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日本の「老後」の正体|髙橋洋一|財政は破綻しないし、年金は確実にもらえる。だから年金の保険料を払わないと損をする!

「日本の抱える借金は1000兆円もあり財政破綻は不可避」「少子高齢化により経済成長は鈍化、将来は年金ももらえなくなるだろう」これらの考えは誤りだと著者はいう。「財政は破綻しないし、年金は確実にもらえる。だから年金の保険料を払わないと損! 」

景気とインフレ・デフレの関係

・世の中に流通するお金の量(マネーストック)が増える→景気が回復する(消費や投資が増えるから)→物価が上昇する(インフレが起こる)

・世の中に流通するお金の量(マネーストック)が減る→景気が悪化する(消費や投資が減るから)→物価が下落する(デフレが起こる)

強調しておきたいのは、景気が回復した結果、より綿密に言えば、景気が回復する過程で物価が上昇し始め、インフレが生じるということだ。あくまでも、インフレが生じるから景気が回復するのではなく、景気がいいから物価が上昇するというのが正しい順序なんだよ。

高校生  インフレ率が上がってる時は景気がいい時だから、求人が増えて失業者は減る……。うん、仕組みが分かると、当然のことだなって思えますね!

先生  ちなみに、失業率とインフレ率の関係を表した 図9 は、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスの経済学者アルバン・ウィリアム・フィリップスが発案したもので、彼の名から「フィリップス曲線」と名づけられているんだよ。

景気循環の仕組みがわかると経済の動向も見えてくる。現在は一定の業種の業績が伸びている一方、景気の良さを感じない人々も多数。格差が生まれている状態。好景気の果実をみんなで共有するための施策を講じると政府は言うが、どこまで本気か見ものだ。金融緩和で投資を呼び込んだアメリカの株価は過去最高値をつけたが、その後引き締めで株価下落。しかし上昇前の水準より高い位置で推移しているのでこれは成功と言えるのかも。そんな景気対策が日本でも通用するかどうか。

年金破綻論の正体

先生  ここまでの説明で、日本の将来への不安はだいぶ解消されてきたかな?

高校生  それが、一番不安なことが残っていまして……。老後というか、まだまだ先のことなんですけど。

先生  ひょっとして「年金」のことかな?

高校生  そうです! 年金制度はもう危ないって聞いたことがあって、これからコツコツ払っていっても無駄になりそうで怖いんです。

先生  結論から言えば、きちんと払っていれば、ちゃんと払ってもらえるよ。

高校生  でも、高齢化が進んでお年寄りばっかりになったら、国に年金を払う余裕なんてなくなるんじゃないですか?

先生  確かに、メディアが長い間「年金が危ない」とあおってきたし、心配になるのも無理はないね。だけど、これまで日銀や財務省から出たさまざまな論説に誤りがあったように、「日本の年金は破綻寸前」という見方も、大きな誤りなんだよ。

もちろんメチャクチャな制度改悪や経済政策運営をすれば別だけど、現状の制度をきちんと運用すれば、「破綻だ」などと大げさに悲観する必要はないんだ。これから、その理由をじっくり説明していこう。

高校生  はい……、よろしくお願いします!

先生  まず、なぜ日本では「年金が危ない」という議論がこれほどなされるのか。

その点をふまえ、少しいじわるな見方をしてみよう。「年金が危ない」という考えが浸透すれば、誰が「得をする」かな?

高校生  年金が危ないという考えで得する人……。そんな人、いるんですか?

先生  まず、財務省は「お得」だ。知っての通り、財務省は消費税の増税を目指しているけど、実現するためには「社会保障」への不安が高まっているに越したことはないんだ。

また、金融機関も「年金が危ない」という常識が世の中に広がっているほうが都合がいい。

年金不安は貰えたとしても拭えない問題でもある。正社員として厚生年金をもらう立場ならともかく国民年金だけの支給では生活が苦しいのは目に見えている。フリーランスなどでは自分でお金を運用して自分年金を作るか、国民年金基金などを利用するしかない。将来年金機構が破綻して年金がもらえなくなるなんてことはありません。そんなデマを操り得するのは誰か考えてみれば証券会社などいくつかの業種が挙げられる。消費増税を考えている財務省もそのうちの一つ。老後の資金が足りない問題もそんなところから出てきた話だと思います。しかし一概にそれが悪いとは言えません。自己防衛的に自分で資産運用する人が増えれば投資が増え経済も回るので。

日本の老後にまつわる不安やその原因を正しく理解し恐れない。世の中のデマに踊らされることなく自信のライフステージに合わせた知識を溜め込むための基本が詰まった書籍。

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