかし読者、視聴者の多くはすでに定職に就いていたり、家を持っていたりする。マスメディアに載せる広告の大部分は「無駄撃ち」なのだ。江副は、前述したとおり大学新聞の広告の効力に疑いを持ち始めていた。
江副が『企業への招待』を創刊した 1962 年から 36 年後の 1998 年、グーグルがインターネットを使った「検索連動型広告」を発明した。
江副が考えた「広告だけの本」が就活生だけを対象にするのと同様、グーグルの検索連動型広告は「仕事」という言葉を検索した利用者だけに求人広告を見せる。「家」を検索すれば住宅の広告、「車」を検索すれば新車、中古車の広告が表示される。「検索連動型」のネット広告は、その後レガシーメディア(時代遅れの遺跡のようなメディア)と呼ばれるようになった新聞、テレビのマス広告から広告主(クライアント)を奪った。
紙のグーグルとはよく言ったものだ。当時のリクルートの業務内容を端的に示したわかりやすい比喩。インターネット以前とは違い、今では多岐にわたって仕事を生み出していく企業に。マッチングといった観点で消費者と生産者を結ぶようなもので、これからもなくなることのない職種かなと思います。アプリケーションなどに置き換わってきている現在ですが、それを開発するのはやはり企業。市場は変わらずそこにあります。
当時いかがわしいと言われた彼の仕事。起業はもっといかがわしいぐらいがイノベーションを起こすのにちょうどいいものなのかもしれません。誰にも理解されなかったリクルート創業当時の逸話が詰まった書籍。
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