老後2000万円問題や人生100年時代に関する書籍が溢れています。不安を煽るメディアにより「孤独」「健康」「お金」への不安は増すばかり。そんな「定年不安」に疑問を投げかけ「好きなように生きる」生き方を説いた書籍の続編。
父たちの定年は私的な問題にすぎなかった
一九七七年当時、退職後なにをするか、という問題はあったが、それは自分で考え、自分で解決する問題だった。今のように、専門家の手引きによって年金や貯蓄で老後資金を計算するような問題ではなかった。定年後の生きがいや、趣味や、健康や、人間付き合いや、孤独になる恐れ、などの不安があったはずもない。あったとしても、どこまでも個人の問題だった。
むろん、現在とは平均寿命も違うし、時代の雰囲気も違う。しかし人間の生き方にそれほどのちがいがあるとは考えられない。変わったとしたら、人生は一回きりだから思いきり楽しまなければ損だ、というように時代の人生観が変わったかもしれない。そしてそういう部分での考え方が変わった分だけ、人生に対する個々人の覚悟ぶりが変わったかもしれなかった。
いつごろから定年は、今のように社会的・世代的な大問題になったのか。昔でもそれなりの心配はあっただろうが、それでも「たかが定年」だった。それが現在では、「されど定年」として人生の一大事となったのだ。なかには、早々に四十代、五十代から定年準備を勧める本まで出て、いよいよ大ごとになったのである。
人生100年時代の定年度の生き方は若い世代の資産形成にまで影響を及ぼしている。会社に入社したばかりの子たちが積立運用に関して学んでいるのを見ると僕も若いうちから備えておけばよかったと思うわけで、もし給料な一部を積立投資に回して今まで運用していたら得ていたであろうお金をついつい計算してため息をつくそんな生活。でも考えてみれば今の生活に不満があるわけでもないのでそれはそれでハッピーなのではと思ったりもする。過度に人と比較して不平不満を言うより自分らしく生きていければそれでいいと改めて感じさせてくれる書籍。
世間では2000万円どころではない
わたしは九年前の『定年後のリアル』のなかで、定年後における三つの不安を、お金、生きがい(やりがい)、健康ではないか、と書いた。その後、いや一番の問題は孤独ですよ、という本も現れたりしたが、もちろんなんでもよろしい。ところが今年、金融庁が老後には厚生年金以外に二〇〇〇万円が必要だと発表してから、やはりなんだかんだいっても、一番問題なのはお金だということが、いっぺんに問題化したのである。
金融庁では「人生一〇〇年時代」を踏まえて、男六十五歳以上、女六十歳以上の夫婦が年金だけで生きるには毎月五万円が不足すると計算した(食費を六・五万円とするなど、支出明細を適当に設定した結果)。そして、そこから二十年生きるとすると一三〇〇万円、三十年生きるとすると二〇〇〇万円の資産が必要になると発表したのである。
すると、え? 知らなかったなあ、国の年金政策の失敗じゃないのかと、野党政治家やマスコミがわざとらしく、一斉に騒いだのである。慌てた麻生太郎金融相は報告書は表現が不適切とかいって、受け取らなかった。
いまさら、なにをいってる? 二〇〇〇万円不足? 世間ではそれまでに退職後は四〇〇〇万円必要とか六八〇〇万円必要とか、なかには一億円も必要などと、散々問題になっていたではないか。その金額も定年後に必要な生活費の総額なのか、月々の不足分の総額なのかが入り乱れて、わけわからなくなっていた。
どっちにしろ、二〇〇〇万円どころではなく、金融庁などとは関係なく、年金だけで足りないことはすでにだれもがわかっていたことである。野党やマスコミは話題にするためにわざと騒いでみせたのである。そんな金はないぞ、どうしてくれるんだと、一部声を上げた老人たちもいたようである。
2000万円問題は出版業界でもバズワードなようで人生100年時代と合わせてとりあえずこのトピックを扱ってればそこそこ売れるという(笑)。それでもそんなに騒ぎ立てなくても人生何とかなるもの。老後を迎えて現役時代のように振る舞えなくなったらひっそりと慎ましく暮らせばいいだけ。最低限の生活ができる日本においてそんなに悲観する事はない。
定年後の生き方について世の中の大半の人が思い描く理想を斜め上から見下ろします。いまさら老後の資金が足りませんなんてことを煽るまでもなく元々わかっていたこと。会社の退職金が減ってきたあたりで気づくべき問題だったのに目をつぶって楽観していたツケなのである。そう言う人は慎ましく暮らすの一択です。
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