日航再建の舞台裏を見ながら日本再生のシナリオを描く。強い闘争心でライバルに「負けてたまるか」の精神が最近の日本には希薄。格闘技にも勝る激しい闘争心を持って仕事に挑め!
これからの日本の姿
日本の近代史を振り返ると、「盛」と「衰」が四十年ごとに転換する。すなわち、八十年周期で日本の経済社会が移り変わっていることがわかる。こうした日本の歩みを考えるとき、われわれが最も関心をもつべきは、まさに「これからの日本の姿」である。
明治維新で勃興した日本が、四十年後の一九〇五年に日露戦争の勝利で頂点を迎えたにもかかわらず、反省することなく四十年後に第二次世界大戦の敗戦で奈落の底に沈んだように、一九四五年の廃墟から立ち上がり、一九八五年に経済的ピークを迎えた日本は、はたしてその四十年後の二〇二五年には、どのような国家になっているのであろうか。
二〇二五年には国債発行残高が一五〇〇兆円を超え、国民の金融資産残高と拮抗するようになり、国債を国内で消化することも難しくなると予想されている。
また、出生率と死亡率の低下により、日本は世界でも類を見ない速度で少子高齢化が進行している。日本の将来人口推計によれば、二〇一二年の時点での高齢化率(六十五歳以上の高齢者人口が総人口に占める割合)は二四%とすでに世界一位であるが、二〇二五年には三〇%に達すると予測されている。国民二人でお年寄り一人を養う社会がほぼ確実に到来する。
同時に、日本の総人口も減少が進む。二〇一〇年国勢調査による日本の総人口は約一億二八〇五万人だが、二〇二五年には約一億二〇六六万人と七三九万人減少すると推計されている。東京都の人口の半分強、愛知県一県分の人口が消失するのである。
とりわけ、若年者の減少は労働人口の減少を意味し、GDPの伸びに深刻な影響を与えかねない。ゴールドマン・サックスが二〇〇七年に発表した資料によれば、日本のGDPは二〇二五年には五兆五七〇〇億ドルになると予測されている。その間の成長率は年率一・三~一・五%と、中国の四・六~七・七%、アメリカの二・一~二・三%と比べて、明らかに見劣りする。
もし、少子高齢化が進み、社会保障費が拡大するなか、労働人口が減少し、GDPが伸び悩めばどうなるのか。歳入の減少により、膨大な財政赤字を背負い、もはや赤字国債の引き受け手もないという事態になれば、日本はまさに国家としての破綻を迎えることになる。
いまのうちに早急に財政再建に取り組み、行政改革などを通じて、小さな政府をつくるとともに、歳出の全面的見直しや税制の抜本的な改革を通じた歳入の検討に取り組まなければ、まさに亡国の事態になりかねない。
破滅は突然来るのではなく、いつのまにかわれわれを蝕み、社会を侵食していく。本来なら、プラザ合意の段階で、あるいはバブル経済崩壊直後にこのことに気づき、日本の針路を根本的に問い直さなければならなかったにもかかわらず、すでに転換期の一九八五年から二十数年が経過し、二〇二五年まで十年余りと、われわれに残された時間は刻々と短くなるばかりである。
労働人口の減少に伸び悩むGDPのダブルパンチで国家の歳入が減り赤字国債の信用が揺らげば日本沈没まっしぐらに。なのにも関わらず財政は歳出増を繰り返し膨らむばかり。軍備の拡充している間に中身がスッカスカな状態になったら元も子もない。
強欲な資本主義の限界
しかし、現代の米国を中心とした資本主義は、人間の欲望を原動力として、できるだけ多くの利益を得たい、それも楽して得たいと望むものに変貌してしまった。そして、そのもてる意志と知性を駆使して、その際限ない発展に血道をあげてきたのである。
その最たるものが、金が金を生む金融界における技術革新である。米国を中心とする金融機関は、高度な数学や統計学、また最先端のIT技術を駆使して、レバレッジを活かした金融派生商品を次々に開発し、それを全世界に販売し、巨額の利益を上げてきた。
それはまさに、できるだけ楽をして巨額の利益を得たい、また自分だけが限りなく儲けたいという、利己的な欲望がエンジンとなっていた。
しかし、そのような際限のない欲望に彩られた金融派生商品に、サブプライムローンというきわめてリスクの高い債権が証券として組み込まれ、それが全世界に流通するに及んで破綻をきたし、二〇〇八年九月、いわゆるリーマンショックが発生し、世界経済に大きなダメージを与えた。
米国を中心に多くの国々の巨大金融機関が破綻に瀕し、それを救済するため、各国政府はやっきになって巨額の資金を注入するなど支援をつづけ、ようやく、世界経済は小康を保つことができた。
しかし、それもつかの間、その後、二〇〇九年十月には、ギリシャの政権交代によって、その財政赤字が公表数字よりも大幅に膨らむことが明らかになり、その後、いわゆる欧州債務危機の嵐が全世界に吹き荒れることになった。
この過剰債務も元をただせば、財政的余裕がないにもかかわらず、未来の自国民にツケをまわし、また他国民に依存し、国債を大量に発行しつづけたというエゴに起因するものと、わたしは考えている。
足るを知る。この一言を国民に周知することが大事。膨らんで歪んだ資本主義下では強欲さにより身を滅ぼす人が増加。再びリーマンショックのような世界経済へのダメージを負えばますますダメージ増へ。好転しないウクライナ情勢の中、先行き不透明感が市場を支配する。企業は社員に対し賃上げで答えることが求められるが、そんな体力があるのは大企業や一部の優良企業のみ。ボリュームゾーンを構成する中小企業を救済、そして育成していかないと日本の未来はない。
京セラ、KDDI、日本航空などの経営に携わってきた稲盛氏による日本再興のシナリオとは?今の日本が抱える問題をあぶり出しその解決方法を探る。
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