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本当のことを言ってはいけない|池田 清彦|本当に「すごい」のは日本の凋落速度だ!

我が国日本はすごいと思い続けていると取り残される。85歳以上のおよそ5割は認知症、学校はブラック職場、そしてエリートは国外へ。本当に「すごい」のは日本の凋落速度だ!世間にはびこるウソと無駄を見抜くエッセイ。

ベーシック・インカムの原資

多少ありそうな未来は、ごくわずかなベーシック・インカムを支給して、生活のインフラを全員に保証して、それ以外に収入がない大半の国民は田舎で自給自足の生活をするというものだ。都会のビルで事務仕事をするよりもこちらの方が健康的で楽しいという人もいるだろうから、ベーシック・インカムだけでなんとか暮らせるようになっても、田舎で農業をする人口は増えるかもしれない。現在、田舎には限界集落と称される、人口が減って崩壊寸前の集落が結構沢山あり、ここに移住すれば、なんとか暮らしていけるだろう。

私個人としては、すべての国民に一律に同額の現金を支給する、本当のベーシック・インカム(universal basic income) が最も好ましいと考えている(生活保護、雇用保険、強制加入の年金制度や健康保険制度などは廃止)。過渡期の問題や、抵抗勢力が沢山あって、現実的にはなかなか難しいと思われるだろうが、現状のシステムに適応している大半の抵抗勢力も、AI化が進めば失業を余儀なくされ、抵抗勢力も現状のシステムも共に崩壊するので、新しいシステムを構築するのはさほど困難なことではないと思う。例えば、年金制度にディペンドしている厚労省の一般官僚や、健康保険制度で食っている多くの医者は、AI化が進めばともに失業する。

問題はベーシック・インカムの原資である。中には、社会保障給付費(年金、医療、福祉等) をベーシック・インカムにすべて回すとして、2018年度の給付費の総額は121兆3000億円で、これを日本の総人口1億2644万人(2018年 10 月1日現在) で割ると、年額約 96 万円(月額約8万円) となるので、増税しなくとも、月額8万円程度のベーシック・インカムが可能だと主張する人がいないわけではないけれども、これはもちろん前提が間違っている。 20 年後に大半の国民が失業するという状態では、この数値自体が意味をなさなくなってくるので、他に原資を考える必要がある。

AI化が進めば、人件費はごく安くなるので、製品を以前と同じ値段で売れば、企業の儲けは膨大になる。企業の黒字の例えば八割とかをベーシック・インカムの原資として徴収すれば、企業も、国民も共に生き延びることができる。問題は企業間で自由競争をすると製品の価格がどんどん下がり、その結果ベーシック・インカムの原資が減って、国民の購買力も落ちることだ。国際競争力をどう担保するかというややこしい問題を、とりあえず措くとすれば、負のスパイラルに陥らないためには、ベーシック・インカム時代においては、経済に関する常識をひっくり返す必要が出てくるだろう。

ベーシックインカムが議論される時毎回上がる原資問題。不必要なぐらい大金を稼いでいる富豪からガッツリ累進課税で税金取るシステムにしたら原資は確保できるだろうけど権力持った人から取るのは難しいか。

変わり者を許容しない社会

少し前に『同調圧力にだまされない変わり者が社会を変える。』(大和書房、2015) と題する本を書いたが、最近、世間一般の風潮から外れるのを嫌がる傾向がさらに激しくなって、これは社会がクラッシュに向かう兆候なのではないかと危惧している。画一的な義務教育と高校教育の結果、目立った行動はマイナス評価に 繫 がるというイデオロギーをたたき込まれてしまったのだろうか。他人と違ったことをやる人が現れないと、科学も経済も社会も国家も衰退を免れないのだけれども、目立つ人の足を引っ張って、みんなで仲良く下降したいのだろうか。

大学の入学式や卒業式も、みな同じようなスーツを着て羊の群れみたいだ。強制されているわけでもないのに、ほとんどすべての人が自主的に目立つことをしたくないというのは、余り良好な社会とは言い難い。昔はもう少しいい加減な学生が多かったような気がする。私自身は自分が入学した大学の入学式にも卒業式にも出なかったけれども(卒業式はそもそもなかった)、昔はそういう学生も結構いた。

早稲田大学は少なくとも私が勤めていた頃はいい加減な大学で(もちろんこれは誉め言葉だ)、私は入学式にはほとんど出席しなかった。見たこともない新入生の前に座っているのは苦痛だったからだ。反対に、卒業式はサバティカルで沖縄に滞在していた時以外は皆勤である。私と一緒に写真を撮りたいであろうゼミの学生諸君は、私が出席しないとがっかりすると思ったからだ(単なる私の思い込みかもしれないけれど)。

かつて、儀式に魅せられた人類といった記事がネイチャー誌に載っていたような気がするが、ダンバー数(お互いに相手と親密な関係を築ける上限。約150人くらいだと言われている) を超えた人数の集団を統制するのに儀式は有効な手段だったのだろう。みんなでそろって同じことをする(同じ行動や同じ歌を歌う)と脳内麻薬が分泌されて陶酔状態に陥り易くなるに違いない。

制服なんかも日本の文化かと思います。私服OKの学校も増えたとはえまだまだ少数。みんな一律で同じ格好をして出る杭は打たれる世の中。個性を潰すようなこの習慣は我が国の風潮。それを変える時期に来ているのかも。そうしないとエリートはどんどん海外に流出してしまうかと。

平均寿命100歳を喜んでいる場合じゃないと警鐘を鳴らす書籍。世間に蔓延る嘘を糾弾する。

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