日常のあらゆるしがらみと決別した著者の生活と思いを綴った書籍。孤独を感じたり、チャレンジしたいけれど最初の一歩がなかなか踏み出せなかったり、周りの意見に振り回され自分らしさを見失っている人、もやもやした不安を抱き続けている人などに向けて放つ一本の矢。
暑さも寒さも 人生だ
節電と言えば、避けて通れないテーマが「暑さ、寒さをどうするか」ということだ。
これは、他の電気製品とは一線を画すテーマであろう。すなわち、掃除機だの電子レンジだのは「便利」のために生まれた製品だ。なければ不便だが、言ってしまえば所詮はそれだけのこと。病気になったり死んだりするわけじゃない。
だがエアコンや暖房器具は違う。人間の快不快を調整する手段であり、場合によっては健康や生命にも直結する道具と言ってもいい。特に最近は「無理をすると熱中症になる」と、エアコンの「使い控え」を諫める声が大きくなっている。「エアコン=命綱」という認識が当たり前になりつつある。
なので、私の節電生活を知っている人の多くが、「今年は猛暑」のニュースが流れるたびに「大丈夫?」「くれぐれも無理しないで」と真面目に心配をしてくださる。
誠にありがたいことである。
だが私、この問題はもう完全に卒業してしまった。
はっきり言おう。心配無用である。エアコンも暖房器具も使わなくなって 6 年。もはや暑さ、寒さを「辛い」と感じること自体がほとんどなくなった。体調が悪くなったこともない。それよりも何よりも、我ながらすごく妙なことだけれど、冷暖房をやめたらむしろ暑さも寒さも好きになったのである。もはや人生に欠かせぬスパイスのような存在と言ってもいいほどだ。
だが、以前はまったくそうではなかった。特に寒がりだから、冬の厳しさは「憎んでいた」とも言っていい。
それがなぜ、こんなことになったのか。
電気やガス料金が上がり冷暖房代もバカにならないこのご時世。最強なのがどちらも使わないという選択。それで体調不良に陥らないだけの環境順応ができればいいのだが、普通の人がいきなりそれをやるのはちょっと危険。特に近年の気温上昇は異常なので、お年寄りなんかが昔の感覚で冷房をつけずに熱中症にかかったりしたら元も子もない。ほどほどに。
家電をやめたら 会社まで
ここで改めて、超節電生活を極めた挙げ句、まさかの会社までも辞めることになってしまった経緯を手短に書いておきたい(注:言うまでもありませんがサラリーマンが会社を辞めるということは本当に大変なことでして、ちゃんと書き始めたらとても「手短」には済ませられません。実際、この件につきましてはこれはこれで一冊の本を書きました。詳しく知りたい方はそちらをお読みください)。
これまで延々と書いてきたように、家電製品のほとんどを手放すという事態は、私の生活だけでなく、精神状態と言いますか、物事の考え方を大きく変えてしまった。
つまりは、なきゃやっていけないものなんて、この世の中に果たして本当にあるんかいなという「危険なギモン」がふつふつと湧いてきたのである。
私が節電において手放したのは、つまるところ「電気」である。たかが電気、されど電気。私たちは知らず知らずのうちに、電気がなくては 1 日も生きていけないような暮らしぶりを身につけている。掃除も洗濯も食事も、つまりは衣食住という暮らしの基本において、家電はまるで空気のごとく、私たちの生活にがっちりと組み込まれているのである。
なので停電を経験するとほとんどの人が、いかに自分が電気がないと何もできないかにいちいち驚くことになる。現代人はプラグにつながれてようやく生命を維持していると言っても過言ではない。
しかし私は原発事故に背中を押され、その生命線を一つ一つ抜いていった。
恐る恐る。
ある意味死ぬんじゃないかと怯えながら。
しかし結果的に、なんとかなってしまったのである。
しかも、あれほど「なきゃ生きていけない」と思っていたものが、驚いたことに「なきゃないでなんとかなった」。それどころか「意外に楽しい」、いや「実に面白い」、いやいや「ないほうがまったくもって清々しい」のだ。
それは私が頭の中でイメージしていたような、「節電=我慢・忍耐」というようなシロモノとはまったく次元の違う世界であった。はてこれはいったいどうしたことかと考えていて、次第にあるイメージがくっきりと浮かんできたのである。
便利なものに囲まれていた私の暮らしは、いわば、必要な栄養や薬を補給してくれるたくさんのチューブにつながれた重病人のようなものだったのではないか。
チューブにつながれている限りは生命を長らえることができる。安心である。その代わり、ベッドから片時も離れることはできない。
私がやってきたことは、このチューブを一つ一つ抜いていく作業であった。まさに決死の覚悟で。でも、思い切ってやってのけたのだ。そして何が起きたか。
私はベッドから起き上がり、自由に歩き回れるようになったのである。
そう、「自由」。
確かに著者の言うとおり、現代の生活は便利なものに囲まれている生活。その便利なものを生命維持装置に例えると管に繋がれ延命しているかの如く。僕自身冷暖房はもちろんスマホやパソコンがない生活を考えたらゾッとする。しかし、パソコンは僕が小学校にころにはまだ普及してなかった代物だし、スマホに至ってはほんの十数年前のもの。なくなってしまうと不便だが、無い生活も知っているわけだ。全てを昔に巻き戻し逆に自由を手に入れた著者を賞賛すべき。
会社を辞め、究極の断捨離を行い日々生活する著者。電気の無いというか使わない生活は大変そうではあるがレジャーとして楽しむ分には面白いかもなどと思ったりもする。
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