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東京貧困女子。 彼女たちはなぜ躓いたのか|中村 淳彦|貧困なんて他人事だと思ってた。

貧困と聞いてどのような状態、境遇を思い浮かべるだろうか?最近では家賃の高い都市部で地域の縁が薄いといった状況下で暮らす人々の間に貧困が忍び寄っている。非正規の仕事で雇い止めにあったりするとたちまち貧困が待っている現状、そんな世の中で生きていく女性にスポットを当てた書籍。

カラダを換金する人々

カラダを換金するのは、主に東京を筆頭とした大都市圏で暮らす貧困女性たちだ。現在は少子高齢化なので、女性の風俗勤めや売春には年齢的な上限はない。リスクを背負って裸になることを決めた女性たちは、基本的に収入は高く、借金などの経済的な問題は解決するという大前提があった。しかし、あまりにも楽に稼げてしまうので、経済感覚のバランスを崩し、ブランド物やホストなどに豪快に消費したり、悪い男が近づいてきたりして、また別の問題を背負うことになる。彼女たちの物語は平穏で幸せとは言い難かったが、貧困という社会問題より、痛快なピカレスクロマンだったのだ。裸の世界はそれぞれの事情を抱えた女性たちが「最終的に堕ちる場所」という社会的な評価で、特殊な産業だ。しかし、覚悟を決めて堕ちてしまえば、貧困回避どころか中間層を超えて富裕側にまわれるという世界だったのだ。

カラダを換金、性を売り物にする人々がどんな気持ちでその仕事を選ぶのかがリアルに描かれている。実際のそういった人々の声は社会的に最終的に堕ちる場所というイメージとはちょっと違う現実がある。若いうちならこうやってカラダを換金することでお金を得る手法は本当にお金に困っていなくても一つの手段として有効なのだろう。パパ活とかも需要があるうちは積極的に使っていこうというライトな感覚でお金を得る行為も見受けられる。しかし、そこには危険も潜んでいて、何度か連絡を取り合って、この人なら大丈夫と思って相手したらとんでもない悪人だったとかもざらだし、危険な目に合う人も。アプリなど相手側のハードルを上げて危険を極力減らす試みなどもあるが、リスクをどのように評価するかが大事。

掲示板のパパ活

掲示板のパパ活は、やっぱり売春ですよね。いま連絡をとる人は 2 人います。 40 代の方々で、詳しいことは知らないです。その人たちのことは、別に好きではないし。ただ食事とかエッチして、お金をもらうみたいな。でも、全然慣れない……、特定の人と何回も会うのは怖いし、やっぱり私が会いたいって思わないし。掲示板を使ってパパ活をはじめたのは、半年前。何度かメッセージのやり取りをして、 2 人の中年男性と知り合った。広田さんが忙しく、彼らと実際に会うのは月 1 ペースだ。会うたびに 1 万円から 3 万円程度のお金をもらっている。恋愛ではなく、割り切った売春に近い形でパパと交際していた。彼女は基本的に不穏な状態だったが、その理由は自分の行動に罪悪感と、漠然とした不安があるからだろうか。相手の男性に身元がバレるのが恐ろしいので、男性とはすべて偽名で接している。大学名やプライベートのことは、すべて噓をついている。お金のことで悩む、掲示板に書き込む、知らない男性とやり取りする、食事をする、セックスする、噓をつく、また不安で悩む、パパ活のすべてがストレスとなっているようだった。お金のためだけにやっていることです。だから、プライベートに入ってこられるのが怖い。結び付きが強くなるのは、ちょっと嫌だなって。だからパパといっても、すごく中途半端な感じ。あと大学 1 年の夏休みから風俗もやっています……。歌舞伎町のハンドヘルスです。うつむき、ずっと声が小さい。パパや風俗のことは誰にも一切話していないようで、自分のことを話していいのかという不安が拭えないようだ。ハンドヘルスとは、男性客を手淫で抜くソフトな性風俗である。求人広告では脱がない、触られないなどとサービスのソフトさをアピールして、未経験の素人女性を集めている。

女子大生という需要の多い世代の売春行為がパパ活などという安易なネーミングで横行しているのはどうかと思う。中には彼氏がいるのにお金のためにこうした活動をしている子もいて、こうした子達を買っているであろう年代の男性と同じくらいの世代としては複雑な気持ちだ。アイドルを応援するのと同じ感覚で女子大生をお金でなんとかしようというのはちょっとどうかと思う。

奨学金制度が学生を追い詰める

ここまで何人か登場した女子大生たちが語ったように、親の仕送りもなくアルバイトだけでは学生生活の維持ができない決して少数ではない女子大生は、学生生活を乗り切るための最終手段としてカラダを売っている。要するに給付型奨学金や授業料減免など、足りないお金をどこかが補えば、その金額分だけは相対的にはすぐに効果がでる。効果とはその補塡された金額だけ、カラダを売ることはなくなるということだ。  女子大生たちのほとんどは、できれば最終手段には足を踏み入れたくない。望まない風俗勤務、売春をしている。その補塡された金額だけ、勉強や恋愛、部活やサークル活動など、別のことに時間とエネルギーを使えることになる。

大学を卒業した後も懐事情が厳しくなる奨学金制度。将来への投資という名目の元お金を借りて勉強するわけだが社会人になって様々な理由から職を失うなんてことになったら目も当てられない。害悪でしかない奨学金制度をなくすために、学費の無償化か新卒一括採用制度の撤廃などを考えるべきフェーズに入っているのだろう。

東京貧困女子。都市部に潜む甘い罠。様々な理由から貧困を余儀なくされた女性たちのドキュメンタリー。

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