暗記科目として捉えられがちな日本史。7つのツボで流れを一気に掴む!!コンパクトにまとめられた日本通史が誕生。疑問を持ち、仮説を立て、そして常識を磨く。面白く明快に日本史を解説。
信長がもたらした自由
戦国大名とは何か。その本質は土地を通して考えるとよくわかります。
たとえば今川義元や武田信玄は、自国の領地について、もはや外部の誰をも頼りません。駿河国の土地の所有は、すべて今川義元が保障します。それを支えるのは、もちろん今川家の武力です。だから、もう中央に税を払うこともない。ここにおいて、「職の体系」は否定され、新たな土地所有の権利が確立するのです。
限られた地域ではあるが、自分の領国において、自分で土地の安堵をできる存在。これが戦国大名の画期性でした。
そして、これを徹底的に進め、「天下」を統治しようとしたのが、織田信長だったといえます。信長が浅井長政を滅ぼしたあと、秀吉に「浅井領をやる」と言ったときには、そこにある土地、生えている木も川に泳ぐ魚も、全部、秀吉のものになる。これを「 一 職 支配」といいますが、権利の源が一元化される。そして、その権利を分有する形で、ある村は秀吉の家来の所有となる。さらにいえば、農民たちは秀吉に税を収めることで、自分たちの土地に対する権利を認めてもらうのです。この所有権の確立を動産について適用したのが、楽市楽座だといえるでしょう。
たとえば、現代の日本で日本銀行券という紙片が商品やサービスと交換できるのは、日本政府の統治能力を誰もが信用しているからです。つまり、売買や所有を支えるのは、国家の統治能力です。
信長が実現しようとしたのは、こうした一元的な統治権力による、所有権の保障だったといえます。もう「職の体系」のように、ひとつの土地に対して、複数の人間が所有を主張して、収拾がつかないということは起こらない。こうしたヴィジョンは豊臣秀吉、そして徳川家康に受け継がれた。私はそう考えるのです。
信長が行った施策として有名なのが楽市楽座。それにより経済が一気に加速した。自由な取引は経済を活性化させる。現代でも国ごとに関税がかかっているがそれが取り払われたら消費者に優しい価格が実現できる。生産者には必ずしもメリットというわけではないが、それにより国際競争力の高いものを作るようにシフトしていけば問題ない。
悪党たちが戦いを変えた
ここまでの論点を踏まえて、日本史における戦い方の変遷を一気にたどってみたいと思います。
そもそも武士は、自分の土地を自分で守るため、在地領主が武装することで生まれたと考えられます。そして、そこに「 兵 の道」というべき武士のあり方、戦いの際のルール、道徳観念のようなものが形作られていく。
平安後期から鎌倉期、『平家物語』や『吾妻鏡』をみると、武士の戦いは基本的に一対一です。自分はどこそこのこういう者だと名乗りを上げ、相手側も名乗ったあと、よき敵、ござんなれと命懸けの戦いを始める。それを周りはただ見ている。バカバカしいようにも思いますが、これが当時のROE(交戦規定)だったのです。これは、早くは『今昔物語』などにも見られますから、平安時代、平将門の時代からあったようです。
たとえば壇ノ浦の戦いでは、 水手、 梶取 と呼ばれた舟の漕ぎ手は非戦闘員として討ってはいけないとされていました。それを破ったから、源義経は勝てたんだという説もありますが、一定のルールがあったことはうかがえる。
そこで興味深いのは、平清盛の一番下の弟、薩摩守 忠度 のケースです。彼は文武両道の達人として知られていましたが、源氏方の岡部忠澄と一騎打ちをして相手をねじ伏せ、さあ、首を斬ろうとすると、岡部の郎党が忠度に斬りつけ、片腕を落としてしまう。それで形勢は逆転して忠度は戦死するのですが、『平家物語』はこれを卑怯だとかアンフェアだと非難していないのです。どうも郎党が主人の危機に参入するのはOKで、ほかの武士が介入するのは禁止らしい。このあたりの細かな感覚はまだよくわからないところがあります。
大河ドラマの影響で義経のエピソードは知る人が多いのではなかろうか。ルールを無視したからこそ勝てた戦い。しかし戦いにルールなど求めるのもナンセンスかと。ルールが勝利の弊害となるならルールを変えるぐらいの気概がないと混沌とした時代を生き抜くのは無理。
日本史の面白いところを抽出しながらエッセンスを楽しみます。日本史の暗記が苦手だった人も日本史の魅力を感じられる書籍となっております。
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