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親離れできれば生きることは楽になる 自分がもっと強くなる“一人立ち”のすすめ|加藤 諦三

いつも他人の生き方が気にかかる、生きることがつらく苦しい、というあなたは、親との関係を見直すべき時がきている。どんな家庭で育てられたのか。親の"愛"ははたして本物だったのか……。「親からの精神的自立こそ生きることの土台」と力説する著者が、真の「一人立ち」の重要性とその方法を説く。自分でも驚くほど自信がわき、生きるのが楽しくなる、積極人生へのパスポート!

一人立ちできた時、人生は輝く

若い頃は他人と違ったこと、何か変わったことをしたいと思いがちである。しかし他人とは違う何か変わったことはしないほうがよい。

なぜ人は、他人とは違う何か変わったことをしたいのだろうか。変わったことをしたい動機は何か。大切なのは、その隠れた動機に敢えて立ち向かう勇気である。

変わったことなどは、勇気のない卑怯者のすることである。

一切を疑い、疑うということさえ疑ったデカルトは、どんな生活をしていたのか。 「一切の懐疑にもかかわらず彼はまず自分の教養を完全なものにした上で、次には理論的知識の全領域に加えて、さらにできる限り広範囲な自然な(生の)経験を身につけるための旅へと出かけた。つまり彼はいわゆる『 世間の人』となった」(ブランケンブルグ著・木村敏他訳『自明性の喪失』みすず書房刊、一一二頁)

デカルトは自分の自尊の感情を守るために、世間のことを懐疑したのではない。そういう人は、このような態度になるものである。 「……自己の身につけた判断の素養をひとまず棚上げして、それとは無関係に、土地のひとのうち最も分別のある穏健な人たちの生き方に従おうという決心が必要であった」(前掲書、一一三頁)

彼が疑う時、それは本気で疑っているのである。劣等感から〝あんなものはくだらない〟と世間の価値を疑っているのではない。

本気で疑うことはよいが、よく疑っている人をみると、自分の自尊心を守るために疑っている人がいるようである。

先ず、普通の人の生活をすること、変わった生活はそのあとでよい。順序を間違えてはいけない。

そして自分の育った家が変わったこと、世間の常識とは違ったこと、そのようなことに固執していたとすれば、あなたは自分の価値観が歪んでいるかどうか、反省する必要がある。歪んでいる可能性が大きい。

依存的傾向の強い者は、その依存性ゆえに他人に同調するか、それとも逆にかえって極端な非同調になるか、のどちらかなのである。

依存傾向の強い人はその依存性ゆえ他人に同調する傾向が大きいか、逆に非同調になるというのはまさしくその通り。自分の世界は周りの人に支えられて生きていることがわかる今日この頃だが、自身の依存性に気づかずに過ごしてしまうと他人に頼りきりになりがち。自分でできることを増やす意識を持たないと…。

なれた環境に別れを告げよ

親は、親の気持の範囲内で娘の言動を理解しやすいように理解する。子供はあくまでも自分の一部であって、他人ではない。子供が自分とは関係のない子供自身の世界を持っていることは、どうしても理解できないのであろう。

自分が子供達と家族で旅行に行きたいと思うとする。すると子供達が、家族で行くよりも自分の友達とどこかに行きたいと思うことは、親にとってはあり得ないことなのである。子供がもし友達と行きたいとでも言えば、〝いいえ、あなたは行きたくありません〟となるのだろう。

子供が、自分達とは関係のない子供自身の世界を持ち、そこで喜びや悲しみを味わって生きているということが、このような親にはどうしても理解できないのである。子供の味わう喜びや悲しみは、家族という世界のなかのもの以外ではあり得ないと、彼らは思っている。

子供が今までよく家の手伝いをしていたとする。ところがある年齢になって多少反抗的になったとする。それは子供にとって幼稚ではあるが、自立への不確かな試みであるとしよう。

しかし、子供が喜んでお使いにいかなくなったということは、親にとってあり得ないことなのである。するとどうなるか。親は子供が自分の思うように動かないことで、ものすごいいきおいで怒って、子供に不満をぶつける。そして怒りがおさまると、子供は今疲れているからだとか、悪い友達ができたからだとか解釈をはじめる。

子供の自立への願望ということは、こうした親にはどうしても理解できない。そこで病気だとか、疲れだとかいうような解釈をする。そしてそう解釈すれば、怒った翌日にはケロッとしていられる。そこで翌日は、子供に以前と変わらない態度をとる。

もしこの時、子供の言動のなかに自立への願望を読みとれば、〝ああ、もうこんなに大きくなったのか〟とがあろう。そして子供は自らのアイデンティティーを獲得していく。しかし、このアイデンティティー獲得の過程がどうしても理解できない親は、それらの言動をすべて小さい子供の家庭内の言動と同じレベルで理解してしまう。今日は小学校で何かいやなことがあったから、帰ってきて家であんなにふくれているのだ、という解釈を、そのまま中学校時代にも高等学校時代にもあてはめてしまう。高校生になって、自立への願望が出てきて、本人にとって家庭の持つ意味が変わってきたとは決して思わない。親がある時わずらわしくなって、あのように部屋にとじこもってしまった、とは解釈せず、あい変わらず小学校の時と同じように、クラスで誰かと喧嘩してあんなにしているのだろう、と解釈する。大学生になっても、社会人になっても、同じである。疲れているからあんなになるのだ、と社会人の言動を小学生並みにしか解釈できない。

子供が親の庇護下から離れ自分の世界を持つようになったら寂しいが受け入れなくてはならない。もうこんなに大きくなったのかと逆に喜ぶべきなのだ。子供がアイデンティティーを獲得するにはさまざまなハードルを越えねばならず、成長を喜ぶべきなのだ。

親離れできない子、子離れできない親に向けた書籍。成長の過程で直面するさまざまな課題をどう克服するか親子の関係を解析します。

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