我々が見ている世界は本当にその通りの世界の姿なのかという素朴な疑問から生まれた書籍。それを物理学の観点から解き明かしていく。存在の不思議に関する珍しい書籍。今見ている世界を違った視点でみる面白い試みの物理学入門。
理想と現実の狭間で
読者の中には、人間が十分に賢ければ実験など行わなくてもすべて理論的に決められるのではないか、と思う方もいるかもしれない。実際、そのような考え方を一部の理論物理学者や数学者が持っているのも事実だ。本当にそうであれば素晴らしいだろうが、少なくともこれまでの物理学はそのようには進んでこなかった。
とても魅力的で正しそうに見える理論が、実験の結果と一致せず、現実とは懸け離れていたことが判明する、というのは物理学の世界では日常茶飯事だ。人間が理想的だと思う通りには世界が成り立っていないのだ。
これは別に物理学に限ったことではなく、人間というものは理想と現実の 狭間 で生きているものだと言えるだろう。頭の中で理想の姿を思い浮かべても、現実はその通りにはなっていない。理想を持つことは大事なことだが、絶えず現実による修正を余儀なくされる。理想と現実をすり合わせながら生きているのが人間だ。
物理学も同じで、理論的な理想を追求するのは大事なことだが、現実を無視して突き進むと、見当はずれの方向へと進んでしまうものだ。絶えず現実とすり合わせながら理論を進めてきたことが、これまでの物理学の発展を支えてきた。
いくつもの理論がある中で、そのどれが正しいのかを、誰か権威ある学者や権威ある学会が決めるわけではない。あるいは、研究者の多数決で決めるわけでもない。あくまで真実がどこにあるかは自然に 訊く。だが、もし実験や観測によって正しい理論を判別できないとなれば、権威主義的になってしまうこともよくある。そうなれば、もはや科学は現実をありのままに表すというよりは、人間の理想を追求する場になってしまうだろう。それは科学というよりは宗教に近いかもしれない。人間の価値観が入り込んでくるからだ。
目の前に繰り広げられる世界が虚構だったら?そんな疑問に物理学で答えを探す。人間の生み出す理想と現実。夢を見てみるとその虚構がなぜ現実のように夢の中で起こりうるのかという疑問に正解を求める。何が正しいのかという問題は科学より宗教や哲学の分野のことかもしれない。
時間と空間という前提
この世界のすべては、時間と空間に包まれた存在だ。時間と空間とは、宇宙そのものといってもよい。宇宙という言葉自体は、もともと時間と空間を指しているくらいだ。時間と空間とは何だろうか。私たちはとくに意識することもなく、そこにあるのが当たり前だと思っている。いわば空気のような存在なのだが、時間や空間がなければ、私たちの世界もない。
時間と空間は、私たちが生きていくうえで起きる、あらゆる出来事を指し示すためのものだ。物理学では、ものの運動を記述したり予言したりするのに使われる。時間や空間は、その中で動き回る物体とは異質のものである。
ニュートンの力学を筆頭とする 19 世紀までの物理学では、時間や空間はあらかじめ与えられたものであり、それら自体の性質を問題にすることはない。物体の位置や速さを考える時点で、その前提として時間や空間がなければ話にならない。時間や空間の存在は、ニュートン力学において暗黙の前提なのだ。
私たちが生きていく上で起こるあらゆる事象を起こすのが時間と空間に支配されたこの場所。今でこそ確立された時間と空間の定義だが疑ってかかることだっていくらでもできる。ニュートン力学に抗って思考を巡らすのも面白いかもしれない。
物理学の思考法で目に見えるものは現実か幻想かを考える異色の書籍。そんな素朴な疑問を履理学で真剣に答えを探します。
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