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1秒でも長く「頭」を使いたい 翻訳者のための超時短パソコンスキル大全|高橋 聡

翻訳を行うなう上で効率化を極め、正確に訳すためにパソコンをどう使うか?ハードウェア選びから翻訳支援ツールの使い方まで、翻訳者にとっての辞書事情まで披露します。

翻訳者としてコンピューターをどう使うのか

本書を読み始めてくださった方のなかで、コンピューター(パソコン)を使っていない方はいないでしょう。総務省の情報通信白書などを見ると、世帯あたりのパソコン普及率は70%弱ですが、翻訳者や翻訳学習者にとって、パソコンは今や不可欠の道具になっているからです。

では、翻訳者にとって「パソコンが不可欠な道具になっている」というのは、いったいどんな意味を持っているのでしょうか。それを確かめるために、ちょっと昔話にお付き合いください。

まず、翻訳者が使う三大道具を念のために確認しておきましょう。大きくまとめると、

● 原稿を書く道具

● 辞書

● 調べものをする道具

です。この3つの変遷を軸にした昔話をします。

私は1980年代前半から翻訳に携わっています。初めて翻訳料をもらったのは、Apple II(Macより前にApple社が発売していたパソコンです)のゲームマニュアルを翻訳するという仕事でした。「原稿を書く道具」は、 原稿用紙と鉛筆と赤ペン。「辞書」はもちろん 書籍 だけ。「調べものをする道具」は 図書館 が中心です。

間もなく、実用に耐えるワードプロセッサー(ワープロ)専用機が登場し、「原稿を書く道具」の効率は一気に向上しました。なにしろ、紙と鉛筆と赤ペンの時代には、言葉を消したり並べ替えたりするだけでもひと苦労でした。下書きの原稿用紙に何度も赤を入れなおし、最後に清書するという工程が必要だったわけですから、カット・コピー・ペーストという機能は、もう夢のようでした。「ワープロは翻訳者のための道具だ!」と、誇張抜きで思ったものです。個人でも買える価格で登場したパーソナル用ワープロは、たった1行の液晶画面からだんだん表示画面が大きくなっていくという段階でしたが、私は最初からビジネス仕様の大型ワープロをリースして使っていました(毎月10,000円の60回!)。これが80年代中頃から90年代はじめの頃で、「辞書」はまだ書籍、「調べものをする道具」としては、そろそろパソコン通信が出てきます。

90年代に入ると、パソコンで本格的な日本語ワープロソフトが使えるようになりました。また、いわゆる電子辞書が登場しただけでなく、CD-ROMを入れたまま、あるいはそこからインストールしてパソコン上で使う電子辞書も登場しました。そして、ついには調べものの手段としてインターネットが一般に使えるようになる──これで、今日まで続くおなじみの翻訳環境が出そろいます。

原稿を書く道具:紙→ワープロ専用機→パソコンとワープロソフト

辞書:書籍→電子辞書(CD-ROM)→オンライン辞書

調べものをする道具:図書館→(パソコン通信)→インターネット

こうして振り返ってみても、翻訳者が置かれた仕事環境は、実に急速に進歩してきたと言えます。その結果として今あるのが、私たち翻訳者がいま置かれている「パソコンが不可欠な道具になった」環境だということです。

翻訳者でなくても調べ物をする際などインターネットは不可欠なモノになっています。特に簡単なトラブルならネットで検索すれば大抵のことは解決します。僕はMacしか使っていないのでWindowsのことはよくわかりませんが、最近のMacの文字入力では入力した文字列の意味を素早く確認できたり、言葉の使い間違えを防ぐのに役立つ機能が付いていてこれがとても便利。辞書アプリとの連携強化でシームレスな入力が可能になっています。

WindowsかMacか

最初に考えなければならないのが、この選択です。答えは「Macでも翻訳はできるが、Windowsのほうがなにかと有利」 というところです。実際、Macで仕事をしている同業者が、1割弱くらいはいます。ただし、Macを使う場合でも、Mac上でWindowsも動かしていたり、別にWindows環境も持っていたりします。

Windows環境が必要になる度合いは、扱う分野や文章の種類によって異なります。出版翻訳(フィクション、ノンフィクション)も含め、文書ファイルを扱うことがほとんどで、それ以外のツール類を多用しないのであれば、Macだけでも問題なく仕事になるようです。一方、産業翻訳ではどうしてもWindowsが必要になる場面があります。指定されるツールがWindows版のみということも多いからです。

というわけで、 本書で取り上げるのは、Windows環境だけ です。紹介するアプリケーションのMac版があればMacでも使えますが、操作説明はすべてWindowsをもとに進みます。あらかじめご了承ください。

ただし、今後は、Macも翻訳者用のパソコンとして有力な候補になりつつあると言えるかもしれません。ひとつには、翻訳に使うツールがどんどんクラウド化しているため、「Windowsでしか使えない」という状況が変わってきているからです( 第9章を参照*)。そして、もうひとつは辞書環境の変化です。パソコンにインストールして使える辞書が減っている一方、iOS向けに販売されている辞書アプリ、特に物書堂という会社の辞書アプリがどんどん充実しています。しばらく前まではiPad/iPhoneでしか使えませんでしたが、今ではmacOSでも使えるようになりました。辞書環境に関しては、今後は「Macのほうが有利」と言えるかもしれません。

やはり仕事の現場ではまだまだWindowsのシェアが大きくMacだと不便に感じることがあるようですが、昔に比べてだいぶMacでも同じ作業ができるようになってきました。ファイル形式の違いもほとんど解消されて使えるソフトも充実。ゲームをやるならWindowsみたいな棲み分けはありますが、Mac上でWindowsを動かすエミュレーターを使えば問題解決。仕事は会社支給のWindowsで、家ではMacといった人も多いかと思います。自分のスタイルに合ったOSでといったところでしょうか。

翻訳者目線でのパソコンスキルを惜しみなく披露。これから翻訳者を目指す人はもちろん、普段書き物を生業や趣味にしている人にも有用なTipsがたくさん。あなたの入力ライフを支援します。

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