時代はMBAからMFAへと移り変わっているようです。デザインスクールのプログラムでアート的な感覚とビジネスを同時に学んで時代の波に乗っていこう。
強烈なアウトプットを生む思考法
なぜ、デザインスクールで学ぶ「感性思考」を身に付ければ突き抜けたアウトプットが生み出せるのか、イメージできないかと思います。一例として、実際に私がデザインコンサルティングファーム出身の講師から学んだ、アメリカにおける子供向け歯ブラシの事例を紹介します。長らく、子供向けの歯ブラシは、小さくて細いのが一般的でした。これは、大人より子供の手は小さい。だから小さくて細いものがいいというロジックから生まれた発想です。また、各メーカーはおそらく数字的なデータも集めていたのではないかと思います。しかし、「データ」はあくまで過去の出来事の集積です。過去のものを積み上げて出てくるアウトプットは当然、過去のものとは変わらず、「平凡」の烙印を押されてしまいます。これに対し、あるデザインコンサルティングファームが別のアプローチを取りました。論理やデータを基に考えるのではなく、子供が歯磨きをしている様子を実際に観察したのです。この観察により、論理やデータからでは決して気づくことのできない発見がありました。子供はそもそも大人に比べて手が器用ではありません。ですので、子供向けに小さく作られた歯ブラシをうまく扱うことができず、歯を磨こうとするたびに自分の顔をパンチしてしまっていました。それまでは何十年にもわたって、子供向け歯ブラシ=手のサイズに合わせて小さなサイズ、というロジカルな公式を基に業界全体が製品展開をしていましたが、逆に、それは子供の歯磨きの実情には合っていなかったのです。 そこで、そのデザインコンサルティングファームは「太い」歯ブラシを子供用として考案しました。すると、手が不器用な子供でもうまく扱うことができ、発売後わずか 18 カ月でマーケットシェアでナンバー1を取りました。
凝り固まった子供用だから小さめのヘッドの歯ブラシという発想ではヒット商品は生まれなかっただろう。子供がどのように歯を磨くか考えてみれば、しっかり磨かせるためにはヘッドもブラシも大きい方が子供には優しいことがわかるというもの。そんな視点で商品開発できるのが「感性思考」です。
これからのビジネスは異種混合格闘技戦
ここ 10 年の市場の変化はすさまじく、Uber、Airbnb、Instagramは十数年前にはなかったサービスです。スマートフォンが浸透するにつれデジタルカメラの業界は縮小し、NetflixやHuluの台頭によってビデオレンタル業界は壊滅的な状況になるなど、既存業態がディスラプト(破壊)されて新しいプレーヤーがどんどん出てきています。産業全体の主力のプレーヤーがわずか数年で一変する状況になっているのです。世界時価総額ランキングで上位を占めているGAFAであっても、いつどうなるのかは誰にも予想できません。つまり、企業のブランドや歴史、実績などが無価値化する時代になってしまったのだと言えます。創業100年を超えて 10 兆円の売り上げがあるような企業であっても、その企業が 10 年後も存在しているかどうかは誰にも分かりません。タクシー業界では、今までは同業他社がライバルだと思っていたら、アメリカではベンチャー企業のUberが参入して大手タクシー会社が危機に瀕しています。ホテル業界もコンラッドやシェラトングループが競合だと思っていたら、Airbnbのような民泊サービスが参入してきました。日本は規制が厳しくて業界の既得権の保護が強く、新規参入はしづらいですが、いずれは新しい流れを受け入れざるを得ないと思います。今までとは市場のゲームのルールが変わってきているため、自分たちが積み重ねてきた知識やアセット(資産)で勝負できなくなっています。5年後 10 年後の分析をして、「当社は 10 年後に業界ナンバー1になっていたい」と言っている余裕はなく、走りながら自社が勝負できる新しい土俵を見つけていかないと、淘汰されてしまう状況はあります。
市場の変化が激しい世の中では新しいサービスや商品が数多く生み出され、小さなベンチャーが一気に注目の的になったりGAFAに吸収されたりして業界の地図は日々変化しています。5年後、10年後どうなっているかわからない世界で生き残るには思考法を変えることが必要なのだと思います。柔軟な頭を持っていないと一気に淘汰される世の中です。
ジョブズのプレゼンは何が凄いのか?
スマートフォン自体は、iPhoneが発売されたときにはすでに世の中にありました。他社のスマートフォンは下半分にキーボードがついていたので、携帯の延長上という感じでした。携帯は賢くないし使いづらい。他社のスマートフォンは賢いけれども、使いづらい。iPhoneは賢くて超簡単に使えると強調して、他社の製品とは違うものだ、というプレゼンテーションを行っています。参照フレームと差別化ポイントの2つの方法を使えば、「謎めいたその物体」が自分の生活に革命を起こす存在なのだと、聞き手は理解します。参照フレームは、年齢や性別、職業、出身国、年収や理系・文系といった、さまざまな立場や環境によって変わってきます。サービスの料金を説明する際に、「六本木ヒルズのランチ3000円を食べるのと同じ金額で楽しめます」という表現になる場合もあれば、「スタバのコーヒー○杯分で楽しめます」となる場合もあり得ます。相手の参照フレームに合わせて、「これは、その仲間に当たるんですよ」と結び付けることが重要です。
相手の参照フレームに合わせて、これはその仲間に当たるのですよという紐付けは重要。スタバでなんで少数派なMacユーザーが多いのかを考えてみるとその答えが見えてくるでしょう。
センスがなくても天才でなくても感性思考は鍛えられます。突き抜けたアウトプットを連発する頭の中身を形成していく書籍。
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