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円高・デフレが日本を救う|小幡績|先食いしたコストとリスクを支払うフェーズ

アベノミクスとは?それがもたらした株高、円安、国債市場の混乱、景気刺激策はその先取りによってコストとリスクを先送りにした格好に。戦後復興の中で積み上げてきた日本の国富は吹き飛んでしまいました。今後は先食いしたコストとリスクを支払うフェーズに。日本経済の今度を占う。

成長機会を奪うアベノミクス

公共事業に限らず、 一時しのぎの景気対策の仕事をつくることは、長期の成長機会を失わせる ことになるのである。 個人の働き手としての成長機会を奪い、労使の好循環の成長機会を奪い、経済全体の成長力も失わせる。 三重の成長機会の喪失により、日本経済全体の長期成長力は大きく低下する。いや、低下させてきたのである。これが、失われた一五年を生み出したのである。「あの苦しかったデフレの時代」とやらをつくり出したのである。アベノミクスの「日本を取り戻す」という政策は、まさにこれだ。一九六〇年代の日本経済に戻ることを望むような政策は、日本経済の成長機会を喪失させる。 円安で工場を日本に回帰させるのは、世界的潮流から日本企業を逸脱させる政策だ。開発から生産まで市場に近いところで行い、現地の生のニーズを素早く取り込み、現地の人材とともにアイデアから出し合って、開発から販売まで一体化するというグローバル戦力が主流な現在、日本企業だけが一九六〇年代に戻ってしまっては、政策に惑わされた企業は、混迷する可能性がある。 日本経済は 政策によって、「新・失われた一〇年」を迎えるリスクを抱えてしまったのである。

政府の景気対策に頼らなくとも企業が個々の体力を増強し、商品、サービス開発によって成長していけるのが理想なのだろうが、今の日本の企業にはその力が弱いような気がする。ガラパゴス的な商品たちは海外で苦戦している。

最悪の四段重ねの景気対策

公共事業などは、不必要どころか、害悪である。なぜか?第三章の繰り返しになるが、まとめておこう。第一に、負債が残る。借金を返さなければならない。不必要なモノが残り、借金が残る。最悪だ。 第二に、無駄なだけでなく維持管理費がかかるので、無駄以上にロスが発生する。明らかにマイナスのモノが借金とともに残される。 第三に、公共事業という仕事が今年限りの単発の仕事で、持続性のある、未来のある仕事ではないことだ。雇用として最悪の仕事である。若年層はこの仕事に就こうとはしない。この仕事をしても、未来が見えないどころか、将来の失業が確実であれば、誰も寄りつかないのは当然だ。 さらに、第四に、万が一、仕事に就いてしまったら、最も悪い結末となる。ほかの仕事をする機会を失う。 最悪の四段重ねだ。これは、公共事業に限らない。政府の補正予算などによる景気対策により、一時的な仕事を地方に配るのは、最悪で、地方経済を殺すことになる。 このような仕事に新たに就く人はいないから、非常に高い賃金でオファーせざるを得ない。それなら、といってこの仕事を受けてしまうと、別の仕事に就くことはできない。このような流れで三年間、この仕事をした後、一生働けるような分野の仕事に移ろうとしても、そういう仕事は埋まっているだろう。なぜなら、すでに、その分野で三年間修業を積んだ若者たちがいるからだ。 そうすると、しかたなく前の仕事あるいは似た仕事を続ける。飼い殺しである。 このような四つの理由で、短期的な仕事を生み出す景気刺激策は最悪なのである。

公共事業は借金が増えるだけで成長とは縁遠い。借金してまで公共事業に投資してもリターンを得られないのだからもっと慎重になるべき。ライフラインなどは国に頼らなければならないがオーバースペックな公共事業は借金の元凶となるだけ。

景気対策を止めれば成長は始まる

多くの人は、消費をとにかく刺激しないといけない、貯金を取り崩させ、消費させて景気を良くしないといけない、という誤謬に陥っている。 とんでもない。今、この金融資産を消費してしまったら、将来、使うカネがなくなる。 今の経済よりもはるかに縮小した二〇年後の経済は消費したくてもカネがなくなってしまっているはずだ。そのときまでに消費の原資をつくっておく必要がある。 そのために、消費したくないものを無理に消費するのではなく、投資する。日本に投資先がなければ、海外に投資すればいい。需要依存の人々はそれでは需要にならないというが、所得にはなる。 きちんと投資すれば、所得になり、国民所得は増える。これが一番重要なのだ。パイを増やしたいなら、無駄遣いをするのではなく、賢く投資をして稼ぐ。もちろん、この場合、円高のほうがいい。いろんな投資が海外でできる。収益で原油でも何でも買ったらいい。投資額も増えるし、収益で買う原油も安くなっている。所得が余る。その分、国内で別のものに使える金が増える。所得税収増加により、消費税の引き上げ幅が小さくてすむ。所得税が増えて消費税がいらなくなる、と書いたほうがインパクトも文章の流れもいいが、そんなことはしない。ここでは、ポピュリズム政策は議論しない。現実的な政策だけを議論する。将来我々は所得の低下に苦しむ。そのときこそ、資産を食いつぶすのだ。今ではない。銀行に預けていてはカネが死んでいる、と言うが、それは間違いだ。銀行が国債で保有しているから死んでいるだけのことだ。国内に融資ができなければ、海外に投資をする。それだけのことでカネは生きてくる。

銀行預金が投資に回れば景気は回復するという考え方。海外では投資が資産形成の主力となっている。金融商品がもっと一般的になれば景気は回復する。企業も内部留保を投資に回すようにしなければならない。

アベノミクスの失敗を分析。それなりに評価する声も多いアベノミクスだが失敗と評価し、最初から間違っていたという。これを読めばアベノミクスのネガティブな部分がはっきりと見えてきます。

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