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教養として学んでおきたいニーチェ|岡本裕一朗|私たちはニーチェの掌の上で踊らされている

ニーチェ由来の考え方は今では当然のこととして人々に知られていたりする。ニーチェを一度も読んだことがない人でもニーチェ的なものの考え方をしたりしている。意識の有無に関わらずだ。全ての人に何かしらの人生のヒントを与えてくれるニーチェを再考。

人気の哲学者

現代の日本において、哲学者の書籍、中でも一般向けの書籍で最も名前が出てくる哲学者と言えばニーチェではないでしょうか。これは日本に限った話ではありません。英語圏をはじめ、フランスでもドイツでも、やはりニーチェは人気がある哲学者です。それではどうして人気があるのでしょうか?

まずはその理由について、この序章で考えていきたいと思います。 第一に、哲学者としての魅力が挙げられると思います。哲学説そのものは抜きにして、哲学者として魅力があるかどうか。

そもそもニーチェという人物は、おそらく多くの人が哲学者に抱くであろうイメージを裏切りません。

ニーチェがいかにも哲学者であるというイメージは、彼のエキセントリックな生き方が非常に大きく作用しているのではないかと思います。ただ、ニーチェの生い立ちからその生涯をただただ年譜的に追っても面白くないので、ここではエピソード的なものをピックアップしてみようと思います。

哲学に興味がなくても誰もが名前を知っているニーチェ。なぜ彼が世界的に人気なのかがわかるエピソードを披露。彼の生き方を通じてその魅力に迫ります。

人生でいかに遊ぶことができるのかが生きるヒント

〝遊び〟というと、ギャンブルをすることですか? みたいに聞く人もいますが、基本的にはそういうことではありません。しかし、それならばどうすればよいのかと尋ねても、すべての人に共通な〝遊び〟などはありませんし、ニーチェ自身もそれを想定しているとは思えません。

あくまでも、〝遊び〟は各人にとっての活動のあり方でしか決まらないのです。そして、「人生は遊びである」とか「人生そのものが遊び」ということでもないのです。自分の人生の中でいかに遊ぶことができるのかというのが、永遠回帰を生きるポイントになるのです。

ニーチェが〝遊び〟に対して大きな方向性を見出すのは、子供というものを最終的なひとつのモデルとして考えたということも無関係ではありません。子供が遊ぶときに、何かのために遊ぶ子供はいません。その意味で、〝遊び〟のあり方のひとつのモデルを子供の遊びの中に見出したのだと思います。そして、それと同時に、〝遊び〟ということで、子供のあり方を規定したわけです。

しかし、これは子供だけの問題ではありません。ニヒリズムを受け入れながら、生きることを肯定するためには、どのように遊ぶかが問題になってくるからです。ニーチェにとっての遊びは、それこそ〝パロディを作ること〟であるとすれば、ニーチェの思想そのものが、実は彼自身の遊びの実践だったと考えられるのではないでしょうか。

よく子供は遊びの天才なんてことを聞きます。確かにたわいもない行動を遊びに変えたりして時間を過ごした経験が皆にあるでしょう。そんな遊び心を忘れずに大人になっても遊ぶ人は輝いてイキイキしているように思います。遊びを人生の中にいかに組み込むことができるかが充実した毎日をおくれるか否かの分かれ道かと。

誰もが名前を聞いたことがあると思われるニーチェ。これを機会に教養として学んでみませんか?きっと読後には読む前と違った世界が広がっているかと思います。

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