大王製紙社長の長男として、豪邸で育ち自身も東大法学部に現役合格。27歳で赤字子会社を立て直し、42歳で本社社長に。そんな順風満帆に見えたはずの男がなぜ〝カネの沼〟に落ちたのか? 創業家三代目転落記。そして、刑期を終えたいま、何を思うのか?
グループ企業から借り入れたカネの総額は実に 50 億円
年5月以来、私は 大王 製紙社長として、グループ企業から巨額の資金を借り入れる裏技を常態化させていた。その大半は、すでにマカオのカジノ「ギャラクシー」や「ウィン・マカオ」で失ってしまっている。 11 年5月の時点で、グループ企業から借り入れたカネの総額は実に 50 億円を超えていた。
「バカラで5時間かけて勝負した結果、500万円が1000万円に膨らんだ。ならば 10 時間かければ、1000万円を2000万円にまで増やせるはずだ」 「運とツキさえ回ってくれば、500万円を5億円に増やすことだってできる。現に150万円を4時間半で 22 億円にしたことだってあるじゃないか。目の前にある 20 億円を 30 億円、 40 億円にまで増やし、今までの借金をすべて取り返すことだってできるはずだ──」
運と偶然性のみが支配するバカラの勝負に、私は全生命を賭けて挑んだ。目の前に積まれた 20 億円によって、カジノ史上誰も成功させたことがない奇跡を呼び起こすのだ。そして私は伝説をつくる。目の前で開きかけた地獄の釜の蓋を、我が強運によって 轟音 高らかに閉じてみせる──。
だが、ひとたび開いてしまった地獄の釜の蓋は、二度と閉じることはなかった。 48 時間の死闘が終わったとき、私は煮えたぎる溶鉱炉のごとき奈落で熔解していた。
ギャンブルはハマると沼。沼はいっぱいあってハマっていると大金を支払っているのにやめられなくなるものも世の中には多い。僕の場合レコード、配信アプリ、ソーシャルゲームなど過去にハマったことがあり高揚感を求めてついつい課金してしまっていた。今でも続けてはいるものの、微課金に収めている。それにしても50億は桁違いのスケール(笑)
次は勝ってやる
カジノのテーブルについた瞬間、私の脳内には、アドレナリンとドーパミンが噴出する。勝ったときの高揚感もさることながら、負けたときの悔しさと、次の瞬間に湧き立ってくる「次は勝ってやる」という闘争心がまた妙な快楽を生む。だから、勝っても負けてもやめられないのだ。地獄の釜の蓋が開いた瀬戸際で味わう、ジリジリと焼け焦げるような感覚がたまらない。このヒリヒリ感がギャンブルの本当の恐ろしさなのだと思う。
脳内に特別な快感物質があふれ返っているせいだろう、バカラに興じていると食欲は消え失せ、丸1日半何も食事を口にしなくても腹が減らない。「何か食べたほうがいいですよ」とジャンケットが心配し、軽食を準備してくれるほどだ。カネがなくなるか。時間切れでフライトの時間が訪れるか。カネか時間が切れるまで、勝負はいつまでも続く。もし私に仕事がなく、資金が無尽蔵にあるならば、何日だろうが何週間だろうがマカオやシンガポールのカジノで勝負し続けたはずだ。
頭がおかしくなっていたと思う。いや、あのころだって、どこかでおかしいと思っていた。それでも、自分で自分をコントロールできなかったのだから、やはり病気なのだろう。
仕事が忙しく時間がないため、土曜日の夜から日曜日の夜まで短期決戦に挑むこともあった。短期決戦だったおかげで勝ち逃げできたときもあるし、月曜日の早朝に帰国する段取りで勝負を延ばした結果、勝ち逃げできたこともあれば最終的に負けてしまったこともある。
資金の上限を定め、これ以上は勝負してはいけないというリミッターを設けておく限り、さほど大負けすることはない。資金と時間のリミッターをはずして狂乱の勝負に打って出るから、ギャンブラーは負けが込んでしまう。
次は勝ってやる、東大卒の人間の発した言葉とは思い難いセリフだが、頭の良さとギャンブル依存症とは無関係なのだろう。確率の観点から考えると絶対に勝ち越せないカジノ。ラスベガスなんかでタクシーに乗ると運転手からもし大勝ちしたらすぐにやめて換金しなねとアドバイスをもらうことも。ギャンブル怖いですね。俗にいうギャンブル以外、投資の世界でもギャンブル好きはその手法に滲みでる。個別銘柄を好みレバレッジをかけて投資したりすると動く金も大きくなりその高揚感を味わうためにやめられない。次は勝ってやる、怖い言葉。
カジノは絶対に胴元が儲かるようにできている。ギャンブル全般に言えることだが無くしてもいいお金を節度を持ってかけることが大事。そして、やらないに越したことはない。周りが見えなくなるほどギャンブルにハマった人間の転落記。
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