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珈琲の世界史|旦部幸博|芳醇なロマンに満ちた一杯のコーヒーに潜んだ「物語」の数々

コーヒー一杯が織りなす芳醇なロマンに満ちた物語の数々。コーヒーを飲む時そんなことを思い浮かべながら飲むのも風情があって良い。深く知れば知るほど味わいもまた深まる。コーヒー一杯ができるまでに紡いできた物語をどうぞ。

エチオピア西南部への進出

エチオピア西南部の諸部族は、いつからコーヒーを利用していたのか……残念ながら、この疑問に対する直接の答えはありません。その歴史はかなり古いと思われるのですが、西南部族には文字文化がなかったため、彼ら自身が遺した史料が存在しないのです。エチオピア西南部について辿れるもっとも古い記録は、キリスト教徒やイスラーム教徒らが遺した史料で、彼らが西南部に進出し、そこでコーヒーを利用していた諸部族と出会ったのは、どちらもおそらく 9 世紀頃と考えられます。

エチオピア産の豆は今でも高品質なものが多く、産地の一つとなっている。どうでもいいが、まず最初にコーヒー豆を焙煎して粉砕、熱湯で抽出して飲むという結構な工程を経ているのが当時の人たちの文化レベルの高さを痛感する。食に対する探究心の賜物がコーヒーなのだ。

コーヒーハウスが公民館の役割も担う──アメリカ

コーヒーが初めてアメリカに伝わった年や経緯については、じつはよくわかっていません。もっとも古い記録は、 1668 年にニューヨークで飲まれていたというものです。ただし、ニューヨークがまだオランダ植民地でニューアムステルダムと呼ばれていた時期に、オランダ東インド会社が既に伝えていたとも言われており、モカから初めてコーヒーが輸出された年(3章) から考えて、 1640 ~ 1664 年の間だと推測されます。

なお、 1607 年にヴァージニア植民団を率いた探検家ジョン・スミスがコーヒーやコーヒーノキを伝えたとしている本もありますが、おそらくこれは、ユーカースが『オール・アバウト・コーヒー』の中で「ジョン・スミスが コーヒーの知識 をアメリカに最初にもたらした」と書いているのを誤読したものでしょう。

コーヒーは 1670 年頃にニューイングランドにも伝わり、そこでまもなくアメリカ初のコーヒーハウスが生まれました。初期の登記簿は逸失していますが、 1676 年にニューイングランドの中心都市ボストンで、数名の商人と住民が「コーヒーを売るパブリックハウスで人を雇いたい」と町の行政委員に要請して、ジョン・スパリーという人物が営業許可を受けた記録が残っています。当時はロンドンのコーヒーハウス全盛期で、また取引所近くの物件だったことから、おそらく、商人の集まる場を目指していたと思われます。

当時のアメリカでは、パブリックハウス(英国のパブ) とコーヒーハウス、居酒屋(タヴァン)、宿屋(イン) はごちゃ混ぜで、明確な区別はありません。店名はコーヒーハウスだったりタヴァンだったりと色々ですが、いずれもコーヒー、酒、食事など何でも提供し、住民同士の交流や商談の場となり、さらには地域行事を行う「公民館」の役割までかぶせた、まさに「町の中心」となる場所でした。

18世紀のボストンでは中心街のキング・ストリート(現在のステート・ストリート)にあった「グリーン・ドラゴン・タヴァン」や「バンチ・オブ・グレープス」などのタヴァンが、その役割を担っていました。ニューヨークでも1696年に「ハッチンズ・コーヒーハウス」が開業し、ボストン同様、町の中心になります。

1690年代にはボストンで、ロンドンでも見られた「ニュースとの組み合わせ」を狙ったコーヒーハウスも現れます。1690年にベンジャミン・ハリスという書籍商が開いた「ロンドン・コーヒーハウス」がその最初です。彼は開業と同時に、アメリカ最初の新聞『パブリック・オカレンシズ』を発行したのですが、この新聞が無許可だったため、創刊と同時に逮捕され、発禁になりました。その後1695年には、別の書籍商が「ガターリッジ・コーヒーハウス」を開業し、日本で流行している「本屋とコーヒーショップの組み合わせ」は、このころからアメリカで定番になっていきます。

本屋とカフェの組み合わせは昔からあったのに、日本では今頃になって(笑)僕も本を携えてカフェに行くのを習慣にしているのですが、時間帯によってくつろげない場合も多い。なので時間は早朝に決めている。客もまばらでゆっくりできるのでおすすめです。

コーヒーの歴史を知ると長く険しい道のりを知ることができる。今当たり前に飲めていることをありがたく思い、先人に感謝しつつ。今の生産者を保護する取り組みなどにも理解を示すのがコーヒー好きの使命かと。

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