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自分の頭で考えたい人のための15分間哲学教室|アン・ルーニー

哲学と聞くと小難しくて抵抗があるという人も多いのではなかろうか。この書籍では哲学は何の役に立つのかを考えながら学ぶ1日15分間の哲学レッスンを行なっていく。

哲学は何の役に立つのか

科学と同じように、哲学もまた真理に近づこうとする。たとえば「人を殺すのは悪いことだ」という命題について考えてみよう。それが「いかなる場合であっても悪い」と一概に言えない状況は、すぐに思い浮かぶのではないだろうか。不治の病で苦しんでいる患者が、苦しみから解放してほしいと 懇願 するケースなどだ。したがって、この命題は修正が必要になる。「相手の意思に反して人を殺すのは悪いことだ」とすれば、かなり改善されるだろう。しかし、これでもまだ完全ではない。戦争は? 死刑制度は?  なかには最初の「人を殺すのは悪いことだ」という命題にこだわって、その裏付けとなる根拠を示す人もいるかもしれない。あるいは、命題をさらに修正して、たとえば「罪のない人を本人の意思に反して平時に殺すのは悪いことだ」とするかもしれない。哲学は、こうした精査と反復のプロセスを通して、私たち人間が社会を築き、自然との調和を保ちながら暮らしていけるようなルールと信念を生みだそうとする。その過程で、いくつかの真理も発見できるかもしれない。

科学と違って哲学には答えがあるようでないと感じていた僕だが、真理にたどり着くには様々なステップを踏むことが必要で、考えはやまない。この真理にたどり着くまでのステップのなかで様々な気づきが生まれるということだ。精査と反復のプロセスこそ哲学の真髄。

神は時計職人〜ニュートンの世界観

もちろん、神に大いなる計画はあっても、個々の人間には関心がないという可能性はある。ある生物種を創造し、その後、その種を何かの実験のために使うこともありうるだろう。生物学者が遺伝子の実験用にミバエを繁殖させるように、人間も宇宙の科学実験の材料になるのかもしれない。この場合、神に特定の誰か(集団)に苦しみを与えようという意図はなく、すべてはたまたまにすぎない。あるいは、神は人間の問題に関与することを好まないか、そもそも関与することができないのかもしれない。この世界を創造したのは神だが、その後、世界はみずからの力で動きはじめたとも考えられる。神を聖なる時計職人のようにみなすこの見方を提唱したのは、万有引力を発見したアイザック・ニュートン(一六四二~一七二七年。主著『プリンキピア』)らだ。もし世界がそれ自体の法則に従って動いているのなら、悪いことが起こるのは、これまでに起こった何かの結果か、あるいは設計図に間違いがあったからということになる。これだと、神が存在しない場合と状況はそれほど変わらない。別の考え方として、神は人間の運命に無関心か、悪意をもって積極的に関与しているというものもある。この世界で起こるさまざまなことに幻滅しながらも、まだ神の存在は否定できずにいる人たちが唱えている見方だ。この考えを否定する正当な理由はない。善なる神がいる可能性があるのなら、悪意ある神がいる可能性だってあるのだ(考えたくはないが)。

僕は神の存在を否定する無心論者だ。日本という国では無心論者でも非難されることはないが国が国なら批判の的となっていたことであろう。無論、そういった国に生まれていたら神を信じている可能性もあるが。神は信じないが地球外生命体とかは信じる人なので面白いですよね。

ニーチェとフロイトが出した結論

ニーチェは死後の世界などというものは存在しないと言う。この場合、宗教というのは、決して保険金が支払われることのない保険契約を結び、保険料を払い続けるのと少し似ているかもしれない。だまされたと気づいたときにはもう遅い。精神分析学の創始者ジークムント・フロイト(一八五六~一九三九年。主著『夢判断』『精神分析入門』)も、宗教のなかに隠された思惑を見てとったが、彼の場合、それは心地よさと癒しの源を探し求める潜在意識だった。フロイトの考えでは、人は「運命の残酷さと折りあいをつけるのを助け……文明化された生活の苦しみを癒してくれる父親的な存在を求めている」のだ。ニーチェやフロイトによれば、人々を神に向かわせるのは理性や信仰ではない。苦難に直面する人々には、自分を納得させる言い訳が必要なのだ。それは信仰心ではない。信じることを選択しているわけでもない。ただ、 藁 にもすがる思いで宗教に救いを求めているということなのだ。

僕も死後の世界など存在しないと思う派だ。そして輪廻転生とかも信じない。もしそのようなことが実際にあったとしても、実際に転生前の記憶がないのではそれを証明できないので、それはないのと同じという考え方だ。

哲学ではどのように物事を考えるかが学べる書籍。何事も自分の頭で考える癖をつけるのには良いトレーニングになると思います。

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