トマ・ピケティ×マイケル・サンデル。資本主義社会における格差、教育やヘルスケアを商品として扱うのをやめるには?当代一の経済学者と政治哲学者が真の「平等」をめぐり徹底的に議論する興味深い書籍。
お金はもっと重要でなくなるべきか
自分たちがその恩恵を受けられるとわかっていただけでなく、富裕層が自分たちよりはるかに高い税金を払うとわかっていたからです。ところが現在はご存知のとおり、富裕層が公正な分担分を払っていないのではないかという大きな疑念──疑念どころではありませんが──を中流階級が抱いています。中流階級にしてみれば、「そうか、それなら自分ももっと貧しい人のために税金を払うのはいやだ」と言いたくもなる。となると、二〇世紀に築かれた社会契約そのものが破錠しはじめます。
資産家や高所得者の意識を変えていくのはなかなか難しいので税制で強制的にぶんどるしかない(笑)不公平感を減らすために今よりも強力な累進課税が必要という結論に至るのがピケティの主張。お金持ちはその力に見合う負担が必要かと。
能力主義
不平等の拡大に伴って、成功のとらえ方が変化してきたことにも関係しているのです。上位に立った人たちは、自分の成功は自分の手柄であり能力の証なのだから、自分は市場の恩恵を受けるにふさわしいと考えるようになりました。そして暗に、取り残された人や苦労している人もその運命にふさわしいにちがいないと考えるようになったのです。このような成功のとらえ方のもとになっているのが、機会さえ平等なら勝者は勝利に値するという、一見とても魅力的な理想を謳う能力主義の原則です。
能力主義と言っても、たまたま成果が出せたというだけで特段すごいスキルはないといった輩もたくさんいる。それを勘違いするとエセ能力主義の上に立つことに。公平公正な客観的な評価基準が必要だ。
課税、連帯、コミュニティ
それに加えて傾斜の大きな累進課税を復活させる必要もあります。環境汚染税と同じように、一定の水準を超える所得に八〇%や九〇%の税率を適用すればよいのです。アメリカでは半世紀のあいだ実際にそうしていました。歴史的証拠を考察してみると!わたしはこれにかなり時間をかけたのですがしこれは実にうまく機能していたわけです。
はっきり言って一定水準の所得を得た場合、贅沢に暮らしても使い切らないほどの資産を持つようになることも多い。そんな層から80%から90%の税率を適用すれば良い。それだけ払っても十分な生活はできるはず。不公平感をなくすためにもそのくらい思い切った税制改革學必要。そう据えれば社会保障などに充てて公平な世の中が実現できるだろう。
不平等な世の中を改変すべく思い切った累進課税を提案。資本主義社会における格差を考える機会になる書籍で、それこそ富裕層に読んでほしい書籍。
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