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日本発「ロボットAI農業」の凄い未来 2020年に激変する国土・GDP・生活|窪田新之助

AIやビッグデータ、そしてIoTやロボットを活用した未来型農業が浸透しつつある。日本の得意分野のこのパワーは地方創生には欠かせない。自動車産業をも凌ぐその可能性にせまる。

黄金のビッグデータ

これから世界が迎えるのは、毎年一兆個のセンサーを活用する「トリリオン(=一兆)センサー」の時代だ。これは二〇一三年に米国で開催された「第一回トリリオンセンサーサミット」で公表された予測である。

一兆個というのは、センサーの需要において現在の一〇〇倍に当たる数字だ。世界人口が七三・五億人(二〇一五年の国連推計)なので、一人当たり年間一三六個を使う計算になる。

インターネットにつながるモノも増えていく。世界最大のコンピュータネットワーク機器の開発会社、米シスコシステムズの予測によると、インターネットにつながるモノが二〇二〇年には五〇〇億台に達する。同社が二〇一二年に発表した調査では一〇〇億~一五〇億台だったので、わずか八年で三~五倍に広がっていくと予測されている。

さらに経済協力開発機構(OECD)が二〇一三年に発表した調査結果では、四人家族の家庭内にあるネット接続機器は、二〇一三年に一〇台だったのが、二〇二二年には五〇台と、五倍になると予測されている。パソコン、スマートフォン、タブレットだけでなく、電球やコンセントもネットにつながるという。

とにもかくにもインターネットにつながるモノやセンサーが社会に浸透するにつれ、あらゆるデータが手に入るようになってくる。しかも、経年的なデータの増加量は直線ではなく、急激な上昇カーブを描いていく。

もちろん農業でも収集できるデータの量が飛躍的に増えていくことは、すでに書いてきた通りである。では、農家や農業関連企業はこうした膨大なデータを集めながら、自分たちの農業経営や事業に活用するだけでいいのか。データ自体に価値を見出し、新たなビジネスを創造したり、海外の農業発展に貢献したりする方法はないのか──。

パソコンやスマートフォン、タブレットなどで栽培を管理するハイテク農業が浸透しつつある。収穫時期を熟練の農家さんの監修をもとにビッグデータ化したものはまさに黄金のビッグデータ。これで素人でも時期を逃さず収穫できる。糖度の管理などを徹底することで昔は無かったような甘い果物のような野菜も世に出回るように。可能性を秘めたこの分野に若い人も興味を持ち始めていて自分の出身地に戻り農業従事者になる若者も。

メイド・バイ・ジャパニーズで世界に

IoT時代、日本の農家が農畜産物を輸出するとしても、何も日本国内で生産する必要はない、ということだ。海外で生産し、その国の需要をまかない、周辺諸国に輸出したりするほうが、ずっと合理的である。いわゆる「Made by Japanese(メイド・バイ・ジャパニーズ)」だ。

なぜメイド・バイ・ジャパニーズが重要かについて確認しておこう。これに関してはいくつかの観点がある。

一つは、資産管理のリスク分散だ。グローバリゼーションのなか、円だけで資産運用するのは危うい。アフリカやアジアには、有力な投資先はいくらでもある。このうちアフリカについては、世界銀行が、二〇三〇年までに一兆ドルの食糧市場を生み出す潜在性があるとしている。ただし、これは条件付き。その実現には、インフラ整備が欠かせない。

加えてメイド・バイ・ジャパニーズの重要さは、何よりも、生産する農畜産物の適地性である。野菜や果物を生産するとき、その種類によっては、日本よりも気候や土壌など栽培条件が適している国は少なくない。さらに、関税や補助金といった条件も含めれば、なおさらである。生産者だけではなく経営者でもある農家たちにとってみれば、日本で営農するよりもやりやすい国は多々あるだろう。

これに関してはすでに面白い実験がなされている。

先に紹介した北海道大学大学院農学研究院の野口伸教授は、二〇一四年、総務省の事業で、日立造船、日立製作所、日立ソリューションズ、ヤンマー、そして豪州の機関とともに、ロボットトラクターを豪州の稲作に使った。現地に輸送したのは、私が北海道大学の農場で見せてもらったロボットトラクター。車体の後部には、肥料をまく機器である「ホッパー」を、そして前部には、葉色を表すSPAD値を計測するセンサーを装着した。

これで実現できるのは、次のようなことだ。まずセンサーで、稲の栄養状態を把握するSPAD値を計測し、クラウドに上げる。そのデータからAIが、必要な施肥量を決定し、豪州の田を走っているトラクターにデータを送信。するとトラクターは、ホッパーから適量の肥料をまいていく。驚くことに、一連のことは瞬時にできてしまう。このためトラクターは走行中、同じ農地であっても、ポイントごとに地力に応じて施肥量を変えていくことができる。

日本の農業を海外でという動きは加速している。技術を移転することでその国の発展に寄与することもでき、日本も新たな市場を開拓できる。システムごと売ろうとする動きはこれからも加速していくだろう。

ハイテク農業の未来はすでにスタートしている。これからの日本の産業振興の意味も含めて海外にまで目を向ける。明るい農業の未来を感じさせてくれる書籍。

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